純粋経験の哲学 (岩波文庫 青 640-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003364062

作品紹介・あらすじ

プラグマティズムで知られるアメリカの思想家ウィリアム・ジェイムズ(1842‐1910)は、心理学、宗教学、哲学の各領域で多大な影響力をもった。ジェイムズが晩年に追求した彼なりの体系的な形而上学"純粋経験の哲学"の構築を、よりシャープなかたちで跡づけるべく、『多元的宇宙』『根本的経験論』所収の論文を編訳。

感想・レビュー・書評

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  •  このタイトルでウィリアム・ジェイムズが書いたのではなく、諸論文と講演録から日本の編集者が編んだもの。中身は1904年から1909年の文章らしい。
     兄のウィリアムは小説のように分かり易い哲学書を書き、弟のヘンリーは哲学書のように難解な小説を書く、という評のとおり、ウィリアム・ジェイムズの本は平易な文章のイメージが強い。が、本書はなかなか分かりにくくて、「そういうことか」と呑み込むまでに時間が掛かった。
     内容の核心部分は、私にとってほぼ同意したくなるようなもので、やっと論旨がわかってきたところで、もう一度最初から読み直したくもなった。
     が、やはりオリジナルの著作ではないので、もういちど『プラグマティズム』など読み返してみたい。

  • 初ウィリアム・ジェームズ。結論最高。
    意識への探究が超自然主義やオカルトへと進んでいく、そんな彼自身の思考過程を楽しめる構成になっていて大満足。
    主要題目である純粋経験の考察も鋭い視点かつ論理的な物言いで説明されていてバカな自分に優しい。
    読者を能動的な行動や実際的経験へ駆り立ててくれる素晴らしい良書だと思います。
    あとベルクソン読みたくなりました。


  • 人生の主な特徴の一つは、其れが余分な物に満ちたると云ふ事なり。如何にもあれ、人が何かを得ると云ふ時には必ずとて良き程、余分な物まで得てしまふ物なり。余計な物をも含みた全体を前にして、見ゆるのも厭と云ふ気持ちにならずに済めば、其れ丈でも幸運なると云ふべし。

  •  rationalismを排斥しつつ,従来のempiricismと一線を画しながら自身の立ち位置を確保しようとする時代の空気感がとても良く伝わってきます。たぶん当時としては相当突飛なことを言い出してるんだけど,批判に丁寧に応える姿勢は学者としての慎みみたいなものを強く感じます。
     今更ながら,ベルクソンとの関連が良く見える。日本に輸入するにあたって,プラグマティズムって括りは,あんまり良くなかったのかなぁと思う。この点はパースやホワイトヘッドとの関係も含めて,もう少し考えてみたい。

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著者プロフィール

(1842年1月11日 -1910年8月26日)アメリカを代表する哲学者・心理学者。「心が変われば行動が変わり、習慣、人格、運命、人生が変わる」と主張し、その心の持ち方に注目した考え方は、欧米の知識人だけでなく、日本では西田幾多郎や宮沢賢治等に大きな影響を与えた。『心理学について』や『多元的宇宙』は、ともに彼の代表作。

「2014年 『多元的宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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