エンデ全集〈5〉はてしない物語 (下)

  • 岩波書店
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本棚登録 : 81
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000920452

感想・レビュー・書評

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  • こてこてのファンタジーである。

    物語の読み手だったバスチアンは、後半(下巻)いよいよ本の中、「はてしない物語」の世界へ入る。ファンタ―ジエン国では、突如出現した「虚無」があちこちで世界を蚕食し、その世界の終末が危惧されていた。バスチアンは、その世界の終わりを防ぐ戦いを担うのだ。救済の手立ては、人間世界から来訪した者(バスチアン)が「女王幼ごころの君」に新たな名前をさずけること。かような具合で、ファンタ―ジエンの国での戦いや救済の手段は、かように象徴的なものが多い。いかにもファンタジー小説と思う。

    バスチアンは、剣やペンダントなど魔力を秘めたアイテムを獲得し、さらには勇気や美貌まで身に付ける。勇士らしく成長し続けてファンタ―ジエン国救済の勇者となるのであった。
    だが、後半、バスチアンは人徳を備えた聖人とはならない。性格に難ありの面が目立ちはじめる。彼はときに独善的となり、戦いの盟友アトレーユとも仲違い。そして、戦いの旅を乗り越えてゆくごとに、人間世界での記憶をひとつひとつ失ってゆく。かようにして、バスチアン自身の道行きは、滅びの様相を濃くしていくのだった。
    バスチアンの万能感が昇り続けるわけでなく、後半、彼はしぼんでゆく。ビッグバンの如く急激に成長し英雄となったバスチアンだが、あたかもビッグバン宇宙が収縮に転じたかの如く、彼のパワーと人徳は陰りを見せてゆく。この点、無敵の如く成長しつづける(らしい)RPGの展開とは趣を異にする。互いの尾を噛む黒と白の蛇が象徴する円環の表象のごとく、物語もまた始まりに向けて収束する如しである。
    このこと、巻末解説にて池田氏は、作者エンデが織り込んだファンタジー小説への批評性ではないか、としている。

    付記:
    主人公の少年の名は、バスチアン・バルタザール・ブックス。一方、冒頭と終幕に登場する古書店の店主の名は、カール・コンラート・コレアンダー。
    何かの対比を織り込んであるように思われる。

  • 読まなくても良かった。最後の最後で泣いたけど、ずっと辛い読書だった。主人公が貴族すぎる。関係ないけど「風の谷のナウシカ」思い浮かべながらの読書になっちゃいますよね。なりませんよね。

  • 前半の色取り取りの世界観からは一転、後半ではバスチアンの希望に対する代償が印象的だった。「自分本位にならず他人のことをしっかり考えて行動しよう」といったことが物語を通じて伝わってきたが、このあたりは著者が生きていた時代背景なども影響しているのかもしれない。特に物語中では「帝王になったもののなれの果ての街」が、自分本位に生きた代償を色濃く反映しているようであった。また、訳者のあとがきにもあったが、この物語は現代で言うロールプレイングゲームを本越しに見ているような感覚にとらわれた。もちろんこの本はロールプレイングゲームが流行るよりもずっと昔の物語であるが、後世のファンタジー感には大分影響を与えただろう箇所がいくつもあったように思える。

  • 間が空いたので簡単に。

    原作も映画も、やっぱり2より1が好き…というか、1の完成度がすばらしすぎる…!!!!という、相対的に評価しての-1です。

  • 『モモ』を読んだのが高校か大学の時だったけど感動で涙が出たのを覚えている。この『はてしない物語』も素晴らしかった。
    現実には冴えない主人公の少年が、ファンタジーの世界で大冒険をするというまさに王道の物語なのだが、全く退屈することなくグイグイと引き込まれていった。
    物語を作ることができるなんて素晴らしいことだよなぁ。大人になると本当に心からそう思う。

  • 図書館の本


    Die unendliche Geschichte by Michael Ende

  • ・僕が変わりにやる
    ・何者でもない瞬間
    ・水は届いたんだ

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(2階) 請求記号 948//E59//5

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