対訳 ペレアスとメリザンド (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003258316

感想・レビュー・書評

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  • 『青い鳥』の著者メーテルリンク(フランス語の発音でメーテルランク)の戯曲。
    フランス語の対訳版。
    フランス語は全体的に平易で、学習に使えると思う。
    初めから最後まで不穏で神秘的な物語。どちらかというと不穏が強い。
    よくある話かもしれないけど、続きが気になって一気に読んでしまった。

  • 追いかけられて逃げてきたメリザンド。他者に語れないほどの出来事。ペレアスとの出会いで新しい生を営めないかと悩むが悲劇が襲う。物語は彼女の娘が受け継ぐのだろう。

  • ・対訳で分かりやすかった。
    ・メーテルランクとメーテルリンクは同一人物で、ノーベル文学賞受賞者。

  • 大渕朗先生(理工学部応用理数コース)ご推薦

     音楽好きの人なら知らない人はいないドビュッシー作曲の歌劇「ペレアスとメリザンド」の文豪メーテルランクによる台本です。モーリス・メーテルランク(1862-1949)は「青い鳥」で有名なノーベル賞作家で詩人、劇作家として知られています。この「ペレアスとメリザンド」は1892年の作品で、有名なドビュッシーの歌劇はもっと後の1902年に作曲されています。
     ストーリーはアルモンドと言う、どこかの王国の王であるゴローとその弟のペレアスが、どこからともなくやって来た神秘的な女性のメリザンドに出会い、メリザンドはゴローの妻となるがペレアスと惹かれあい、それに気付いたゴローにより二人とも殺されてしまうと言う物です(こう書くと不倫の大騒ぎ、みたいな内容に見えてしまいますが極めて静謐な中でストーリーが展開します)。
     「青い鳥」でもそうなのですが、この戯曲は象徴主義と呼ばれる範疇に属していて、ストーリーや登場人物に何らかの人間の心の奥底を表す様な象徴的な意味合いがある出来になっているそうです。しかし私には本当は何を象徴する物語かは正確には解らないのですが、その解らない事が却って神秘的な魅力を増します。
     とは言っても個人的にも感じるのはメリザンドが水の精の様なこの世にいない妖精の様な存在で、それにトリスタン・イズー物語の様な中世の物語に出て来そうな人物が、物凄く静かな動きの中で(中世の物語にはそんな感じはないですが)、伝説と同じ様な物語を展開させると言った趣向の戯曲にも見えます。岩波文庫の解説書ではフーケ―の小説「ウンディーネ」との関わりを随分書いていますが、ドビュッシー作曲の歌劇「ペレアスとメリザンド」に馴染んだ人間にとってはワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の同じテーマ(不倫と言う同じテーマ)で音楽的には真逆を行く作品と言う印象が強いです。つまり、ストーリー的には不倫の物語、どちらも水辺で事件が起きると言った具合に共通性を感じますが、音楽的には大音響で不倫を唄うワーグナーと静まり返った世界で不倫を唄うドビュッシーの違いと言う感じです。
     何にしましても、この「ペレアスとメリザンド」は音楽としても、戯曲としても、どちらであっても神秘的で静謐な世界がとても魅力的で、今迄に会った事のない不思議な美意識の世界を味わう事ができます。

  • <骨肉の争いが音楽でエレガントに……!?>


    『青い鳥』の作者、と言えばぴんと来るかたが多いのではないでしょうか。ベルギー人作家・メーテルランク(メーテルリンク)による戯曲に魅せられています。

     きっかけは音楽♪ フルートとハープの調べがエレガントなフォーレの組曲『ペレアスとメリザンド』に、うっとり聴き惚れてしまった体験です。『シシリエンヌ』の旋律はまるで魔法♪ ただ、ネット検索したら、フォーレをさしおいてドビュッシーのオペラ版が上位表示されるね……?
     とまれ、当代きっての作曲家が二人も音楽表現を手がけしこの作品に、関心が一層深まり、戯曲も読んでみた次第です★

     その『ペレアスとメリザンド』は、一人の女性につき二兄弟という、まあよくある三角関係(かな?)が引き起こす悲劇。
     架空王国アルモンドの森で、ゴロー(日本人ではない)は神秘的な女性メリザンドと出会います。ぶつくさ意味不明なセリフを呟いてる彼女……。しかしゴローは惚れこみ、自分の城に連れ帰って妻とします。すると、ゴローの弟ペレアスも、彼女の美に強く惹かれてしまうのです。
     ああ、許されざる恋に落ちるペレアスとメリザンド! なんて哀れなゴロー! そしてこの愛は死を連れてくるーー

     フォーレの劇付随音楽は清楚な癒し系なのに、話はわりと俗っぽい(笑)。戯曲ってこの種の恋愛のいざこざが珍しくないですよね!? 骨肉の争い、悲劇の血なまぐささを、音楽で程よく中和していたのでしょうか。

     話自体はこんな感じだけれど、胸を突かれるような情景が数多いのです★
     昼なお暗く深い森のなかで、ひとり泣いている儚げなヒロイン。その乙女の心は、若きペレアスに移ってしまう……。
     とりわけ、噴水と指環のシーンが象徴的。ゴローがくれた指環を、噴水のなかに落としてしまうメリザンド。輝きながらも水に沈み、離れていった指輪。このシーン、創作者には特殊なインスピレーション源のような気がします☆

  • 原書名:Pelléas et Mélisande

  • なんで、この程度の戯曲が数多くの作曲家を魅了したのか不思議で仕方がない。ギリシャ・ローマ神話にはふんだんにあるのに、不倫ものが、そんなに珍しかった?
    余計なことを書き足せば、この本の訳者・杉本秀太郎は京都系の人らしい。対訳スタイルで、フランス語はよくわからないが、場違いな日本語の選択があって、そこで冷める。解説に至っては、はっきり言ってキモい。

  • 嫉妬に苦しむゴローの姿が印象的。若い二人の逢瀬の場面も美しいが、ヒロインはついに謎めいたまま退場してしまう。王国の飢饉などの、よく分からない伏線もいくつか。抑えておくべきお約束があるんだろうか。

  • 20141128

  • 意外な展開もあったけど、全体的には無駄に冗長かな。
    『イノック・アーデン』ほど詩的ではなし、『トリスタン・イズー』ほどドラマチックでもなく…。
    音楽でいうところの、古典とロマン派の違いと言えば、たしかにそうだが。
    風景描写がちょっとした魅力かな。

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