思い出のマーニー〈下〉 (岩波少年文庫)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141115

感想・レビュー・書評

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  • マーニーの正体がわかる瞬間、世界が逆転しミステリー小説のような驚きがあった。
    めでたしめでたしの感動的ラストではあるけど、こうだったらなというような優しい世界だなあと思った。

    本筋はアンネの混沌とした心の内側であったり、世界への向き合い方の変化であったりなので、生き辛さを抱えてる子どもや、かつてそんな子どもであった人には刺さる作品だと思う。

    子どもって、イマジナリーフレンドを作ったりもそうだけど、現実と空想の世界が無理なく混ざり合ってるなかで生きてるんだなあ。
    そんな子どもの心に寄り添って描かれている名作だと思う。

  • 1980年の出版である。原題はWhen Marnie Was There?
    1967である。書かれてから13年もたって翻訳された。もっと早く翻訳されていれば子ども時代にも読んで記憶があったであろうが、初めて読んだ気がする。
     あとがきで著者から直接家の写真ももらったと書かれている。
     100分で名著では1回で結末まで説明されたが、話が急展開するのは下巻である。
     小学生が今読んでも面白いと思われる。

  • 下巻を読んでみた。上巻の「よくわからない」を取り消したいくらい面白かった。
    マーニーがいなくなって、それが幻だとアンナが気が付く。
    しめっち屋敷の新しい住人『リンゼー家』の人々との交流が下巻のメイン。


    アニメはマーニーとアンナの交流がメインで、マーニーが実は祖母だったという事までは分かったけど、『寂しい少女が見た幻』という認識しか持てず、バタバタと終わってしまった印象だった。見終わっても「だから、何?」と思ってしまった。

    原作はマーニーとの交流の上巻。それと比較して下巻は『リンゼー家の人々』との交流がメインで、単なる『寂しい少女が見た幻』というだけではない事が分かってよかった。

    アニメでは『自分が普通ではないと思っているアンナ』という描かれ方だったけど、原作は『自分は外側にいて、内側には入れないアンナ』が描かれている。
    アニメはエンタメだからわかりやすく『普通』という単語を持ってきたのかなとも思うけど、私は『外側』という言葉の方がしっくり来た。

    自分と外の世界との繋がりの物語。
    「普通という誰かが作った枠」ではなくて、「自分が作ってしまった『内側』と『外側』」が原作の物語。

    マーニーは『内側』の物語として語られていて、最終的に「マーニーが祖母で、祖母が元々しめっち屋敷に住んでいた」という繋がりが『外側』であるリンゼー家の人々と繋がっていく。この繋がりに読んでいて、震えてしまった。アニメではそこがなかった。



    アニメではしめっ地屋敷の新しい住人「彩香」という少女が日記を見つけて、アンナに見せてくれる。それを見て、アンナはマーニーの存在に疑問を持つ……となっていたけど、原作ではマーニーとの出会いが終わってから、しめっち屋敷の新しい住人達との交流が始まる。だから、アンナは最後までマーニーの存在は疑っていない。二度と会えなくなるまでは。

    新しい住人たちは『5人の子供たち』と『その母親+父親』で、彼らを通してアンナは「心をすり減らさずに人と接する事」を学んでいく。
    日記を見せてくれたのは「プリシラ」という変わった少女。彼女の他に4人の兄弟たちがいる。どの子たちも魅力的に書かれている。人数が多いので若干うるさくも感じるけど、それもまた「一人きりのマーニー」との対比のような気がする。


    リンゼー家の人々はすごく優しくて気さくで、アンナが「ボートの小さな錨」を黙って持ち帰っても怒ったりしなかった。何か理由があると考えてくれる思慮深い人たち。アンナは後からちゃんと謝って、錨が実は「マーニーのもの」と確定した時点でそれはアンナが所有してもおかしくないものとして、「キレイに塗り直す」ことまで提案してくれる。

    リンゼー家の人々の優しさが、アンナの心を解いていくのが読んでいてわかる。そして、「おばちゃん」も彼女たちに会って、アンナに真実を話そうと決心する。実は「アンナはマリアンナという名前だという事」を。

    この辺りはアニメでは一切なかった。(お金の話はあったけど)名前が実は変えられていたなんて……日本版で名前を変えるのは無理だろうけど。おばちゃんはアンナを「自分の子供にしてしまいたくて、元の名前の半分を消した」と。正直、それはないだろとは思うけど、そのありえない事をしてしまうくらいに「アンナが欲しかった」という気持ちは分かる。

    アニメはなんだか、「アンナの自力と運」だけで「祖母の事を知って自分も頑張ろうと思った」と言う風に見えたけど、原作は「たくさんの人と関わる事で変わっていくアンナ」が描かれている。

    最終的には「みんな自分が外側の気分になる事もある」という事にアンナ自身が気が付いてる。
    「自分は一人ではなかった」という着地点ではなくて、「みんなそう思っている」「人と繋がれる瞬間はある」「そして、一人きりの気分の時もある」というのが原作だった。

    私はこっちの方が好きだ。
    安易な「みんな繋がっていて、一人ではない」というものよりも、「一人きりの気分(外側)のときもあるけど、繋がっている(内側)の時もある」のほうが感覚として分かる。でも、エンタメとしてはそんな中途半端な作りにしたら、売れないのかな……とは思うので、アニメはアニメで刺さる人には刺さるのだろうとは思う。私は無理だっただけで。



    アニメにモヤんとした人は、原作読んで。特に下巻。マーニーと別れた後が本当に面白いし、アンナが成長していくから。とお勧めしたい。

    素敵な物語、ごちそうさまでした。

  • p199が印象的だった。
    映画を見たときはまだ経験が少なくて、あまり心に響かなかったけど、いま大人になって本を読んだら感動できた。目から汗が出た。p206らへん。

    アンナは血のつながった家族を早くに亡くしてしまったけど、優しいひとが周りにたくさんいて、周りに恵まれていたことを自覚できてよかったなと思う。

  • とっても悲しいけれども、心温まるお話でした。

    そう、気づくでしょうけれども
    マーニーはあるとても悲しい経験をしていました。
    なぜ風車小屋を怖がったのか…

    それと最後に思わぬ事実が突き付けられます。
    大事な言葉がいっぱいあるので
    大人でも突き刺さる要素は多いはずです。

  • 下巻では、マーニーとの別れと新たなる出会いの話。

    新たなる出会いの方でアンナの心もどんどん回復していきます。

    新たなる出会いの家族がとてもいい家族で。

    そしてマーニーの正体も明らかに。

  • イギリスの児童文学を読みました
    としか感想がない

  •  読了。
     号泣。ただただ号泣。そうだったのかー。
    ギリーの話を聞きながら途中からザワザワした。良い方の。なんてこった。

     あとがきに訳者の方が、はじめの方は読みにくいかもだけど、どうか読み進めて欲しいと書いていたのがよくわかった。そして読み終えた今、読み進めて結末を知れて良かったと思う。
    (220903)

  • そうか。マーニーはそうだったのか。奇跡の繋がり。でも必然。友達ができて信頼できる大人に出会えておばさんと想いを通わせることができて愛情を注いでくれた家族の存在を知って、心を開くことを自分に許したアンナ。内側も外側もあっていいしどちらも自分なんだと認められたアンナはきっともう大丈夫だ。難しい年頃の子ども達はみんなこの本を読んでみたらいい。

  • 感動のラスト。
    最後はすごいスピードで読み切ってしまった。
    泣いた。

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