平家物語 (岩波新書 青版 294)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004140283

感想・レビュー・書評

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  • 2012年2月18日読み始め 2012年2月21日読了
    大河ドラマ「義経」が放送された時に復刊された本だそうです。名著として有名な本ということですが、読んでみて納得。読み物としても面白かったです。
    内容は、平家物語の解説というよりは、物語の構造を解き明かしています。なので全く平家物語を知らない方よりも、少しでも知ってる方向けだと思います。平家物語の作者は重盛に自己投影しているが、実は重盛はさほどうまく書けていないとか、当時の人々にとっての平家物語のありようなどはとても面白く、随分昔の話ではあるけれど、今の人間にも通じるものがあるなあと思いました。

  • 平家物語という文学を文学史の中で捉えなおした史学的文章であるような印象を受けた。
    私が根本的な興味を抱いてるのは「平家物語に描かれた平家」ではなく歴史の史上の人物としての平家一門だけれども、「史」としての彼らだけでなく、平家が人々にどのように捉えられていたのか、平家の滅亡が人々の中でどのように消化されていったのかという「歴」の点に関連して、平家物語に対して新たな興味を抱くことができた。良書。

  • [ 内容 ]
    すぐれた古典文学のひとつである平家物語は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。
    その力は一体どこにあるのか。
    歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚によって、平家物語の文学としての本質を追究し、登場人物とその運命を生きいきと描く。

    [ 目次 ]
    第1章 運命について(新中納言知盛;生への執着 ほか)
    第2章 平家物語の人々(平清盛の遺言;平家物語の保守的政治思想 ほか)
    第3章 平家物語の形式(平家には性質のちがった物語が集成されていること;年代記的叙述の分析 ほか)
    第4章 合戦記と物語(橋合戦;作中人物への共感 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 平家物語の入門書として本当に素晴らしい一冊。あまりいいことではないですが、これさえ読めば平家物語を読んだ気になれます。

    近年の知盛に関する視点はすべて石母田さんのこの著作が元になっているそうです。彼の知盛論は非常に面白いのですが、一番面白いのはやはり平家物語の「運命論」

    メインストリームの清盛、義仲、義経の流れよりも重盛ら著者の視点を得た登場人物に焦点を当て平家物語を読み解くのはとても面白い。

    運命に抗わぬ運命論者と運命に抗う歴史上の主要人物達。

    平家物語を読む場合はどんな形で読むにせよこの一冊をお供に読むことをおすすめします。

  • 高校2年生/図書館にて
    918.カ19
    15068

  • 平家物語研究の、代表的著作。
    重盛や知盛など、平家の運命を見通す存在、また、清盛、義仲、義経が、中心的な人物となっていること、後白河法皇や源頼朝があまり深く関っていないことなどを指摘してくれます。
    また、女性や王朝裏の駆け引きが上手く描かれていないことや、もとは叙事詩だったのではないかという指摘もあります。

  • 平家物語を分析している。
    平家物語の原作者の意図とは。そしてこれほどまでに内容が付け加えられていった理由とは。


    再来年の大河が俄然楽しみになりました。そして不安。

  • 文学としての平家物語の意義がよくわかり大変面白かった。年代記的なところも文学、主人公がいない、あくまでも平家の滅亡に焦点を当てているなど。とても読みやすかった。依然読んだ、太平記読みと比較しても面白い。

  • 意外と面白くて読みやすかった。
    「奢れる者も久しからず」の意味がよくわかった。

  • 思いの外、読みやすかった。
    平家物語を知るには、なかなか良いのでは。

    歴史書、文学の専門書…というよりは、平家物語に纏わる筆者の所見・思いが綴られているように思います。
    だから読みやすいのよ。

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著者プロフィール

1912年札幌に生まれる。37年東京大学文学部国史学科卒業。冨山房・朝日新聞社を経て、戦後法政大学で教鞭をとる。民主主義科学者協会、日本文化人会議、歴史学研究会で活躍。法政大学名誉教授。1986年死去。著書:『中世的世界の形成』、『古代末期政治史序説』、『歴史と民族の発見』(正続)、『歴史の遺産』、『平家物語』、『日本の古代国家』、『日本古代国家論』(全2冊)、『日本史概説』Ⅰ(共著)など。

「1977年 『戦後歴史学の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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