- Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003261828
感想・レビュー・書評
-
各家族の特徴がすごく現れていると思った。
アンドレイ、ニコライ、ピエール、それぞれに不幸が降りかかり、新たな気持ちも芽生えくる。
ピエール、良い人なんだけどなあ。
繊細な感覚を持っているのに、あまりにも鈍いとこものあったり…。
哲学が見え隠れする。
冗談みたいな砲身清浄棒の奪い合いや、フリーメーソン入会式の精彩を欠く言葉のやりとりとか、トルストイのこういうとこを書くところが好きです。面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争の記述は少々読みにくかったものの、そのほかの人間模様は興味深い。
理想主義者のアンドレイが失望して行く様、もともと平和主義で人当りのいいニコライが戦闘の高揚感を楽しんでしまう様。そうなんだね、多分。戦争は嫌いだ、反対だと言っていても、いざその中に置かれると人間は意外とその状況を楽しんでしまうのかもしれない。
相反して状況を傍観しながら決して自分はその中に染まらず、只管己のみのボルツには反感を覚える。でも実際には多い、こういう人。 -
2巻になって、ようやく人物の名前も覚えてきて、面白くなってまいりました。戦争の方は主にアウステルリッツの戦い、平和の方は、ピエールの決闘やら戦後のニコライ、アンドレイの生き方などでしょうか。それぞれのドラマがとても面白いです。
戦争映画は21世紀になってCG技術の発達により、リアルに描写されるようになりました。しかし、意外と小説以上に戦争の物語を描ける媒体は無いのかもしれません。この小説で描かれる戦争のかっこよさ、そして悲惨さ、歓喜と絶望、人間という存在のちっぽけさ、そんなとこまで隅々まで描けた映画はまだ存在していないと思います。
また、この文庫本ではアウステルリッツの戦いの戦闘の図解もあったりして、まあそこまで理解できませんけど、ああニコライとアンドレイはこのへんにいたのねー、と理解の手助けになります。
人間ドラマの点でも、脇役のドーロホフの意外な一面、また一転して残酷だったり、デニーソフの病院に1巻で活躍したトゥシンがいたり、多数の登場人物の運命や、女性たちの姿(トルストイは女性の書き方が的確だと思う)もそれぞれ個性的で面白いです。悪女?エレンもそれなりポリシーがあるような気がして、嫌いにはなれませんね。
まだまだ子供のナターシャやソーニャの恋の物語もこれからどうなるのか楽しみです。で、岩波文庫はネタバレをしないようにしてほしいですw -
それぞれ転換期、方向性が出て来る。
レビューは最終巻で。 -
(2016.03.24読了)(2016.03.13借入)(2009.01.15・第4刷)
第一巻を読み終わってからちょっと間をあけて、第二巻を読み始めたので、「第一巻のあらすじと第二巻の展望」は、助かります。
第一部第三篇では、
ピエール君やマリアさんの結婚相手探しの話のあと、戦場に移って、アンドレイ、ニコライ、ボリスたちの戦場での様子が描かれています。
第二部では、
アンドレイは、戦場で瀕死の重傷を負いますが、ナポレオンに助けられて、捕虜となります。釈放されて家に戻ったら、丁度、妻のリーザが出産中で、子供は生まれましたが、リーザは亡くなってしまいます。アンドレイは、再び戦場に出る事なく暮らしたいと思い、父親の義勇軍募集の仕事を手伝っています。
ピエールは、多くの遺産を相続し、多くの人たちにちやほやされた上にエレンと結婚します。そのうちエレンの浮気を疑い、浮気相手と疑った男と決闘に及び、相手を傷つけてしまいます。立会人はニコライです。
エレンとは別れ、自分の相続した領地に戻る途中で、フリーメーソンに誘われ、社会貢献に目覚め、入会します。フリーメーソンに妥当な寄付を行い、自分の領地の農民たちの生活向上を管理人たちに命じますが、簡単には善意は伝わりそうもありません。
適当に中間搾取にはげんでいる管理人たちがピエールのやりたいようには動くはずもありません。世間知らずのピエールの善意は空回りしそうです。
軽騎兵連隊に所属するニコライは、戦場から友人を連れて自宅に戻ります。ドーロホフに誘われトランプの賭博に参加しますが、4万3千ルーブルもの大金を取られる羽目になってしまいます。自分では払えないので、父親に支払ってもらいます。貴族とはいえ、あまり裕福ではなさそうなのですが。失意の状態で、部隊に戻ります。
ニコライは、戦場にいたとき、病院に行ったことがあり、病院での兵士たちの惨状を見て戦争に対する疑念が生れていた。
この巻の終わりで、ナポレオンとの戦いは、和平を結び、停戦となった。
年表によると1807年6月のことです。
まだ先は長いですね。ドーロホフとデニーソフがごっちゃになって、一時訳が分からなくなりましたが、全体としては、読みやすく、興味深い物語です。
【目次】
全巻目次
『戦争と平和』系図
主要人物紹介
第一巻のあらすじと第二巻の展望
第一部
第三篇
第二部
第一篇
第二篇
『戦争と平和』年表
●決断(38頁)
ピエールは自分がついに、ある一つのひとつのことばを口にし、ある一線を踏み越えることだけを、みんなが待ち受けているのを知っていた。また、彼は自分が遅かれ早かれその線を越えるだろうということを知っていた。
●マリア(63頁)
よくないのは服ではなくて、マリアの顔と姿全体だったのだが、ブリエンヌと小さな侯爵夫人はそうとは感じなかった。
●生きる支え(247頁)
どこにこの生を生きる支えを求め、生のあとに、かなたの、墓の向こうに何を覚悟すればいいのかがわかったら! どんなにおれは幸福で、安心だろう、今、主よ、我を憐れみたまえ、と言うことができたら!
●人生の疑問(391頁)
ルイ16世が処刑されたのは、彼が罪人とみなされたからだが、一年後には、彼を処刑した者たちが殺されてしまった。やはり何か理由があったのだ。何が悪いんだ? 何がいいんだ? 何を愛さなければならないのだ? 何を憎むべきなのだ? なんのために生きるんだ、そして、おれはいったい何者だ? 生とはいったいなんだ、死とはなんだ? すべてを支配しているのはいったいどういう力なんだ?
●幸福と不幸(479頁)
「僕が人生で知っている真の不幸はただ―悔恨と病気だけだ。幸福とは、こうした不幸がない、ということでしかない。この二つの悪だけを避けながら、自分のために生きること、僕の知恵は今ことごとくこれに尽きる。」(アンドレイ)
●名誉のため(480頁)
僕は名誉のために生きてきた。名誉っていったいなんだい? やっぱり他人への愛じゃないか、他人に何かをしたいという気持ち、他人にほめられたいという気持ちじゃないか。つまり、ぼくは他人のために生きてきて、あやうくどころか、完全に自分の人生を台無しにしてしまった。そして、自分だけのために生きるようになってから、落ち着いたんだ。(アンドレイ)
●医学(484頁)
医学がだれかをこれまでに治したことがあるなんて、あきれた妄想だ……殺すことなら―たしかだがね!
☆関連図書(既読)
「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
(2016年3月27日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは…様々な人生の一方でナポレオンはロシアを屈辱の講和へ導く。 -
アウステルリッツの戦いまで。
-
レビューは最終巻に。
-
2012年6月21日(木)、読了。
-
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003261828
── トルストイ/藤沼 貴・訳《戦争と平和(2)20060216 岩波文庫》
-
モスクワ、ロシアなどを舞台とした作品です。