調査報告 「学力格差」の実態 (岩波ブックレット)

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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002709000

作品紹介・あらすじ

「ゆとり教育」から「確かな学力」路線への転換以降、学力格差は縮小されたのか。男女差や通塾・家庭環境による違いはどうか。格差を克服する学校の特徴とは。「学力のふたコブらくだ」(二極化)状況を解き明かし大きな反響をよんだブックレット『調査報告「学力低下」の実態』(2002年)の後継調査から、最新の状況を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • ゆとり教育から確かな学力に向け、学力格差は縮小するかどうかという教育課題を、実際の調査結果を基に検証して現代の「学力格差」実態に迫る。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001038195

  • 学力の格差が学校の努力によって小さくなってきているという話は朗報だった。

  • 研究論文の要約のような印象。ブックレットという体裁の割には決して読みやすくない(岩波ブックレットでは珍しくないが)。しかしそこで得られた知見は、今後の教育政策を考える上で示唆に富む。特に「学校の教育力」と「社会関係資本の構築」の関係についての実証的な研究結果については、もっと注目されるべき。「おわりに」の部分だけでも広く読まれるとよいと思う。

  • 私が赴任している高校は、偏差値的には下のほうですが、本書で述べられているようなことを、「なんとなく」感じることができます。
    たとえば、生活習慣、学習習慣が乱れた生徒は、どんなにがんばっても、成績を向上させることが難しいということなど。

    本書では「男女格差」についても触れているのですが、わたしがこれまで見てきたクラスでも同様で、高い点数をたたき出す子は大体女子でした。普段から言われたことを自分なりに咀嚼して行動に移せるタイプの子が多く、学習も人任せではなく、自分なりに工夫している様子でした。「偏差値が低い学校では、学習習慣に由来するのかな」と思っていたのですが、全国的な傾向なのでしょうか。高校となると、しんどい学校では女子のほうが強いと感じています。
    とくに国語の読解や、物事を感じる力は女子のほうが明らかに高いということも感じていましたが、数学でも同様ということで驚きました。

    学習習慣や生活習慣は、根気のいる「わかるまでの作業」を支えるものなのだと思います。今後は「習慣をどのように身につけさせるか」ということが課題となってくるのでしょう。

  • 学力格差は、家庭環境や男女差によって生まれることが大きい。それを解消するために、学習意欲や学習習慣を高める取組や授業改善に向けての継続的な努力が大切である。また、親の収入や学歴は変えられないが、子どもとニュースや勉強について話をするとか学校の行事に親が参加するといった社会関係資本は変えうることができる。学校として、保護者に働きかけることが大切である。

  • 長い間女子のが男子より学力的に劣っているから進学率などに差があるのだと思っていたが、寧ろ中二時点では逆だったという調査結果に驚いた。では何故進学率になると男女差が出てくるのか、とても気になる。次はそこについて書いてある本を読みたい。
    また、学力テストの結果分析では、男女差は考慮されていないというのも、驚きです。

  • サンプリングが限られているので、これだけで判断はできない。特に大阪の場合、市長が教育に力を入れているから、最近の成績向上は「確かな学力向上路線」によるとは言い切れないだろう。中学2年の受験まで少し時間があるということもあって、コツコツ勉強する女の子の方が成績が上なのは納得できたけれど、男子の算数や数学での低迷は深刻だ。家庭の経済資本、文化資本が子供に与える影響が強く、社会関係資本はそれに及ばない。でも恵まれない子供たちを教育して実績をあげている「頑張っている学校」は社会関係資本に数えてあげるべきだ。頑張れ

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は教育社会学、学校臨床学。日本学術会議会員。主な著書は『マインド・ザ・ギャップ』(大阪大学出版会、2016)、『日本の外国人学校』(明石書店、2015)、『学校にできること』(角川選書、2010)など。

「2022年 『外国人の子ども白書【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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