孫子 (岩波文庫 青 207-1)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003320716

感想・レビュー・書評

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  • 〇学んだこと
    1.戦いに巧みな人が勝利した場合には、智謀優れた名誉もなければ、武勇優れた手柄もない
    ⇒英雄がいない勝利を実現することが重要。勝利することが当然である状況を準備する
    2.包囲した敵軍には必ず逃げ口をつくり、進退きわまった敵をあまり追い詰めてはいけない
    ⇒後退の余地を与えることが、結果的に我の損耗を極限するためには重要。敵を追い詰め過ぎないように配慮すること
    3.智者の考えは、必ず利と害を交え合わせて考える。利益のある事は害になる面も考えるから、仕事はきっと成功するし、害のある事にはその利点も合わせて考えるから、心配事も解消する
    ⇒心配毎で目の前が暗くなったときは、この言葉を思い出すことでストレスが緩和されるかも

  • 本文を読む価値は言わずもがなですが、解説も丁寧に読む価値があります。戦いにおける突き詰めた現実主義、主導権を握る事の重要性、など他の孫子の解説本を読む前に是非読むべきなのではと思いました。
    「彼れを知りて〜」で有名な文はありますが、私が1番気に入ったフレーズは、「故に明主賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出づる所以の者は、(中略)必ず人に取りて敵の情を知る者なり。」ですね。要は知るためには、結局は誰が見てこないと現実は分からないって事なのでしょうが、それだけ知るという事は難しいし重要だという事で、SNSやネットニュースに囲まれる現代では耳が痛い話です。ビジネスで調査などする時にも、希望的観測だったり、上司の言う事を鵜呑みにするのではなく、自分で動いたりするって事も重要なのかなと思ったりもします。

  • 【要約】
    p.28 5つの事柄、7つの目算
    <事柄>
     一 道(政治のあり方)
     二 天(自然界のめぐり)
     三 地(土地の情況)
     四 将(将軍の人材)
     五 法(軍制)
    <目算>
     一 敵と身方でいずれが人心を得ているか
     二 敵と身方でいずれの将軍が有能か
     三 自然界のめぐりと土地の情況はいずれに有利か
     四 法令はどちらが厳守されているか
     五 軍隊はどちらが強いか
     六 士卒はどちらがより訓練されているか
     七 賞罰はどちらが公明に行われているか

    p.32 戦争とは詭道である。

    p.40 兵役を繰り返して徴発せず、食料は三度と国から運ばず、軍需品は自国のものを使うが食糧は敵地のものに依存する。

    p.45 敵国を傷つけずにそのままで降伏させるのが上策。

    p.56 まず身方を固めて誰にも打ち勝つことのできない態勢を整えた上で、敵が弱点をあらわして誰でもが打ち勝つことができるような態勢になるのを待つ。

    p.103 用兵の法
    1 高い陵にいる敵を攻めてはならず、
    2 丘を背にして攻めてくる敵を迎え撃ってはならず、
    3 険しい地勢にいる敵には長く対してはならず、
    4 偽りの誘いの退却は追いかけてはならず、
    5 鋭い気勢の敵兵には攻めかけてはならず、
    6 こちらを釣りにくる餌の兵士には食いついてはならず、
    7 母国に帰る敵軍は引き止めてはならず、
    8 包囲した敵軍には必ず逃げ口をあけておき、
    9 進退きわまった敵をあまり追いつめてはならない。

    p.106 智者の考えというのは、必ず利と害をまじえ合わせて考える。

    p.110 将軍にとって5つの危険なこと
    1 決死の覚悟でいる   →殺される
    2 生きることばかり考える→捕虜にされる
    3 気短で怒りっぽい   →侮られて計略に陥る
    4 利欲がなくて清廉   →辱められて計略に陥る
    5 兵士を愛する     →兵士の世話で苦労する

    p.115 軍隊を駐める場所
    高地、日当たりが良い、水や草が豊富

    p.164 敵の意図を十分に把握すること。

  • 孫子の兵法は、聞いたことがあるが、
    どのような内容で、どのような文の構成になっているのか?を知りたくて、より、難しそうな方を選択しました。

    結果的に、岩波文庫を選択しました。

    率直な感想は、とても奥が深いと感じました。
    単に、戦い方のことについてのみ書かれているのかと思っていましたが、それはとても浅い理解であることに気づきました。

