シンドバッドの冒険 (大型絵本)

  • 岩波書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001108583

感想・レビュー・書評

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  • 現在世界で読まれている「アラビアンナイト」は、アラビアの説話をヨーロッパに紹介するにあたり、ヨーロッパの翻訳者や文学者がオリジナルの話を加えていったものです。
    シンドバッドの冒険も原典には載っておらず(アリババ、アラジンと魔法のランプも無い)。翻訳者がもともとあったお話に手を加えてアラビアンナイトに入れたものです。それでも海の途方もない冒険のお話は非常に楽しいですね。
    こちらの絵本は、チェコスロバキア(当時)出身のルミドラ・ゼーマンが、シンドバッドの七回の航海を三冊の絵本にまとめたもの。繊細かつ大胆な絵と文章でで人間の想像力の自在さが楽しめます。巻末には地図も書かれていますが、アフリカ、中近東、アジア、オセアニアに渡るこの話のスケールの大きさを感じます。
    絵本にするにあたり、元の話のシビアさはかなり薄められています。全体のテーマも「恵まれた人でもそれまでの勇気と苦心がある」「人が冒険を求める心」「愛と慈悲が心を通じさせる」などとかなり格好いいものになっています。
    絵本としても迫力があるし、お話としても楽しめるものになっています。

    なお、この絵本は小学校国語教科書巻末に「おすすめ」としても載っています。小学校の中学年生にこんな冒険のお話に触れてもらいたいなあと思いました。


    ==
    貧しい労働者のシンドバッドは、立派なお大尽の老人シンドバッドの豪華な装いを見て呟く。「やれやれ、同じシンドバッドという名前なのにこの差はなんだ」
    その呟きを聞いた老シンドバッドは、労働者シンドバッドを館に招待して自分の若かりし頃の冒険譚を聞かせる。

    親の財産を散財してしまったシンドバッドは、バスラ港から船に交易船に乗る。(アラビアンナイトでは、財産は途方も無いが失うのもすぐ。しかし失ってもそれはそれとしてちゃんと働くんだよなあ)
    ある美しい島に到着したのだが、そこはなんと巨大な鯨の背中だった!目を覚ました鯨は海に沈み、シンドバッドは海に投げ出される。
    ようやくついた小さな島。しかしそこには、子象を餌にするくらいの巨大なロク鳥が巣を作っているではないか!このままでは自分も喰われてしまう。シンドバッドはロク鳥の足に自分を縛り付けて島からの脱出を成功させる。
    行き着いたのは、多くのダイヤモンドの転がる谷、しかしそのダイヤモンドを守る毒蛇たちでひしめく谷だった…。


    2冊目
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4001108593
    3冊目
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4001108658

  • アラビアンナイト(千一夜物語)の中のシンドバッドのお話。
    シンドバッドの絵本3部作の1作目。

    アラビアンナイトは、ペルシャ・エジプト・インドなど比較的広域に渡る地域から集めた物語集らしい。肝心のシンドバッドは、フランス人が英訳する際に付け加えたとか?
    アラビアンナイトのもととなった王様はペルシャの王様らしいので、現在のイラン辺りに位置するだろうか。
    シンドバッドの物語は、バグダッドから始まるので、現在のイラクということになるだろうか。
    アラビアンナイトについて調べたら、結構複雑でよくわからなかった。

    それにしても、女性を憎んでいて、一晩妻にしては殺すという残虐なことを行っていた王様から千一夜もの間生きながらえたシェヘラザードの物語はどれほど魅力的だっただろうか。
    そう考えると、シンドバッドの物語が魅力的であるのもうなずける。

    しかも、シェヘラザードの語った話を聞いてみましょう。と始めて、バクダッドで荷運びのシンドバッドが、富裕層の老人のシンドバッドに出会い、家に招待され、「私も今ではこんなだが、こんな大変なこともあったんだよー」とさらに語り始める、シンドバッドの冒険の物語は、入れ子様式の中の入れ子様式でなんと面白いだろうか。
    なんだかトリッキーな小説を読んでいるようで、ハッとさせられた。

    肝心のシンドバッドの冒険は、結構字が詰め詰めで小学3年生(光村国語教科書掲載)では読みにくいかもしれないと思ったが、それにしてもイラストとそこに描かれる物語性が豊かなので、惹き込まれて意外と読めるものだろうか。
    島に上陸してヤシの実を割ったら島から血が噴き出して実はクジラ、とか、めっちゃ大きな鳥の足に括りつけて脱出とか、インディージョーンズも真っ青の毒ヘビの池だとか、ハードな冒険物語になっています。

  • ルミドラ・ゼーマンの美しいイラストで シンドバットの冒険が描かれています。3冊セット。
    1巻では千夜一夜物語のはじめ、シェヘラザートと王の物語があり、シンドバットの冒険へと続く。有名な、クジラの島、ロク鳥、ダイヤモンドの谷での冒険が描かれ2巻へ。

  • 光村3年平行図書。
    物語とイラストがマッチしていて引き込まれます。もっと続きを話してという気持ちになるラストです。地図も好きです。

    読み聞かせると長い話なので2回に分けるかブックトーク…本の紹介…というのもいいかなと思いました。

    季節…なし
    対象…中〜 できれば3、4年生で読んでほしいです
    内容…わくわく 不思議な冒険 エキゾチック 寝ているクジラ ダイヤモンド 蛇

  • 読み聞かせ講座で紹介されたので、図書館で借りた。

    シェヘラザードが、シャーリヤールという王様に話した『千一夜物語』から、シンドバッドの第1・2回目の冒険(クジラの島・巨大なロク鳥・ダイヤモンドの谷)を絵本化したもの。

    千一夜物語・アラビアンナイトがどういう骨子なのか、ということも、初めて知った。
    映画「ドラえもん のび太のドラビアンナイト」のイメージしかなかった。
    読み終わって、ずっしりと良い重みを感じる。
    おはなしも壮大で、絵もすばらしい!
    ペルシャじゅうたん風で、体のはずむようなつくりを感じる動きのある絵で、日本人には描けないんじゃないかな。
    きちんと丁寧につくられていて、お金を払って読む価値があると感じる。
    あとがきで、実際の航海路に似ていること、物語が入れ子になっていることなどが指摘されていて、もっと知りたくなる。
    しばらくしたら、岩波少年文庫を読んでみようかな。

  • 「千夜一夜の物語の中から,船乗りシンドバッドの,鯨の島とダイアモンドの谷でくりひろげられる冒険が本格的な絵本になりました.細密画のように繊細で,タペストリーのように華麗な絵が楽しめます.「ギルガメシュ王ものがたり」の作者ゼーマンによるアラビアンナイトの絵本.]

  • くじらの島がおもしろい

  • 続きが気になる。自分で読むなら中学年夏向き?

  • お話として面白いわねー

  • …昔々、若い娘の首を毎日はねさせた王の暴虐をやめさせようと、シェヘラザードという美しく賢い娘が、毎晩王に楽しくてわくわくする冒険談の数々~アラビアンナイト(千一夜物語)を話して聞かせます。
    その物語の中でもとりわけ有名なのが、何度危険な目にあっても懲りずに7回の航海に出掛けた船乗りシンドバッドの冒険談です。
    王が人殺しを忘れる程夢中になった物語を、あなたも読んでみませんか?

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