あらし (岩波文庫 赤 205-4)

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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003220542

感想・レビュー・書評

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  • 初めに読んだ時は偉大なる赦しのお話しにひたすら感動したが、今思うと、姫の設定にちょっと興味をひかれる。子供から美しい女性になるには、他者としての男性が必要だと思うのだけど、この姫は父と奴隷とのみの隠遁生活で父以外の”人間”すら見たことがない。それなのに、美しい姫君に成長したのだ。考えられる要素のは書物しかない。父親の蔵書で、ギリシャ・ローマの神話や詩、「神曲」あたりであろうか。そういえば何となくベアトリーチェとも共通点があるような気もする。こんどそういう目線で「神曲」をながめてみようっと。

  • 不思議な話だったなぁ。
    魔術は、これまで読んだシェイクスピアとはひと味違う感じ。確かに、ハムレットの幽霊とか、有り得ないものが劇に出てくることはあったけれど、魔術は幽霊ともまた違う感じ。

    なんだかんだでハッピーエンド、そして皆が幸せになって終わるのが良いね。

  • 岩波にしては読みやすい訳ですよ。
    まあ岩波はそもそも字体とか組み方とか字の大きさとか全部読みにくいけどね

    シェイクスピア作品は最初が入りにくい。
    なぜなら、メインだけじゃなくて脇役ががんがん喋るから。
    導入部でずっと喋ってたのが脇役、なんてこともざらにある。最初は人物評と首っ引き。
    でもこの物語はシェイクスピアにしては、登場人物がほぼ最低限にまで削られた読みやすさがあると思う。

    主人公は元ミラノ君主プロスペロー。彼は弟アントーニオーのたくらみによって国を奪われ、娘ミランダとともに漂流の憂き目に遭った老人である。
    そのプロスペローが魔術の力と、救った貸しのある妖精エアリアルの力によって、あらしを巻き起こすところからこの物語は始まる。
    船に乗っていたのは弟アントーニオー。
    そしてその弟と共にプロスペローを玉座から追い出したナポリ君主、アロンゾー。
    アロンゾーの息子、ファーディナンド。老顧問ゴンザーロー。道化師トリンキュロー、膳部方ステファノー。
    まぁ大体こんなとこ。
    憎き相手が来たぞ今こそ復讐の時、ということでプロスペローはエアリアルの力を使って嵐を巻き起こし船を難破させ、自分たちの島に彼らを漂着させる。
    ファーディナンドはミランダと出会い恋に落ち、アントーニオーは今度はアロンゾーを殺そうとたくらむ。ステファノーはプロスペローを殺して島を我が物にせんと考える・・・。
    それぞれの陰謀渦巻く物語の結末は?

    珍しくファンタジーだね。
    『夏の夜の夢』ちっくなファンシーさがあってよいのではないか。なんというか、物語の骨を壊さない程度の魔法というかね。
    これだけ陰謀渦巻いてががんと盛り上がるのに、急にプロスペローが改心するシーンが拍子抜け。
    エアリアルが裏切るとかあっても面白かったのではないだろうか。と、喜劇っぽくないことを願ってしまう。
    ただこれ、幕切れのシーンはすごく印象的でいいですね。メタですが。
    観客みなさまの手拍子で魔術をお破りください。いいなあ。想像するだけでわくわくしますね。
    きれいにさくっとまとまった良作です。テンペスト。なんであらしなんてだっさい邦題にしたんだろう。わかりにくい。

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