日本の島々、昔と今。 (岩波文庫 緑 180-2)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003118023

作品紹介・あらすじ

北は天売・焼尻へ、南は波照間・与那国へ飛び、種子島では鉄砲伝来とロケット基地を、隠岐ではイカ釣船の水揚や流人の歌を島誌に探る。八〇年当時の領有権、日韓大陸棚、二百カイリ問題とは?海も政治も激変したが日本はどこまで日本なのか。昔の問いは今も新しい。

感想・レビュー・書評

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  • 取材を行ったのはかなり前のことになるので、細かい点では色々変わったこともあるだろうが、その根底に横たわる問題は何も変わってないと思う。隠岐とか種子島とか行ってみたいな。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701109

  • 「すばる」昭和55年1月号から昭和56年1月号まで連載のルポルタージュ.
    200海里問題,第二次石油ショックを背景に,日本の離島の現状を漁業を中心に取材した本.上陸できない島(竹島,北方領土,尖閣列島)はできるだけ近ずき,尖閣列島ではヘリコプターで上空を飛んでいる.領土問題があるところは,詳細にその歴史にたちいり,なかなか力の入ったレポート.今,読んでも古さを感じない部分がたくさんあって,世界のできごとに疎い私には大変勉強になった.

  • 海は国境になった 焼尻島・天売島◆鉄砲とロケットの間に 種子島◆二十日は山に五日は海に 屋久島◆遣唐使から養殖漁業まで 福江島◆元寇から韓国船まで 対馬◆南の果て 波照間島◆西の果て、台湾が見える 与那国島◆潮目の中で 隠岐◆日韓の波浪 竹島◆北方の激浪に揺れる島々 択捉・国後・色丹・歯舞◆そこに石油があるからだ! 尖閣列島

  • 著者の作品は「複合汚染」をはじめベストセラーとなっていますが、これまで読んだことはありませんでした。
    ふと本屋で手に取ると、勤務先となった北海道の離島が載っているではないですか。旅もしたくなっている気分でもあり読んでみる。

    取材当時とその過去との比較と明確にテーマが設定されています。過去は江戸時代であったり、文字として記録に残っている限りの昔までさかのぼるのです。
    最近流行の気分と印象のみを伝える紀行文と違い、軽い印象はなく問題提起型です。必ず市の水産課にいって話を聞くという突っ込み旅。というよりルポ。
    深く掘る分やっぱり興味深い話がでてきて面白い。

    当時の水温の上昇についても触れられていて、やっぱりどんどん進行しているんだとダイバー的にいまさらながら衝撃を受ける。

  • (5/31一読、6/8二読)

  • あの「恍惚の人」の有吉佐和子が日本の最西端、最南端の島々から北海道の天売・焼尻島まで飛び、各島の漁業事情を中心にルポして回ったもの。佐野眞一の沖縄本の流れから読むことになったが、これが結構面白い。小説家なので文章に力があるし、政治・社会に物申す言葉も力強い。もちろん漁業だけにとどまらず、その島の歴史も深く掘り下げ、そのどれもが興味深い。またこのルポの原稿を書いていた1980年、今から30年前の社会情勢もしっかり伝えてくれている。(イランのアメリカ大使館人質事件、ソ連アフガニスタン侵攻、それに伴うロシア五輪ボイコットetc.)この当時から石油事情が厳しく漁業の存続が危ぶまれていたということもよくわかった。それから30年、日本の漁業はますます苦しい状況に追いやられている。
     そして、なんといっても最もおもしろいのが北方領土、竹島、尖閣諸島。このころから問題視されていて、今もって何の解決も見られていない。進歩なし。日本って人がいいのね~。有吉さん、生きていらしたら怒りで泡ふきますよね。

  • 著者の語り口が軽妙、歴史から現在のインタビューはとても読み応えあり。ただやはり領土問題に踏み込むと論争的になり、それが何章も続くと読むのには疲れる。

  • 本書は1980年頃に「すばる」に掲載された有吉佐和子による、国境の離島を巡るルポタージュ。奇しくも、石油高騰の時期であり、訪れる島々の漁民の間でも、石油不足が話題に上る。そして、昔は豊富に獲れたはずの魚が乱獲により全く獲れなくなり、他国や国内の他県の人たちとの漁獲競争が起きていた。竹島や尖閣諸島へのアプローチもあり、時代を超えても尚、海をめぐる問題というのは変わらないのだと思い知らされた。

    自分の知らない島、という観点では、北海道の北方四島の話がもっとも興味深かった。北方四島には、北海道にはない紅鮭がのぼる川があり、温泉もあり、冬でも下草が生えるくらい温暖で馬の飼育が非常に盛んだったことという事実に、この四島の豊かさを初めて知った。

    しかしながら、重い問題だけではなく、自分が訪れたことのある島々の風景を頭に浮かべながら、ははぁ、あの集落のあの辺りの記述だな、昔はこうだったのか、と思いをはせるのも楽しい。生きた島の記録が残っていた。

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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