- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004120926
感想・レビュー・書評
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今、日本語はヨーロッパ語をしきりに取り入れているが、それは在来語彙の放棄である。既に中国語で新しい概念を輸入した時に同じことをしたように、私たちは、またもや、日本語の語性に合致した造語を作る事を放棄している。(2005.3.31)
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■目次
はじめに
第1部 日本語をさかのぼる
・第1章 語と事物
・第2章 語の意味
・第3章 語の意味は展開し変化する
・第4章 語は新しく作り出される
・第5章 語の形は変化する
・第6章 語彙の構造
・第7章 語根
第2部 古代日本人の世界像
・第1章 空間
・第2章 時間
・第3章 信仰
おわりに——アジアと古代日本——
補註 -
絶版なのか東京の書店になく、honto系の書店の在庫検索で北海道と静岡に一冊ずつあるの発見、即買い。
最近の無駄に大学出ただけのしょうもない学者擬きが書いた本なんか書架から撤去してしまって、もっとこういう本を沢山置いて欲しい。古いからもう増刷しないとか意味が分からない。 -
英単語がその起源である印欧語まで遡れると知った時、かなり英語への興味が増しました。語源を知るのはなかなかの楽しみです。
片や日本語は語源が不明です。本書は、著者の説をもとにその語源や古代日本人の考え方を解説しています。著者の説は正しいと証明できていないながらも、スリリングな興味を覚えながら読み進めることができます -
多くの岩波新書は啓蒙書が多いのですが、
この書が啓蒙書とはとても思えません。
この充実度、細かい著述、あきれるほどのすごさ、鋭さに満たされています。
例えば、童謡に♪「雪や こんこん あられや こんこん…」
の「こんこん」は雪の降る状態を表す形容語ではなくて、
「来い来い」という意味だそうです。
これらを結実させた物が、「古典基礎語辞典」(角川書店)だと思います。
やはり、大野晋氏は偉大な人であった。 -
日本および日本語を知るための必読書
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語源にかんする独創的な説明を盛り込んだユニークな辞典として知られる『岩波古語辞典』の編者を務めた著者が、日本語の語彙にまつわるさまざまな研究成果を紹介しつつ、それらを通して見えてくる古代日本人の世界像について論じた本です。
本書は二部構成となっており、第一部では日本語の語彙にかんするさまざまな話題が紹介されています。また第二部では、古代の日本語による世界認識の枠組みについての著者の考えが提出されています。空間と時間の認識構造や、古代日本の信仰のありかたについて、ことばという観点から切り込んでいて、興味深く読みました。
とくに信仰にかんして「タマ」と「モノ」を対置するという枠組みは、日本思想史の研究者である佐藤正英の「たま神」と「もの神」を区別するという議論につながっており、日本文化の根幹にある思想にアプローチするための有効な視点を示しているように思います。 -
な大野晋先生の本を読むといつも感じることなのだが、とにかく日本語に対しての情熱や真面目さが伝わってくる。
現代で使われている日本語の本当の意味、上代屋、中古、またそれ以前にどういう言葉で、どんな意味であったか。そのようなことまで必要になる場合があるのだ。
これだけ日本語に対して情熱を持ち大切にしてくれた人が書いた本だ。大切にしたい。
大野晋先生に関しては、屡々日本語源のタミル語説に対して批判されることがあるが、そのようなことは問題ではない。
日本語を大切に思い情熱を持って学問に取り組み、分かりやすい国語辞典を、つくってくれた、古語辞典をつくってくれた、専門家向けではない著書を残してくれた。私にとってはそこがじゅうようなのである。 -
「もの」とは何か。「こと」とはどう違うのか。
「物部」の「もの」を考えるための土台。