日本の島々、昔と今。 (岩波文庫 緑 180-2)

著者 :
  • 岩波書店 (2009年2月17日発売)
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あの「恍惚の人」の有吉佐和子が日本の最西端、最南端の島々から北海道の天売・焼尻島まで飛び、各島の漁業事情を中心にルポして回ったもの。佐野眞一の沖縄本の流れから読むことになったが、これが結構面白い。小説家なので文章に力があるし、政治・社会に物申す言葉も力強い。もちろん漁業だけにとどまらず、その島の歴史も深く掘り下げ、そのどれもが興味深い。またこのルポの原稿を書いていた1980年、今から30年前の社会情勢もしっかり伝えてくれている。(イランのアメリカ大使館人質事件、ソ連アフガニスタン侵攻、それに伴うロシア五輪ボイコットetc.)この当時から石油事情が厳しく漁業の存続が危ぶまれていたということもよくわかった。それから30年、日本の漁業はますます苦しい状況に追いやられている。
 そして、なんといっても最もおもしろいのが北方領土、竹島、尖閣諸島。このころから問題視されていて、今もって何の解決も見られていない。進歩なし。日本って人がいいのね~。有吉さん、生きていらしたら怒りで泡ふきますよね。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: あ行
感想投稿日 : 2015年4月20日
本棚登録日 : 2015年4月8日

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