    ぜひ、読むべき価値のある内容だと感じます。

  • 歴史は古くても今の世に役立つ言葉が散りばめられている

    詳しくはこちら
    https://takeoido.hatenablog.jp/entry/2023/05/02/084851

  •  2000年以上前のものであるのにもかかわらず、現代人が読んでも多くのことを学べる本。本書は、古代中国(春秋時代)に活躍した孫武の兵法をまとめた戦術本であり、ゆえに戦争関連を中心に取り扱うのであるが、これは単なる戦術本ではない。この本は、組織論、諜報活動、政治、ビジネス等々、幅広い分野において応用が利く優れた実用書だ。実際、ビルゲイツや孫正義など著名な実業家が愛読するほど、幅広く読まれている。そのため、本文自体は200ページ足らずの短い読み物だが、その中身は、普遍的な手法が組み込まれており、ゆえにどの箇所を読んでもためになる。これは本書に限らず、古今東西の名著に共通する。
     評者は以前、大橋武夫『孫子 兵法』(PHP文庫)を読了し、岩波文庫版で実質2回目となるが、今回は白紙の部分に随時メモをとりながら精読した。改めて読んでみると、自分がここ1年で読んだ本で紹介されたスキルが、本書にふんだんに盛り込まれてたことを再度認識した。
     それにしても、今回読んで思ったのが、日本がなぜ第2次世界大戦で敗北したのか、その答えが抽象的ではあるが十二分に書いてある(具体的な事例は『昭和16年夏の敗戦』、『失敗の本質』、『組織の不条理』が参考になる)。自国の資源が乏しい日本では、いかに自国では確保が難しい物資を隣国を通じて国益を守るのか、その重要性がわかる。本書の有名な文言「戦わずして勝つ」ためには、相手の具体的な情報を熟知しなくてはならない。これらの注意事項が本書で繰り返し警告されている。
     また、ウクライナ侵攻以降のロシアとNATO、また台湾をめぐっての米中の緊迫した状況など、昨今の世界情勢を本書と照らし合わせて読むと、各国の動向、とりわけ中国の戦略が見えてくる。競争社会(国内、国外にかかわらず)で生き残る術も書いており、真に本質をついている。
     これ以外にも、この本で紹介された兵法を、多くの分野、問題と併せて読むと、その実態、本質を見抜けるほど、さまざまなことが載っている。いずれにせよ、本書はあらゆる古典の中でも、年齢、個人的な性格や信条にかかわらず、誰もがなにかしら学べるのではないだろうか。

  • そんしー

  • 争いごとに勝利するための方法や心構えについてあらゆることが書かれています。
    必勝を期すためにはいかに頭脳明晰な人間であっても、気の遠くなるような準備が必要であることがわかりました。
    滅多なことで争いごとを始めてはいけない、周囲と争わずに落としどころを見つけ調和することが賢く生きることであると、この本は語っているのだと感じました。

  • どうてんちしょうほう
    君主人心 将軍有能 土地 法令 軍隊強いか 訓練 賞罰
    あざむくこと
    敵を知り自分を知り土地や自然の巡りを知ると勝てる
    戦わずして勝つことが最高
    食料は現地調達
    スパイは大事
    迂直之計
    仕事は目立たないもの

  • 孫子の教えに、昔も今の惹かれる人が多いのがよく理解できる。
    兵法としてだけでなく、よりよく生きるための書である。
    この1冊だけではその教えを十分に理解することは難しいので、
    「韓非子」や「老子」、そして種々の歴史書とともに読みたい。

著者プロフィール

1920年、三重県生まれ。東北帝国大学法文学部支那哲学科卒業。文学博士。東北大学名誉教授、追手門学院大学名誉教授、日本学士院会員。2003年、勲二等瑞宝章受章。著書に、『秦漢思想史研究』(平楽寺書店)、『管子の研究』(岩波書店)、『淮南子の思想』(講談社学術文庫)などがあるほか、訳書に、『論語』『荀子』『荘子』『韓非子』『孫子』『大学・中庸』(いずれも岩波文庫)など多数。2006年、逝去。

「2022年 『死と運命 中国古代の思索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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