子どもの宇宙 (岩波新書 黄版 386)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004203865

感想・レビュー・書評

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  • 子を持つ親として大変勉強になった。
    約35年前に書かれた本だが、今の子供にも変わらず宇宙はあるはず。
    児童文学の深さにも驚き。大人こそ読むべきなのかもしれない。

    子供の秘密や自立などの「時」が来たときに、親の言動が子供の魂を殺していないか、また思い出して読みたい本。

  • 20年ほど前に読んだ本の再読です。
    主に、以下の本を元に話が進行しています(詳しく調べれば、この倍の参照本がこの本の中で紹介されているはずです・・河合さんの読書量は凄すぎる)

    ベバリー・クリアリー ラモーナとお母さん
    カニグズバーグ クローディアの秘密
    ケストナー ふたりのロッテ
    バーネット(小公子が有名)秘密の花園
    キャサリン・ストー マリアンヌの夢
    王様の耳はロバの耳
    ボーマルシェ フィガロの結婚
    フィリパ・ピアス まぼろしの小さい犬
    フィリパ・ピアス トムは真夜中の庭で
    アリストン・アトリー 時の旅人
    ルイス・キャロル 不思議の国のアリス
    ミハエル・エンデ モモ
    石井桃子 ノンちゃん雲に乗る
    今江 祥智 ぼんぼん
    グリム童話集 忠臣ヨハネス
    カニグズバーグ ジョコンダ夫人の肖像
    阪田寛夫 野原の声「飛ぶ教室 NO.8」
    灰谷健次郎 子どもの隣「灰谷健次郎 NO.8」
    映画 禁じられた遊び
    山中康裕 少年期の心
    ハンス・ペーター・リヒター あのころはフリードリッヒがいた
    佐野洋子 私が妹だったとき
    ボーゲル さよならわたしのおにいちゃん
    ササン・テクジュペリ 星の王子さま
    コルシュノウ だれが君を殺したのか

    記憶に残った言葉は
    p78 登校拒否の話で「薬を飲んでいる人に健康な人はいない、だから薬を飲んではだめだ」・・薬を飲まなければ健康になれる?本末転倒の例文として。
    p118 「日常性を超えた「時」へ至る導き手として、亀が現れるのは、おそらく亀が忙しい生き方と無縁の存在だからであろう」・・なるほど。
    p159 「死は真剣に取り上げられる限り、生に深みを与えてくれる。」・・なるほど。
    p162『子どもたちをよく観察していると、「性」の衝動が動きはじめ、それと取り組むことによって大きい変化が生じる以前に、子どもとしての「完成」に達するように思われるときがある。子どもとしては、高い完成感と、早晩それが壊される、あるいは、汚されるだろうという予感が生じてきて、その完成を守るために自殺をするなどということもあるのではなかと思われる。』・・同感。
    p168 「お経」が、魂との接触を防ぐための「知らんぷり語」のようにさえ感じられてくるのである。・・鋭い指摘だ。
    p202 「権威とぶつかる勇気もなくて、異性と出会おうとするのは虫がよすぎるのである。」・・そうかもしれない。
    p204 「一人の人間の成長の軌跡には、多くの死と埋葬、喪の仕事が満ちており、そのどのひとつも抜きにすることはできないのである。一歩一歩踏みしめて前進することなく、異性に接近することは不可能なのである。・・そうかもしれない。
    p205 「性的関係をもつという点だけで言えば、どの動物も行っていることで、別に特別のことでも何でもない。そこに意味を見出すことに、人間としての特徴がある。」・・なるほどね。

  • 教育や心理学で、これまでの中で一番いい本に出会えたと思った。

    やさしい時代があった。親が子を変えるのではなく、子が親を整える。現代では身体性を見失って、妄想がコレクトネス化して来ているように感じる。子供を教育するのは一定の人間と考えるようになってしまっている。自分達は、自然や環境から影響を受けるという説に従うクセに。

    児童文学が心を打つことを思い出せた。また文学も青年期の心を整えることを感じられた。ルールルールで人情味が失せた時代に、子供だけでなく、人はどうしたらいいか、感じられた。

  • トリックスターという存在は河合隼雄先生の著書でよく語られているので、他の著書を読んでいると頭に入ってきやすい。
    あくまで主体は子どもで、問題解決のための場がやってくるのを大人は待つのみという部分、頭で分かっていても実行するのは難しそうである。
    また、少し考えればおかしなことも教育者が口にすればまかり通るという恐ろしさについて言及されているが、納得できる。教師は勉強を教える能力だけでない知恵を備えている必要があると感じた。そして、教師の人手不足が問題視される今日において、そのような先生はとても少ないのだろうと思った。
    子どもの尊さについて学べる本。

  • 高校生の時、国語の文章問題になっていた本。
    当時非常に感銘を受けて読んだ記憶が。
    時を経てふと思い出し再び読んでみた。
    子どもの中に広がる宇宙、そこに入るきっかけとは。
    非常に興味深く、改めて考えさせられる本

  • 3.7

  • ここで紹介されている児童文学のみならず、たくさんの児童文学、絵本を読みたいと思った。
    自分の興味ある本ばかりでなく、それらをたくさん読んでその子どもの世界に浸ることで、子どもへの理解を深めたい。

  • 秘密とアイデンティティ
    秘密の公開により、変える、感情を殺し、人間関係を殺すのを止める
    過去の自分との訣別
    性質や力量の差を超えて、どの子どもも絶対的超越の世界の現れとなる、かけがえのない尊さをもつものとして子どもに接することになる
    他人に対する一種独特の深みをもった愛情をつちかう努力が、人生においてたいそう重要である
    跳躍するもの、粗野なところと、無責任さが、必要

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