七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003271926

感想・レビュー・書評

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  • 全体的にはあまりおもしろくなかったが、「マント」だけはすごく良かった。単に戦死したあと実家に立ち寄るというだけでなく、それは世界の主がそうしたのだという描き方がいい。神ではなく、飢えた乞食のような世界の主が。
    雰囲気が「西部戦線異状なし」の帰省シーンと似ていて、母親が気の毒で戦争反対って気になる。

  • 知らない作家でしたので、新鮮な気持ちで読めた。解説によると作者は幻想的で寓意に満ちた作品を得意とするらしい。個人的には「七人の使者」などは、ある意味、真っ直ぐに自分の使命に対して突き進む強さを感じさせる物語であるし、「7階」は、本当に怖いホラーとして読めた。

    目的地があるのだが、たどり着かない。何かを探してるのだが見つからないというモチーフの作品が多く、それが不条理さを感じさせるのだろうが、いい意味で岩波らしからぬ作品集のように感じた。

  • author is very shy and nervous. 他的性格很消极。

  • 急行列車

  • 光文社古典新訳との重複は15編中4編、収録されている作品は宗教的なものより不条理に焦点を当てた印象。翻訳の読みやすさはさほど変わらず、個人的には硬質さの残る岩波のほうが切り詰められた生を描くブッツァーティの作風に合ってる感じがして好みである。当然ながらいずれの作品も素晴らしく、もはや引き返せない後悔や理解できないものへの困惑、盲信的な愚かさを暴き立てながらも決して悲壮さを感じさせないその手腕には相変わらず舌を巻くばかり。「罪悪も、悔恨も、悲しみもない人生に一体なんの意味があろう?」全く以てその通りだ。

  • イタリアの現代作家、ブッツァーティ(1906-72)の『六十物語』(1958)のなかから15篇が翻訳されている。幻想的な短編だが、カフカのような突飛な想定はなく、マルケスのように振幅が大きくはない。静かといっていい雰囲気である。最初の三篇(「七人の使者」「大護送隊襲撃」「七階」)は見知った世界から「遠ざかる」感覚がかかれている。「なにかが起こった」では疾走する特急列車が舞台で、自分たちが知り得ないところで危険が迫っている感覚を描いていて、戦中の心理状況をよく表していると思う。「竜退治」も冒険のつもりが虐殺になっていく物語だが、やはり戦争を暗示していると思う。「神を見た犬」「円盤が舞い降りた」「聖者たち」などは「信仰」について考えさせられる作品である。

  • 当たり前のことが、当たり前のように描かれる。
    でも読む者に当たり前と感じさせるものは何だろう。
    「人間は本質的に時間的な動物」だというフレーズを思い出したが、
    そんな哲学的なものでなくてもっと簡単なことだと思う。
    有体にいえば……
    人は生まれてからしばらく後に
    成人となり
    老い始め
    体力が衰え
    気力が衰え
    感受性が衰え
    それでも時には生の輝きを身にまとい、
    最後には世界から退場する。
    そんなことを前提として……
    平均寿命がどんどん伸びたという近代の成果は、少年期や青年期よりも壮年期や老年期を相対的に長くした。それゆえに人が抱えることとなった近代の毒のようなものがあるのように思う。

  • 不条理な寓話世界が綴られる短篇15篇。

    そんな物語が心の琴線に触れるのは現実も不条理だからでしょうか?

    独特の醜さと愉しさの“神を見た犬”、“竜退治”と“円盤が舞い降りた”に、感傷的な“大護送隊襲撃”と“聖者たち”がお気に入り。

    とってもBravo.

  • 寂しさと不安が常に漂っている。人の生の寂しさというテーマはこれまでに出会って意識してきたけど、これだけ執拗に繰り返し日常の不安の存在を示されるというのは印象的だったな。あと神と犬の組み合わせなぜか好きなんだけどなんだろう。

  • 面白い。訳が上手い。素晴らしいと思います。

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