- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003225127
感想・レビュー・書評
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岩波文庫 イェイツ 詩集
「アルカディアの森は死んだ〜」に始まり「教会墓地にイェイツは横たわる〜」で終わる構成は、アイルランドの土地に生きた詩人の魂を感じさせる
良かったのは「動揺」。異種共存的な世界観であり、アイルランド生まれのイギリス人かつプロテスタントであるイェイツの複雑な出自を感じた
詩の中に「薔薇」が よく出てくる。愛、恋人、アイルランドの神話世界、神秘主義的体験などを暗喩しているらしいが意味不明なので、アイルランドの血肉と読み替えた
「渦巻」「螺旋」もよく出てくる。死と再生を意味するのだと思うが、一つの円をぐるぐる回る再生でなく、新しいものに変わる再生ということでは?
「火」「緑」「妖精」にケルト精霊的な意味が含まれているように思うが、石や岩のモチーフは何を意味するのだろうか? アイルランドは石や岩が多いのか?何かのシンボルなのか?
韻律がわかりやすい。愛の喜び、老いても悠々とする生き方を感じる詩が多く、怒りなど激しい感情がないので、読んでいて疲れない。夜に読んでも昂らない。
大江健三郎「燃えあがる緑の木」のモチーフとなった「動揺」は 小説の世界と一緒。詩の世界を小説に転換した 大江健三郎の再現力に驚いた
ポストキリスト教文明の無秩序、野獣性を危惧した「再臨」は 宗教的には多様性のない西洋人の恐怖そのもの
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初期の作品は綺麗で好きなんだけど・・・
後の方はなんだか思想くさくてあまりピンとこない。