- Amazon.co.jp ・本 (551ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003360187
感想・レビュー・書評
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哲学に馴染みの無い人も、きっと好奇を持って読んでゆける良書。現代一般に、悪い、ズル賢い人々が金儲けに長け幸せな人生を送っている、とされることがあるが、本書では真の正義こそが人、せはの集合体である国家を真に幸福にするかとができる、とあるが如何なものか。これは人類にとって普遍的論題であるが、なかなか答えのない問いのように思えてならないのである。
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ソクラテスを語らなければよかった。
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久々に読むのに骨が折れた。
正義とは何か、正しい国家の姿とはどのようなものなのかを根源的に問い詰めたプラトンの著書。ある種の理想の姿なのかもしれないが、この理想を目指して失敗したのがナチス・ドイツだったりレーニンのソヴィエト連邦だったりポルポトだったりするのだろう。家族を否定し、心を揺さぶる娯楽的なものを排除し、理想的な人間の完成をひたすらに目指す。宗教の原理主義もこんな感じなのかもしれない。
だが、だからと言って本書を悪書とは思わない。元来哲学とか思想とかは、斯様に根源的であり、社会にとって劇薬―薄めると薬にもなり、原液だと毒にもなる―であるべきだから。
とは言え、私はプラトンよりもホメロスを愛す。 -
言葉が何者だというのですかと以前先生に尋ねた。わたしには言葉がどうしても単なる音であってそのパフォーマンスを心得たものが理知あるとみなされているように思えていたから。
この本を読んでその答えを見つけられたように思う
「画家は手綱やはみを描くであろう、しかしそれを作るのは革職人や鍛冶家だろう」作家であるホメロスも音楽家も女優も実際には、語るそのものについての知識を、技術を、持ってはいない。それは神から数えて三番目の職となる。(二番目は実際にそれを作り出す人のこと。)しかし
言葉の意味に対する共通理解がなければ勘違いといざこざが絶えないだろう。そのうえで共通認識を持たせるために文化、文芸が発達したのであり快い音とは、美とは統治に欠かせないものだろう。しかし現代ではより多くの富を得ることが快いとされるために自ら創り出すよりもそれを演じる人たちをうらやましいと思うのである。やはりここでも形骸化が起こっているといえると思った -
最初、哲学史を理解するための教養として読むつもりで手に取ったのだけれど、その気高い思想に触れるうちに読むこと自体が快楽になってしまった。たとえ、本書で語られている内容がほとんど理解できなかったとしても、著者がこれを書かざるをえなかった動機のようなものは感じ取れると思う。そして、それだけでも本書を読んだ価値はあると断言したい。
個人的には、これまで頭の中でばらばらの点として存在していた数々の思想が、一応弱いながらも一定の線を描きつつあるように感じられたことも含めて非常に満足のいく読書となりました。 -
プラトン以降の歴史は全て、彼の手の平の中だったのかもしれない-そんなことを痛切させれらる。とにかく国家の形態とその推移に関する分析は圧巻だった。ここでプラトンは自由と平等を愛する民主主義というのを決して優れた国家形態とはみなしていない。またこの制度は富者が支配する寡頭制に対する反発として、寡頭制の次に必然的に現れるものと考察している、正に歴史がそれを証明している通りに。そして何より恐ろしいのは、この民主制というのが自由と平等を愛する結果、守るべき秩序も失われ僭主独裁制、つまりファシズムを必然的に生み出すものと描かれているのだ。そう、歴史は今まさに、その事実を証明しようとしつつある。
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プラトンが国家で、ソクラテスに哲人王として君臨すべき人物として彼を想起させるような論理展開をさせたことはやはり、『ソクラテスの弁明』の結果処刑されたソクラテスに対する複雑な感情と、民衆のみならず、都市の頭脳たちに対する不満と怒りの念が会ったからであろう。
教育論も語られていて、読み物として面白いのでぜひ一読してはいかがだろうか。 -
請求記号 : 131.3||P||下
資料ID : 91091740
配架場所 : 工大君に薦める -
高貴な嘘ぱねぇ
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古典から正義について知るにはプラトンの『国家』の右に出るものは無いでしょう。いきなり理想の国家の設計図を描こうとするのではなく、「老年の平和と自由」をめぐる意見交換から始めて、「正義と幸福」は果たして両立するものなのかと言う難題に立ち向かっていきます。