前作『ダイヤの館の冒険』で、たった一人で窮地に陥ったミス・ビアンカ。
そのため、というわけでもないが、とにかく坊ちゃまのお側にいるという本来業務を全うするため、囚人友の会の議長を辞任することにする。
しかし退職記念の船遊びのピクニックで、ミス・ビアンカは古びた塔に誰かが閉じ込められているらしいことに気づく。
囚人友の会の議長を辞めた今、組織に頼ることはできず、友人のバーナードはミス・ビアンカがこれ以上危険な目に遭わないようにと願っているので、協力を求めることはできない。
そこでミス・ビアンカはボーイスカウトの力を借りることにする。
絶対危険な目に遭わせないことと、夏休み期間中だけの手伝いであることをミス・ビアンカは決める。
閉じ込められていたのは、ガラスの館で大公妃に仕えていた執事のマンドレーク。
ミス・ビアンカがそこでこき使われていた幼いペイシェンスを救出したため、マンドレークは大公妃から塔に幽閉されたのだ。
いたいけな孤児をさらっては、死ぬまでこき使っていたマンドレークを許すことはできないが、それでも後世の機械は与えられるべきと考えるミス・ビアンカはマンドレークの脱出計画を立てる。
脱出するだけではなく、真っ当な人間として生きていくための手立てをも考えるミス・ビアンカ。
孤児院で庭師として働きたいというマンドレーク。
果して彼は本当に改心したのか。
そしてミス・ビアンカはどうやって出口の見当たらない塔から彼を脱出させるのか。
今までで一番読後感が良かった。
あんまり人の悪意が甚だしくなかったし、更生させることができるというミス・ビアンカの信念もよかった。