御伽草子 下 (岩波文庫 黄 126-2)

著者 :
  • 岩波書店
3.62
  • (4)
  • (8)
  • (14)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 158
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003012628

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 下巻は
    蛤の草紙
    小敦盛
    二十四孝
    梵天国
    のせ猿さうし
    猫のさうし
    浜出草紙
    和泉式部
    一寸法師
    さいき
    浦島太郎
    横笛草紙
    酒呑童子


    <下>では、「一寸法師」、「浦島太郎」、「酒呑童子」あたりが知名度の高い話か。
    しかし、現代流布しているお話とは若干差異もある。
    「一寸法師」は、現行のものは、姫が法師をかわいがり、打ち出の小槌を手に入れた後、姫が「法師よ、大きくなぁれ」という話の方が主流ではないかと思うが、原話では、法師が自分で自分を大きくしている。
    「浦島太郎」は、乙姫様というより、助けてもらった亀自身が竜宮城で太郎をもてなし、夫婦となる。持ち帰った玉手箱を開けると太郎は鶴になり、亀の妻と蓬莱山に住む。・・・それはそれでありかもね?

    「二十四孝」は中国から来た話。「本朝廿四孝」という歌舞伎や浄瑠璃の演目、落語でも「廿四孝」というのがあるが、なるほど、これを本歌取りしたものか。
    「孝」という通り、親孝行いろいろというところだが、中には行き過ぎているものもあって、ちょっと引く。母に孝行するために子供を殺そうとするとか。冬の最中にタケノコを食べたいという母親の願いをかなえようとするとか。しかしまぁ、やり過ぎと思うような例でも、だいたい褒めたたえられて孝行者にはよいことがあるというのがお決まり。まぁ儒教思想の現れというところなのだろう。

    「梵天国」は世界を股にかけるスケールの大きなお話でなかなかおもしろい。
    「和泉式部」は実在の歌人を主人公にしているが、若き日に産んだ子供を捨てたことになっている。その子が後に、という話だが、少々恐ろしい顛末になってびっくりする。

    いま現在でも当時と同じようにウケるかというと、若干考えるところはあるが、予想外に発想が豊かでなかなか楽しめる。

  • 校注:市古貞次(1911-2004、甲府市、日本文学)

  • 自分の知っている「日本昔話」が、子どものために読みやすく変えられていることがよくわかります。
    時代背景を感じる厳しさを感じるところも多い。
    まずはよく知られている「浦島太郎」「一寸法師」などを読んでみると驚くことが多いはず!

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(佐藤優選)174
    文学の力・物語の力

  • (2012.11.11読了)(2012.10.27購入)
    展覧会で「お伽草子展」を見て興味を持ち、古書店で、文庫の「御伽草子」を捜してみたのですが、下巻だけしか見つからなかったのですが、購入してきました。
    とりあえず、現代語訳の「御伽草子」西本鶏介著、ポプラ社を図書館から借りてきて読んでみたら、なかなか面白い話ばかりだったのですが、23話のうちの8話しか収録されていませんでした。
    岩波文庫版の上巻には、10話。下巻には13話収録されています。
    現代語訳で読んだうちの5話は、上巻。3話は下巻に収録されている分です。
    ということは、下巻を読むと、未読の15話のうちの10話が読めるということになるので、下巻を読んでしまうことにしました。
    収録されている作品は、以下の通りです。
    蛤の草紙 - 小敦盛 - 二十四孝 - 梵天国 - のせ猿さうし - 猫のさうし - 浜出草紙 - 和泉式部 - 一寸法師 - さいき - 浦島太郎 - 横笛草紙 – 酒吞童子
    一寸法師、浦島太郎、酒呑童子の3つは既に現代語訳で読んでいますので、原文で復習ということになります。
    原文でもなんとか内容は読み取れるよ、と言うほかの方の感想を頼りに読み始めました。意味不明な言葉は、註釈を頼りにすればわかるようになっているのですが、なかなか現代語訳を読むようなわけにはいきませんでした。特に、小敦盛と二十四孝は、よく分かりませんでした。他は、なんとか内容は把握できた気がします。
    簡単な内容説明は、本の先頭についていますので、参考にしながら読むといいでしょう。
    出版当時の挿絵もそのまま入れてあるのですが、サイズが小さいのが残念です。
    全体的には、子供向けではなくて大人向けの話のようです。子供向けの現代語訳には、8話しかなかったのは、子どもが読んでも面白い話を選んだということなのでしょう。
    とはいえ、「酒呑童子」などは、かなり血なまぐさい話ですので、小学校高学年じゃないと、怖すぎる気がします。

    ●酒の効用(127頁)
    酒にあまたの威徳あり。うとき人さへ近づき、親しき中はなほ親しむ。遠近の、たつきも知らぬ旅人に、馴るるも酒の威徳なり。
    ●他生の縁(174頁)
    人間の習ひは、一樹の陰、一河の流れを汲む事も、他生の縁と申す也。ひと村雨の雨宿り、いづれもこの世ならぬ縁とこそ、聞き伝へ候へ。

    ☆関連図書(既読)
    「御伽草子」西本鶏介著・井上洋介絵、ポプラ社、2002.04.
    (2012年11月17日・記)

  • 子供の頃読んだ「一寸法師」を古語で読めるとは幸せである。音読すると気持ちよい。

  • 『酒呑童子』の「鬼神に横道無きものを」がカッコイイ!

全10件中 1 - 10件を表示

市古貞次の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×