死の思索 (岩波新書 黄版 222)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202226

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  • Twitterで見かけて気になったので読んでみました。ソクラテスやイエス・キリストの死生観、霊魂観、モンテーニュやパスカル、サルトルまで、死をどのように受け止め、思索したのかを平易な言葉で綴った哲学的エッセイ。ソクラテスとイエス・キリストについて大幅にページを割いており、特にイエス・キリストの章は死を巡る話というより、キリスト教の教義についての記述が大半でやや内容が本書の狙いとはズレているように感じられた。モンテーニュ、パスカル、サルトルについては記述が不十分に感じられた。個人的に共感できたのはモンテーニュの死の思索。生きることを楽しみ、死を厭わない。彼のごく自然な態度は何処か仏教的な考えがあるように思えました。パスカルの「パンセ」が面白そうだったので読んでみたい。最終章のサルトルは一番紙面が少なく、内容的にも駆け足の印象。即自、対自という概念がやや分かりづらかったです。ハイデガーの話も少し出てきたので、先日読んだ「誰にもわかるハイデガー」を思い出しながら読みましたが、本書の理解に役立てることができました。

  • 哲学者である著者が人に平等に訪れる「死」について古今西洋の宗教家、哲学者がどのように考えたか紹介している。

    登場するのは
    ・ソクラテス
    ・イエスキリスト
    ・モンテーニュ
    ・パスカル
    ・サルトル
    ・ハイデガー

    である。
    前半はまだわかりやすいが後半になるにつれて
    よくわからなくなってきた。
    (これは現代哲学が複雑でよくわからんから仕方ないか)
    出だしが良かっただけに少し残念。
    ただ、特にソクラテス、キリストの最期について詳しく記述されていたのは良かった

    気になった言葉

    ・愛知者は身体との関わり合いの中から、自分の霊魂をできるだけ解き放つ者である

    ・正しく哲学するとは、心安らかに死ぬ稽古をすること

    ・霊魂が不浄なまま、肉体から離れると、その霊魂は身体の欲求や快楽に魅せられ、いわば身体の身内になってしまう。

    ・実際にはまったくの善人も全くの悪人も極わずかで、大多数はその中間である

    ・「もしやこれが死であったなら・・」と死に向かって考え自分を鍛え、強くする。

    ・人間はどうすれば自由に生きられるか?
     死を軽んじればいい

    ・享受の尺度は我々がそこに注ぎ込む熱意の多少に依存する

    ・辛い思いにとらわれた時は、少なくとも別の思いにこれを置き換えるがいい。

    ・人は死の深淵を覗かせる孤独と倦怠から目を背けられ、熱中できるものなら何でもいい。それに熱中することに気晴らしがある。(これには戦争の危険、宮廷の苦労、仕事の労苦さえも含まれる)

    ・我々は、我々と同じような仲間との交際に安住することを楽しみとしている。彼らは我々と同様に無力である。彼らは我々を助けてくれないであろう。人は一人死ぬだろう。

    ・死を覚悟するとは、私の死を予見されない、予期されない事として考慮に入れるだけの事である。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN00316597

  • 歴史上の賢人たちが「死」をどのように捉えていたのか、という哲学書。
    ただ、分量の2/3を割いている1,2章は、ほぼソクラテスの問答とキリストの説法のまとめで、テーマとの関連性が薄いように感じられた。ということで、あえてこの本を読む理由はないかも。

    死を哲学する上での下地にはなったかなあ。

  • この哲学者はこう考えてた、という域を出ない。

  • ソクラテスの話が大部分を占めていて、近現代の考え方ももうちょっと知りたかった。
    古代の話を知るためのものとしてはとても良いと思う。

  • ソクラテス、イエス、モンテーニュ、パスカル、サルトルの死生観についてわかりやすく語ってくれる本。難解なプラトンの「ソクラテスの弁明」も「パイドン」も「クリトン」もすいすいと手に取るようにわかる。そのほかの章に関しても、わかりやすく、読みやすい。話が哲学の中に限定されるので、宗教的な空気が嫌いな人におすすめですね。

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