いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア (岩波ブックレット 1065)
- 岩波書店 (2022年7月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002710655
作品紹介・あらすじ
いじめ加害者は学校に居続け、被害者の側が外に居場所を求めざるを得ない――こうした歪な現状をどう変えていくべきか。ひきこもり・いじめに関わり続ける精神科医と、教育問題にエビデンスから迫る社会学者が、いじめを取り巻く人々の意識データ、スクールカーストの構造等から迫り、被害者優先のケアのあり方を議論する。
感想・レビュー・書評
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いじめの加害者には処罰とスティグマを。
いじめの被害者が学校に行けない、その代替策を取らなければならない、という「優しい排除」を受けている一方で、なぜ加害者は学校に来ることを止められないのか。
子ども、先生、保護者の中で、被害者側にもいじめられる原因があると考えている率が最も高いのは保護者であった。
つまり、加害者側の保護者が出てきた時点で、いじめは学校で出来る「指導」の範疇を超えてしまう可能性が高いと言う。
だからこそ、学校は「指導」ではなく、まずは「処罰」を、まずは行うべきだと述べる。
スクールカーストに対する教師の立ち位置や、学校教育における「指導」の意味など、読んでいてそう言い切れるか?と思うこともある。(し、恐らく筆者も分かっていて書いている気がする)
ただ、システムとして他者への加害行為に対し、一段重みをつけなければ、「なくならない」という意味は分かるような気がする。
そして、解決への移行手段としてのオープンダイアローグについては、詳しく知りたいと思った。
他者との関係が築きにくい中で、対話に可能性を見出すことの重要性を感じている。 -
教育界に与えた内田良氏の功績は大きい。
齊藤氏の教育観は、精神科医らしいなあと思った。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1310640 -
学校現場の負担は過剰であり、いじめという暴力行為に対してグレーな対応を求められる。そうではなく、警察や地域が目をやり介入し、毅然とした対応で加害者にあたれる世の中になってほしい。
この本を読んだ校長など管理職はどう思うのか? -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50291129 -
【請求記号:371 サ】
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スクールカウンセラーです。
非常に勉強になり、関係者皆に読んでもらって、意見交換をしたいくらいです。
問題の本質に切り込んでいく斎藤先生と、学校現場の実情を理解した上で、かゆいところに手が届く議論を展開してくださる内田先生との組み合わせが最高ですね。
オープンダイアローグについては、慎重に検討する必要があると思います。
いじめの状態によっては、被害児は加害児と場を同じくすること自体、外傷的な体験になり得ます。
虐待では効果があったということですが、親子という愛着関係が仮定される間柄でのことなので、いじめ事案にそのまま転用することはできないでしょう。
アセスメントの力を磨き、オープンダイアローグについてしっかり学んで、安全に場を回せる自信をつけられたら実践してみたいと思いました。 -
いじめ加害者にどう対応するか――処罰と被害者優先のケア。斎藤 環先生と内田 良先生の著書。いじめ加害者はいじめ加害者として叱られたり注意されたりすることはあっても転校を余儀なくされることは少ない。いじめ被害者はいじめ加害者から解放されたいからいじめ加害者のいない学校に転校する。いじめ加害者が反省すればいいけれど反省しないいじめ加害者はまたいじめ被害者を生み出す。いじめ被害者が守られないのはおかしいです。
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いじめ指導について
沢山の気付きがありました。
読んで良かった。
加えて言うと、
学校だけでなく、会社のようなスケールの大きい場所でもある。どれだけスケールが大きくなっても、どれだけ小さな場所でも起きてしまう。「いじめ」が起きた時の加害者の感情は「憎しみ」「除外」など、何らかの理由がある。だが、それを行動に変えるのはおかしい。
世界のいじめに対する処罰は違う。
アメリカやフランスでは罰金や懲役がつく。
どんな方法でもだ。
やはり、日本と世界を相対的に見た時に、
対応の違いが目に見えてしまう。
やはりこれからのいじめ対策は課題が山積みですよね。
長文失礼しました。
感想素晴らしいですね。すごく読みやすかったです。
コメントありがとうございます!
これまで抱えてきてしまったいじめの構図が、学校や社会でタブー視される中で、誰をいかに...
コメントありがとうございます!
これまで抱えてきてしまったいじめの構図が、学校や社会でタブー視される中で、誰をいかに扱うか、そこがまだ揺れているように思います。
教育という目で見ると、難しい課題です……あらためて考える機会になりました、ありがとうございました。