ウパデーシャ・サーハスリー: 真実の自己の探求 (岩波文庫 青 264-1)
- 岩波書店 (1988年4月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003326411
作品紹介・あらすじ
しばしばインド最大の哲学者とよばれるヒンドゥー教の哲学者シャンカラ(700‐750)の教説集。「生と死というワニが出没する輪廻の大海」から脱する道はただ一つ、我が内なる本来の自己アートマンが宇宙の根本原理ブラフマンと同一であるという真理を悟ることにあると説く。表題は「千の詩節からなる教説」の意。本邦初訳。
感想・レビュー・書評
-
アートマン、ブラフマンが何を指すのか、読んでも理解できなかった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古代インドのウパニシャッド哲学はほんとうに面白い。
この本は中世8世紀のシャンカラによるもので、古代の聖典に注釈を加えながら、解釈上の一派をなした人物と思われる。
それにしても、ブラフマンとかアートマンという、きわめて抽象的であって、形象も何も伴わない概念が、インドという国で連綿と伝わってきたということに不思議を感じる。われわれから見て、これらはいかにも漠然とした概念なのだが、古代から中世にかけてのインドでは明確に哲学の中心概念であったということが神秘的だ。
しかし、単に神秘なのではない。特にこの本の後半の「散文編」を読めば気づくように、なかなかに研ぎ澄まされた論理構造が、この哲学には含まれている。
訳文にふつうに出てくる「主体」とか「統覚」とかいった語は、西欧哲学に学んだわれわれの言語におけるそれと、意味やニュアンスにおいて、きっと微妙に異なっているのだろうと思うが、その辺の事情については解説でも触れられていない。そこが重要なのではないだろうか。 -
新書文庫
-
ある意味での実用書 。しかし、自分にうまく使えるとは限らない。
-
三島の「豊饒の海」を最近再読したので、ついでにインド関連本再読キャンペーン中。
師匠が弟子に教え諭す、あるいは問答の形でアートマンとブラフマンについてどのようなものであるか延々述べられているのだけれど、正直やっぱり難しい。ざっくり概念としてのそれはなんとなく理解できるけど、つまり実践は無理だし、体得できそうもない。
「生と死の鰐の出没する輪廻の大海」からの解脱・・・当分無理そうです。 -
さっぱり分からない。ともあれ、仏教が反論を必要とするぐらいには大きな勢力を持っていたというのと、「聖典に書かれているから正しい」ってのは価値観を共有しない人間には説得力を持たないなあってのは分かった。
-
岩波ブックセンターで購入しました。
(2014年2月13日) -
ヴェーダーンタ学派の人、シャンカラの説く不二一元論。
ブラフマンとアートマンは同一である、と言うこと。
ウパニシャッドをちゃんと読もうと思った…。 -
仮面の仏教徒と呼ばれた、ヴェンダーンタ学派シャンカラの不二一元論。物質世界は無明によって誤って想定されたマーヤー(幻影)のように虚空であるとし、梵我一如を説く。ウパニシャッドの解釈学としてのヴェンダーンタ学派の根本聖典「ブラフマ・スートラ」の実在論的一元論を幻影主義的一元論と再解釈した。不二一元論はウパニシャッドの梵我一如思想への回帰である。
梵我一如の思想はウパニシャッドに始まる。またウパニシャッドに於いて業・輪廻・解脱の思想が明確化された。 -
インドの哲学者シャンカラ(700-750)の著作『ウパデーシャ・サーハスリー』の前田専学氏による全訳。