国家安全保障基本法批判 (岩波ブックレット)

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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708928

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  • 2012年7月に自民党総務会で承認された「国家安全保障基本法案」に関する逐条解説批判を中心に政府の安全保障政策に関する議論状況を概観することを目的に執筆されたブックレットです。
     法案の提出は見送られ、その代わりに集団的自衛権行使容認の閣議決定から平和安全法制(戦争法)の強行採決に至る状況は多くの人が知るところですが、その狙い・内容がこの法案内容から出されてきていることがよくわかりました。
     NSC法・特定秘密保護法はすでに施行され、4月からは戦争法が本格的に動かされようとしています。その一連の動きを取りまとめることが求められており、それが法案の国会提出ということになるやも知れませんね。仮にそこまでいくと改憲しか道がなくなり、戦争をする国としての体制が出来上がってしまいます。もちろん、そんなことは許してはなりません。〈「無理が通れば道理が引っ込む」というのが今の政治の動き〉と本にありましたが、待ったをかける運動を本当に大きくしないといけないと思いました。短い(60ページ)ものなのでぜひ多くの人に読んでほしいですし、その危険性を伝える努力をしていきたいと思います。

  • 青井未帆『国家安全保障基本法批判』岩波ブックレット、読了。2012年自民党が法案を公表した「国家安全保障基本法」。平和国家のあり方にとどめをさす危険な法案を検証する一冊。集団的自衛権を含め「法から自由になりたい」反立憲主義がその根柢には存在する。

    「日本は戦後、日本国の名において、国外で人を殺していません。日本の自衛隊は、自国民に銃口を向けたことがありません。武器禁輸政策という世界でも稀な政策を長らく採り、軍縮・平和外交に貢献してきました」。これこそまさに憲法の掲げる平和主義を70年かけて具体化した形。

    「我が国と密接な関係にある他国」のために、海外での武力行使をすることのどこか「積極的平和主義」なのだろうか。積極的平和とはガルトゥングの造語。戦争がない「消極的平和」に対して、それは、貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がないことに積極性がある。言葉に忠実でありたい。

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著者プロフィール

学習院大学大学院法務研究科教授

「2023年 『現代憲法学の理論と課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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