大地動乱の時代: 地震学者は警告する (岩波新書 新赤版 350)
- 岩波書店 (1994年8月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004303503
作品紹介・あらすじ
幕末にはじまった首都圏の大地震活動期は、関東大震災(一九二三)をもって終わり、その後、東京圏は世界有数の超過密都市に変貌した。しかし、まもなく再び「大地動乱の時代」を迎えることは確実である。小田原地震が七十年ごとに発生することを明らかにした地震学者がその根拠を明快に説き、東京一極集中の大規模開発に警鐘を鳴らす。
感想・レビュー・書評
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サイエンス
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本ブログで売れた本 : 投資十八番 http://gw07.net/archives/6563853.html
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関東での地震発生の可能性が高いことを、プレートの構造をみることで論じた本。プレートがどうこうの部分は門外漢には非常に難解でしたが、この本が17年前に発表されて以降関東に大地震がなかったことを考えると恐ろしいですね。懸念や対策については意外と経済合理的。
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人間の歴史を地球の歴史という尺度の中においてみると、時々の人間が作り出す常識というものがいかに限定的なものであるかというのが、地震学のような時間軸の長い研究をしている人から指摘されると、説得力がある。
日本における比較的近い時代の「大地動乱」の時代は、幕末から始まり、関東大震災で一つの区切りをつけた。その後は相対的な安定期に入り、日本の高度経済成長は土地との関係でいえば、そうした限定的な安定のなかで実現されたものだという。原発に対して、著者が厳しく批判するのも、大地が比較的平穏であった時代にでき、動乱の時代というものを射程に入れた運用についてきわめて脆弱な考えと方法と技術しかもっていないからだ。現在の常識は、疑ってかかったほうがよい。 -
第1章、第2章の幕末から始まる地震活動期の描写は鮮明で引き込まれる(理想を言えば参考文献が巻末に欲しい)。地震学の知識も必要ないので、専門家ではない方が本書を購入してここだけを読む場合でも十分購入する価値はある。
3章から5章に書かれている地震学に関する著者の考察も15年たった今でもあまり色あせていないと感じる。例えば、地震工学を学ぶ学生などは読むと非常に役に立つのではないかと思う。 -
主に東海・関東地方の地震の歴史とメカニズムについて解説した本。安政の東海地震から大正の関東大震災までを活動期とし、それ以降は静穏期が続いたとする説を中心に、詳細な歴史的事実を追い、プレートの理論と推論で解説している。主な大地震の発生域を地図で示し、それぞれをプレートのメカニズムで解説し、沈み込み速度やすべりの長さ、繰り返し周期を分析している4章はわかりやすかった。
1986年の大島噴火の後、2000年には三宅島も噴火したが、これらが「前触れ」の可能性があると著者が示唆している小田原地震は起きていない。著者も認めているとおり、小田原地震のメカニズムは複雑で、この本を読んでもよくわからなかった。
一方で、東海地震が次の南海地震まで持ち越される可能性も、この時点で示唆している。アムールプレートが東進していることや、濃尾地震の断層のずれによって東南海地震の発生時期が早まり、東海地震が発生しない要因になったとの説は興味深かった。
6章では、首都圏の地盤の弱さについて歴史的な観点から説明しているほか、東京一極集中が官僚主導型業界協調体制に起因するとして、地方分権の推進や新都の建設を提言しているのも説得力がある。
地震についてはわからないことがまだ多いということもよく伝わってくる。これ以降の研究成果についても学びたいと思った。 -
4004303508 234p 1995・2・17 8刷