危険な関係〈下〉 (岩波文庫 赤 523-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003252321

感想・レビュー・書評

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    侯爵夫人は、猫科のハンターである。
    本能のままに狩りをする。
    本能が命じれば、弄ぶことに罪悪を感じない。

    侯爵夫人は、貴族である。
    むき出しの欲求には、絹を着せねばらなないことを呼吸するように行う。
    弄ぶための短剣を、絹に包み、相手の自尊心や無知や劣等感を刺激して、飲ませてしまう。
    情報・心理戦の勝者は、残る。
    敗者は、去る。
    社会から、
    現世から。

    侯爵夫人の思考・行動・ルールは借り物ではない。
    自分で体験から生みだしたものだ。

    だから、
    自らも戦いに敗れたとき、
    その相手が運命だったとしても、去るのだろう。l

  • 心理小説の最高傑作の一つ。書簡のみで構成された書簡体小説。舞台は18世紀のパリ社交界。騙す男女と騙される男女の恋の駆け引きの心理が描かれている。女は食虫植物のように甘い罠で獲物を捉え養分を吸い尽くすと打ち捨てる。男は狩りのように追い込み罠を仕掛け捕獲する。貞淑な女を攻めるのは難攻不落の城攻めをするようだし、手ごわい女とはフェンシングの試合をするかのようだ。嫉妬した女は相手の女の心臓に毒針を刺し、男にも短刀を投げ刺し殺すが死の間際に男も毒ガスを撒き散らして果てる。手紙では理路整然と理性で説き伏せ、目で情感に訴えるのはやはりロゴスのキリスト教徒だからなのだろう。

  • 上巻に引き続き面白かったです。
    下巻はだんだんと二人の計画が破綻、そして破滅へと向かっていくわけですが、登場人物の誰もが哀れに思えます。
    ぜひ最後まで読んでほしいですね。

  • SWIFTIANA三月十七日の記事参照。映画もいいけど、書簡体小説独特のハラハラ感を味わいたければぜひ原作を。なぜハラハラするかと言うと、ある悪者が自分の企みを書いた手紙の後で、騙され役がそれと気付かず悪者の手中に落ちていく様を自ら報告したりするからです。

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著者プロフィール

1741~1803年。フランスの作家。

「2014年 『危険な関係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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