近代の政治思想―その現実的・理論的諸前提 (岩波新書 青版 A-2)
- 岩波書店 (1970年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004100027
感想・レビュー・書評
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1960年代の講演であることに時代を感じる。政治思想の由来を紐解きながら、最後に当時の問題意識に焦点を当てる。
「人間のつくりだしたものが非人間化して、人間に対立し、人間を非人間化するのが、まさに現代の特色」
この問題提起と回答を探るとすれば、おそらく当時の言論界としてはマルクス主義的なものを土台とすることが一般的だったことだろう。歴史の法則に光をあて、革命を含めたパラダイムの変革を呼び起こす…と。
もしそうだとすれば本書はその対案を示しているのかもしれない。いかに近代的な事物であってもそこに関わる生身の人間いるわけで、人間ひとりひとりを信頼し、憐憫や同情を持って思想的に訴える。エンタープライズが日本に出入りし、冷戦下で核戦争が現実味を帯びる時代、それでもまだ、いやだからこそ人の可能性を信じている。
現在本書の議論に窮屈さを感じるのは、問題提起も回答も近代思想の枠組みの中でこねくり回しているようにみえるからだ。科学的理性とは異なる理性的な何かを想定し、近代の枠組みに捉われない思想を展開しようとしているのかもしれないが、人間を信頼する根拠を人間の作り上げた文化に由来する何かに依拠するのであれば、やはりそれは近代の枠組みの中の話であって、結果的に説得力に欠ける大きな原因なんだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2004/05/04読了
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全く理解できず、途中で諦めた。
そもそも文章の組立てが難解なので、近代思想について知識のみならず理解があり、いくらかでも自ら語れる程度のレベルにないと、言っていることが理解できない。
某政治学入門書に参考文献として書かれていたので読んだのだが、初学者に毛の生えた程度では太刀打ちできない。
知識を得た後に読み直したら、その価値がわかるだろうことを期待したい。 -
権力の制限と人民主権を理解することが政治の理解だ。それが21世紀に入って少しずつ変わっていっているのか。人々は人民主権があまりにも当たり前になり、政治参加を面倒と感じているように見える。
講演を書き起こしたものなので読みやすいが、読みやすいからとどんどん読んでいくと、内容が全然頭に入ってこなくなってしまう(反省)。再読したい。 -
著者の深い理解を感じつつ、講義体で書かれているのでさらっと読める。
あまりにさらっと読めて、理解できるが、身につかない感があり、もう一度読みたい本。 -
政治思想に限らず、「近代」というもののエッセンスが新書一冊に収まっているという驚異の本です。
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おもしろいですし文がきれいで、章の結でぶわーっとなりますね、おも、おもしろい‥