- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001120509
感想・レビュー・書評
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イタリアの童話だけあって『ピノッキオの冒険』に似ている所はあった。キャラクターがユーモラスに描かれていて、漫画を読んでるように気楽に読める。
ただ、ピノッキオは悪戯な所や怠け者の所があって、徐々に成長して行くお話だったが、チポリーノは最初から良くできたいい子で、その分ちょっと物足りなかった。
動物を擬人化した童話はたくさんあるけど、野菜や果物を擬人化した童話は珍しいんじゃないかな?そしてイタリア料理の象徴でもあるトマトやレモンが悪者で、玉葱が正義の味方っていう図式には笑ってしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まず、挿絵がとても好きです。
そして、登場人物が本当に面白く魅力的。
特にうらなりかぼちゃのおじいさんとびっこの蜘蛛の郵便屋さんは忘れられません。 -
野菜や果物、動物の姿をした登場人物たちが繰り広げる、圧政とそれに立ち向かう者たちとの戦いの話。メッセージ性が強く、悪党がしょうもないことで自滅するのも風刺的で生々しいが、読み手を引き込む語り口の巧さと挿絵のかわいらしさに和む。
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旧版で再読。
ピンクの方に楽譜載ってたっけ?とヒドイうろ覚え。
マルシャークがラジオ用に書き下ろした詩だとか。ステキ! -
『パパの電話を待ちながら』の著者が、『チポリーノの冒険』の作者でもあると知り、サビのところだけ聞き覚えている「ゆこうよ ゆこう~よ くじけーず ゆこう~ チッポリーノ チッポリーノ~ ぼーくーもなーかーまー」の歌がアタマの中で鳴って仕方がないので、図書館で借りてきて読む。
巻末に、楽譜付きで「チポリーノのうた」が収録されている。…私が聞き覚えているものと、歌詞はやや違うが(私は楽譜がよめないので、私のアタマで鳴っているのがこの曲なのかは判然とせず)、「ぼくもなかま」とか「たかい垣根はぼくらにゃいらぬ」とか、断片的に聞き覚えのある言葉が入っている。妹が歌っていたのは、きっとこの『チポリーノの冒険』がらみの歌なのだろう。
訳者は杉浦明平(すぎうらみんぺい)…って、どっかで名前を聞いたことがある。杉浦訳の初版は1956年!岩波少年文庫にはときどきあるが(『マルコヴァルドさんの四季』もそうだった)、今流通してる新版は訳者が違って、関口英子訳。
少年文庫で370頁余り、29章あるお話は、なかなか長いけど、おもしろくてやめられず、外出した移動時間の合間合間に読みふけった。
チポリーノとは、「玉ねぎ小僧」なのだった(ロシア語版から採られたという挿絵がまたいい)。おとうちゃんはチポローネ。チポリーノは7人きょうだいで、チポレット、チポロット、チポルッチャ…といった具合に、名前はチポッラ(玉ねぎ)一族のもの。
杉浦訳の旧版カバーの袖には、こう書いてある。
▼わがままなレモン大公の治める野菜とくだものの国。無実の罪でとらえられた父チポローネを救いだすため、タマネギの坊やチポリーノが、サクラン坊や、イチ子[ご]、インゲン小僧などの助けを借りて大活躍する、明るくゆかいな冒険物語。
ここにもチラっと出てくるように、登場人物のほとんどが野菜とくだものなのだ。トマト騎士、ブドウ親方、ナシノ木ナシ男教授、うらなりカボチャのおじいさん、コケモモさん、カブ子、サクランボ伯爵の大奥さまと若奥さま、オレンジ男爵、ミカン小公爵、アメリカニンジン先生、クリ博士、ニラ山ニラ吉どん、エンドウ豆弁護士、人参探偵、くずレモン兵…等々。
