- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004300489
作品紹介・あらすじ
汗と涙、闘争、緊張、そして最後に訪れるノーサイドの瞬間…。早稲田大学ラグビー部の監督としてたびたび全国を制覇し、また多くの国際試合では日本ラグビーの名を世界に轟かせた著者が、ラグビーに魅せられた半世紀を振り返る。
感想・レビュー・書評
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早稲田ラグビーの理論的、精神的支柱だった大西鐡之祐さんの本。
「展開 接近 連続」の戦法は今にも通じるところもあるのでは、、、。小さなものが大きなものを倒すために生まれた哲学。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内田前監督にいや、日大のコーチ全ての人に是非読んでほしい。読まないからこんなことになるんだよって事。
会社でもスポーツでも普遍的な名文でした。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705168 -
日本ラグビー界屈指の名将「大西鉄之祐」の著書『ラグビー 荒ぶる魂』を読みました。
ラグビー関係の作品は今年の3月に読んだアンソロジー作品の『そして、世界が震えた。ラグビーW杯2015「Number」傑作選』以来ですね。
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汗と涙、闘争、緊張、そして最後に訪れるノーサイドの瞬間…。
早稲田大学ラグビー部の監督としてたびたび全国を制覇し、また多くの国際試合では日本ラグビーの名を世界に轟かせた著者が、ラグビーに魅せられた半世紀を振り返る。
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3度に亘る早稲田大学の監督としての輝かしい実績も然ることながら、ラグビー「日本代表」の監督として、「ジュニアオールブラックス(23歳未満のニュージーランド代表)」への勝利(1968年(昭和43年)6月3日 ウェリントン アスレチックパーク "23-19")、「イングランドXV」との大接戦(1971年(昭和46)9月28日 東京 秩父宮 "3-6")等、数々名勝負を演出した不世出の指導者の直言だけに、学ぶところも多い作品でした。
■なぜ『ラグビー 荒ぶる魂』か
■序章 大西魔術の復活
■Ⅰ ラグビーの虜になって
1 ラグビーとの出会い
2 長い下積み生活
3 レギュラーへ
■Ⅱ 優勝への道
1 新しいラグビー理論を求めて
2 忘れられない二試合
3 ワセダラグビーの再建
■Ⅲ 国際的なチームをつくる
1 オール・ジャパンの誕生
2 オール・ブラックス・ジュニアとの対戦
3 対イングランド戦―私の見た大西監督
■Ⅳ これからのラグビー
1 チームの強化と指導者の役割
2 世界のラグビーと日本
3 ラグビーの醍醐味
最も印象的だったのは、「大西鉄之祐」の研究の成果である、独自の「展開・接近・連続」理論ですね、、、
走って走って走りまくって、次から次へ連続プレーをやっていって相手をへばらす。
そして相手の弱点を突いていく。
これが「展開・接近・連続」という戦法の中心となる考え方なのです。
フォワードは組んだらなるべく早く球を出す。
早く出したら展開をする。
スタートダッシュを早くし、相手に近づいて、近づいたらすれ違いざまに何かやる。
そして、キックではなしに、パスしてパスして、そのパスでどんどん進んでいく。
そして、パスを続けることによってプレーを連続させていく。
この理論は、現代のラグビー… 特に「日本代表」のようにフィジカル面で劣るチームには、とても有効な理論だと思いますね。
その「展開・接近・連続」理論を実践して、「ジュニアオールブラックス」に勝利したわけですが、その際の「日本代表」のサイズは、フォワードの平均体重が76kg弱で、最も体格に恵まれた選手でも身長185cm、体重85kgであったとのことですから驚きですね… 現代の高校生よりも小さいくらいですね、、、
しかも、バックスにいたっては大半が身長170cm以下で、最も重たい選手の体重が73kgだったそうですからね… 「FL 石田元成」は、なんと身長163cm、体重63kgだったというのですから、ちょっと想像がつかないですね。
そして、現代でも課題となっている国内と海外での闘い方の違いを、既に指摘していたことには驚かされました、、、
何しろ日本で一番むずかしいのは国内で優勝しようと思うのと、
外人と戦おうとするのでは、そこに作戦的なギャップがあること。
勝負だけにこだわるならば、外人に勝つための戦法は、
国内で積極的にはやれないという見方があることでしょう。
そうなんですよね… トップリーグ、大学、高校、どのレベルにおいても、国内で確実に勝とうと思えば、リスクを取らない、キック中心の堅実なプレースタイルを優先的に選択しちゃいがちなんですけど、それじゃあ、世界には通用しないんですよね。
難しい問題ですが、当時から、この事実に気付き、課題提起されていたとは… ホントに驚きましたね。
最後に… 指導者の役割のなかで、
自分達の始動の在り方を問い直すことなく、
選手の根性のなさに敗因を求めるのは、愚の骨頂である。
との考え方を示されており、個人的にも共感しました… 最近、某大学のアメリカンフットボールチームの危険なプレーが巷でも話題になっていますが、「大西鉄之祐」の考え方や指導力を学んでほしいなぁ、と思っちゃいましたね。