ふたごの兄弟の物語 下 (岩波少年文庫 157)

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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141573

感想・レビュー・書評

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  • そっくりな二人は、でも別人だからいつかは別れていく。
    ラウレンゾーは貴金属職人として大成していくが、ジャコモはいろいろな職業に就くがなかなか続かない。しかし、器用で弓矢も楽器も何でもそこそここなしてしまう。
    二人で何かするのが楽しいふたり。お互いを思いやり、誠実なのだ。ある時は旅に出て、海で嵐に遭い、別々の場所に打ち上げられたりしながら、結局は、二人で問題を解決していく。
    命をかけてお互いを助け合う姿は、周りの人をも変えていく。美しい真珠のようだと。
    最後の話で、ジャコモがようやく自分に合った仕事を見つける事ができる。
    二人を仲違いさせようと嫌な事を告げる人もいるが、そんな事に全く惑わされないところが素晴らしい。爽やかなふたり。
    児童書だからこその理想を貫く作者の心意気、すごくいい!こんなふうに生きられたら、と思う。

  • 下巻に入ると、双子の兄弟の物語はさらに広がりを見せる。
    第9話「ティラニア国の王」
    海で嵐に遭い、流れ着いたティラニア国でも二人は知恵を出しあい大活躍をする。真面目な貴金属細工師のラウレンゾーが王様になり、国を統治するという奇想天外な流れにわくわく感が止まらなかった。"王の演説"を弟ジャコモに任せたところはさすが。  

    第10話「貴重な真珠」
    故郷バイヌーに戻った双子の兄弟。公爵からの招待を受けた兄ラウレンゾーはフォルパに滞在するが、探検旅行家のマルコから預かった真珠をめぐり身に危険が迫る。お金と自由を奪われても権力に屈しない兄。誠実な兄を助けるために忠誠を尽くす弟。「走れメロス」のように真っ直ぐな二人だと思った。

    第11話「赤いバラの騎士」
    貴金属細工の名匠となった兄ラウレンゾーはジャコモを誘い旅に出るが、兄弟はまたしても分かれ道に立つ。ラウレンゾーが愛する奥さんを見つけたことで、ジャコモは今までの生活が当たり前でなくなったことに気づく。月を見ながら一人で歌う弟の姿が切ない。

    第12話「青い石の指輪」
    ふしぎな力がある青い石の指輪をめぐるお話。マリアナに恋をしたジャコモは、邸宅の塀に登りリュートをつま弾きながら歌う。「ロミオとジュリエット」のワンシーンのよう。恋心をつのらせて二人が一喜一憂する姿は何とも微笑ましい。盗みと詐欺の罪で裁判にかけられたジャコモが法服を着て「自分を弁護する」法廷場面は圧巻。自分に向く職業が見つかって良かったと思う。

    上下巻ともに楽しみながら読了。婚約の祝宴で"かくれんぼ"をして好きな子を探すなんて本当なの?と思ったり、マルコやアントニオの名前がちょこちょこ出てくるのが面白い。物語の構成が見事で途中で飽きることがなかった。下巻には赤いバラ、青い石、そして真珠の白色が鮮やかに描かれている。マリアナ姫のドレスと仮面も銀色がかった白だった。この3色がオランダの国旗の色と同じだと気づき、意味を調べてみた。
    赤:勇気
    白:平和と誠実
    青:忠誠・正義
    オランダの作家、トンケ・ドラフトは、国旗の色になぞらえてこの物語を作ったのだろうか。もしそうなら、他にも秘密が隠されているような気がしてならない。

  • 上巻に比べて長めの話が4つ。

    国の外での冒険が繰り広げられます。

    相変わらずハラハラドキドキしながらも、兄弟の知恵に痛快な気分になります。

    最後まで面白く、また、終わり方もよかったと思います。

  • 上巻に引き続き。
    二人揃って王になったかと思いきや、ラウレンゾーが貴金属細工師としてだんだん名声を高めたり、その一方でジャコモは相変わらずふらふらしていたり……と物語は順調に進んでいく。双子の切れ者っぷりと信頼関係によって毎回ちゃんと丸く収まるのが気持ちいい。器用なジャコモの活躍が目立つが、ある話でどんなに苦境に陥ろうと揺るがぬ信念を見せたラウレンゾーは格好良い。

  • 双子の兄弟の物語は大人になっても続きます。
    読み終わってみると、幼少期の経験や文字通り通ってきた道というのは人生を通して影響を与えるものだと感じました。大学受験前や就職前の方にもお勧めできる小説です。

  • 中2の時に読んだ。
    何回も読んだなぁ。

    とにかく賢い双子の兄弟がいろんな問題を面白おかしく解決していくんだよなぁ。

  • 面白かったー!どんどん読みすすめてしまった。昔話風にお話が進むのだけど、兄弟間のコンプレックス的なものや恋愛など、心情面も描かれているのが新鮮で面白い。ふたごの兄弟がいろいろな問題に対処するときの誠実さと臨機応変さのバランスもなんだか妙にリアル。うまく行きすぎな感じもあるかもしれないけど物語だからこういう結末が嬉しい。

  • 私がこの本で一番心に残ったのは、「青い石の指輪」という話だ。ラウレンゾーは、はじめはちがう人にまちがわれるが、そのおかげでロザリンデというきれいなおひめ様と結こんできる。ジャコモも少し悪いことをしたり、いろんなことに巻きこまれたりするが、マリアナというおひめ様とも結こんできたし、自分にあった職業を見つけることができる。ラウレンゾーもジャコモも幸せになってよかったし、私もうれしくなった。

  • 貧しいけれど、愛情豊かな両親の元で、ふたつぶの砂のようにそっくりなふたごの兄弟は、いつもいっしょで、何の心配もなく成長しますが、15歳のときに両親を病気で失ってしまいます。瓜二つなのに性格はまったく違う兄のラウレンゾーと弟ジャコモは一年後の再会を約束し、別々の方角に進んでいきます。二人に待っている冒険とは…?二人が選んだ職業とは…?
    お話の語り口は昔話を聞いているようですが、はらはらドキドキの冒険ファンタジーとも言える魅力たっぷりの物語です。どうしてこんなにひきつけられるのか…。それはなんといっても、主人公の
    魅力にあるのですが、また、彼らを導く聡明な大人たちの存在でしょうか。何度も何度も窮地に立たされながら、彼らを救うのは魔法とは違う、人間の心の内にもっている不思議な力なのです。世の中に出る前の子ども時代にこんなすてきなお話を家族で分かち合えたら幸せだなあと思います。日本語訳が出版された2008年は、なんとオランダで原書が出版された50年後と聞いて驚きました。時代を越えたすてきなお話です。声に出して読んでも楽しそう。(運営 秋元澄子)
    NL71号2012年4月発行

  • 途中まで読んだ。

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