- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003102398
感想・レビュー・書評
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前編よりも後編の方が、ドラマチックなストーリーである。
節子の好きな人を思う強い気持ちと、岸本の捨てられない気持ちを知ることができる1冊であった。
許されない恋って、燃えるところがある。当事者は、皆言うよねという言葉も見受けられる。2人は、この恋を清算したかったのだ…と、後編のストーリーから読み取ることができる。
人のうわさも七十五日と言うけれど、『新生』は絶版や重版未定になりながらも令和の時代で生き続ける名作である。彼らは、知る由もなかっただろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
周囲に対する節子の反発心・反骨心が、節子自身を不幸にしている
その原因を作ったのはもちろん岸本なのである
それに責任を感じた
…という言い訳を額面どおり受け取っていいのかどうかわからないが
帰国からいくらもたたないうちにまたしても情がわき
関係を持ってしまう岸本と節子なのであった
世間には認められない関係だが、今度は避妊に気をつけたのだろう
しばらくのあいだ幸せな時間が続いた
しかし「懺悔」ということにこだわる岸本は
全てを小説(新生・前編)に書いて発表してしまい
いよいよ兄貴の逆鱗に触れることとなる
節子も同意したとはいうが、実際どんな風に説き伏せられたのか
わかったものではない
しかしそれでまあその結果、岸本(島崎藤村)は一躍時の人になるわけだ
…
近親姦とはいえ、罪に問われるものでない以上
書いて発表することに問題はないはずで
それに異議を唱えるというなら世間のしきたりこそが異常なのだ
と、そこまでは言ってないものの
このアイロニーに満ちた「懺悔」が
世間一般に向けられたものであることだけは間違いないだろう
しかし、なんだかんだで岸本も依存している「家」というものが
なにによって維持されているかといえば
結局は世間的な暗黙のしきたり、空気なのである
それなくして、岸本は節子を支配できただろうか
正直言って疑問だ
晩年の藤村は、東条英機の依頼で「戦陣訓」の作成にかかわったが
そのことについては懺悔する前に死んだ -
「破戒」と同様、評価がわかれる作品。「私」の魂の救済は決してウソではないと思う一方、自己満足の犠牲に不快感を覚える。
この作品を評する適確な言葉がみつからない。 -
芥川さんの有名な、「彼は『新生』の主人公ほど老獪な偽善者に出会ったことはなかった」なんて言葉は、確かにそんな気もしますけれど、単なる偽善者のようにも思えます。よく分からないけれど、ユーズド価格が結構高いです。