この野菜やくだものは、服を着て、口をきき、「人間みたい」だったりする。そうやって大活躍したりしなかったりの登場人物には、動物たちもいる。ムカデ、ネズミ大将、番犬マスチーノ、モグラのおばさん、感激しやすいクマ、告げ口屋のアザラシ、クモの郵便配達夫…等々。
子どもの頃にこのお話を聞いたり読んだりしていたら、それはそれでドキドキわくわくしただろうと思う。大人になって読む私は、無実の罪でレモン大公にひったてられ、終身刑を言い渡されてしまったチポリーノのおとうちゃん(チポローネ)が、物語の冒頭で「牢屋には、りっぱな人たちがはいっていらっしゃるのだよ」(p.19)と言うところに、作者のココロを強く感じる。
そのチポローネ(おとうちゃん)と、チポリーノの対話。
▼「悪いことをしたからじゃないの?」
「そうじゃない。なんにもしないのに、牢屋に入れられているのだよ。レモン大公は、りっぱな人がおきらいなのだ。」
「じゃ、牢屋にいるっていうことは名誉なの?」
「そういっていい時もあるね。牢屋というものは、泥棒や人殺しのためにつくられたのだ。が、レモン大公が国をおさめるようになったときから、ぬすみや、人殺しをするものが宮廷にいて、牢屋には、りっぱな市民がはいっているんだよ。」
「ぼくもりっぱな市民になりたいな。」「だけど、牢屋にははいりたくないや。いや、ぼく、いつかはきっと、ここにやってきて、おとうちゃんたちみんなをすくいだしてあげます!」(pp.19-21)
チポリーノの冒険は一直線にはすすまない。右往左往し、友達をたすけ、仲間と力をあわせ、ときには希望をなくして、それでも最後にはおとうちゃんたちを助け出す。それだけでなく、チポリーノたちは冒険のさいごに、自由な共和国をたてるのだ。
読みふける合間に、本屋へ寄って、今売ってる関口訳の『チポリーノの冒険』を、ちらちらっと見てみた。杉浦訳とはまたちょっと言葉遣いが違うようで、こっちもいちど読んでみたい。
(8/15了) -
権力と戦う話
挿絵が良い! -
イタリアの児童文学。
タマネギのチポリーノが主導する革命の話。
でも、チポリーノ自体はけっこう印象が薄い。
挿し絵が可愛いのだけど、これはロシアで翻訳されたものからの引用らしい。
きっとロシアで人気あるのね。
バレエ化もされてる…ってことで、読んでみました。
絵的には『チロリン村』とか思い出しますな。 -
2010.6
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小さい頃から何度も読んでいる。
大人になってイタリアに行き、本屋で原書を探したが、絶版になっていた。
小さな書店で古本を見つけて購入。
20年越しの夢がかなった。
それにしても、原書よりも豊穣な翻訳の巧みさには、いつも溜息。 -
たなぞうでジャンニ・ロダーリの名前を見かけて、「はて? この名前はどこかで見たことが???」とよくよく考えたらこの本でした。子どものとき、読んだ本。今にして思えば、ある意味、社会主義礼賛の本なのですが、難しい主義主張はおいといて(そもそもこの本を読んでいた頃は、社会主義がなんなのかもよくわかっていなかったと思うし)、純粋にお話として波瀾万丈でおもしろい本です。タマネギ坊やのチポリーノが主人公で、主な登場人物は野菜や果物。貧しいけれど賢いチポリーノと仲間たちが、横暴なレモン大公と戦い、自由を手に入れる物語です。人物(いや、人じゃないんだけど)造形が多彩で、物語も起伏に富み、ジャンニ・ロダーリという人は、ストーリーテラーなんだなと思います。余談ですが、下の子が数年前、保育園でこの本に出てくる『チポリーノの歌』を習ってきたのですが、よくよく聞いたら話の内容を碌に知らない(!)。保育園児には少々長い話だったので、ダイジェスト版の紙芝居を見つけて読んでやったのですが・・・。うーん、何だか物足りない。かいつまんで要約しちゃうとおもしろみが半減してしまうタイプの本なのです・・・。下の子、現在4年生。今なら読めるかなぁ・・・?