- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003240519
感想・レビュー・書評
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友人の婚約者に恋をし、そして失恋したゲーテの実体験が元になっています。
「自分のためにウェルテルが書かれたと感じる時期がないならその人は不幸だ」と晩年のゲーテは語ったそうです。僕は「忠告のために」書かれたと感じるかどうかだと思いました。
恋をするとウェルテルのように大言壮語になることは分かります。しかしそれが端からだと精神錯乱状態にしか見えないことをこの小説は冷徹に描いています。
しかしこの小説の恐ろしいところは物語の終盤になってロッテも実はウェルテルに好意を抱いていたと書いているところです。ロッテは婚約者のアルベルトのことだけが好きで、ウェルテルには何の愛情も抱いていないことにすれば話は簡単です。恋とは一方的な思い込みであり、ウェルテルを反面教師として冷静になろうと読者は思えるのに、ロッテもウェルテルが好きなんだから自分にもチャンスがあるかもしれないと余計な希望を抱いてしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いつも現代娯楽作品ばかり読んでいるので近寄りがたい印象だった…わりにはスラスラ読めた。でもウェルテルのストーカー的な恋愛感情がちょっと気持ち悪かった。
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こういう海外の古典的名作を大海をざぶざぶと進むようなイメージで読んでしまうのは、読書をきちんとするように目覚めてから最初にわたしが読むべくして読んだ海外の古典的名作がヘミングウェイの老人と海であったからか。時代も国も違うけれど、この本も荒波の大海に揺られるようなイメージ。前にドストエフスキーを読んだ時もこの感覚だったんだけどなんなんだろう。多分大げさな言い回しとあまりに壮大な感じを受けるからだとおもうんだけど。
凄く素敵で面白い作品。話の筋はすぐに説明できるんだけども、なにしろ本のなかの言葉ひとつひとつにもうわたしは言いようが無い感銘と人間と文学の壮大さを感じてほんとうに鳥肌がたった。人類の歴史史上の傑作との呼び名も高い作品だとは思うけれども。圧倒的なパワーと爆発力がわたしはすきだ。何度でも読みたいとおもう。 -
感情が高揚した熱情
これこそが人の本質
その最も例が「愛」
心が震える、燃え上がる一瞬こそが人が生きる瞬間なのだろう -
ウェルテルの苦悩を訥々と淡々と切々と描き出している。とっつきにくいが読んで損はない1冊。210P超で文学作品が苦手な方でも読み易いかなと。
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こころ
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名前は世界史で習っていた作品。
自分には合わなかったようだ。
一つ一つが切れているような日記帳の作品は、どうも苦手のようだ・・・。 -
要するに知り合いの婚約者に岡惚れして、それが高じて自殺しちゃったという話。
しかし、豊穣な自然への感受性と内面の真実を徹底させれば神様の前に立っても恥ずかしくはないという覚悟が、ウェルテルをして世界文学の中で唯一独特の地位を得さしめた。やはり序盤の、自らの感情を自然の中に流し込んでいく部分の美しさはゲーテがこのタイプの描出の名手であることを雄弁に物語る。
竹山道雄先生の訳文にはややクセがあるけど、文章は美しい。数度読んでじっくり味わいたい本の代表格。
個人的には、ケストナーの報告文をほぼそのまま使ったと言われるウェルテルの臨終の場面も、写実の妙に迫っていて捨てがたい。この小説、最後の部分が報告文の体裁になっていてバランスが悪いと批判する向きもあるようだが、そのいびつさも含めてまた強い魅力がある。 -
私の学がないだけですが、言い回しが難しかったです。
例えば引用であげたP53だけでも、簡単な言い回しなのかもしれないですが
――力もて奏でいでる。――ふたたびかろく息をつく。――五官はくるめく。
とあります。
現在あまり使われる言葉ではないと思うのですが、
私程度の読解力ではすぐにつっかかってしまいます。
そのため思うように物語に入り込めませんでした。
言葉は美しいとは思えません。
しかし表現力は豊かだとは思います。
すっとその場が思い浮かぶような文章は、まさに名文と言えるのかもしれません。
発売当時は社会現象にまでなったそうです。
その歴史的な文学価値は別として
「時代に愛された作品」が、
「時代を超えて愛される作品」なのかどうか、
……正直私には分かりませんでした。 -
ウェルテルの手紙、またアルベルトとの会話の中に人生におけるいくつもの命題に対する筆者の考えが表されていた。
自害に対する考え方が印象的だった。