- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004304982
作品紹介・あらすじ
短歌と短歌が一対一で優劣をきそいあう伝統の競技「歌合」(うたあわせ)。この古式ゆかしい遊びを現代によみがえらせるべく、男女二十人の歌人が一堂に会した。甘やかな春の伊豆を舞台に、大ベテランから気鋭の若手まで、いずれ劣らぬ実力派の歌よみが真剣勝負に秘術をつくす。華やぎと愉楽に満ちた歌合戦の勝敗のゆくえはいずこ。
感想・レビュー・書評
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30年近く前ですが、1996年の3月に熱海で行われた、歌人20名による歌合せの記録です。
判者は高橋睦郎さん。
プレーヤーを方人(かたうど)と呼び、弁護人を念人(おもいびと)と呼びます。
参加者は、岡井隆、奥村晃作、三枝昴之、河野裕子、小池光、永田和弘、道浦母都子、井辻朱美、大滝和子、加藤治郎、水原紫苑、田中槐、荻原裕幸、俵万智、穂村弘、東直子、紀野恵、杉山美紀、吉川宏志、梅内美華子の各氏。
一日目は二グループ、紫チームと紅チームにわかれ、二日目は三グループ、一郎次郎チーム、七福猫チーム、ぐるぐるチームにわかれて、歌合せをしました。
弁護人の念人(おもいびと)が味方の援護射撃で真剣に相手方をけなし、味方を褒める様子が最初こそ、なんかかんじ悪~いと思いましたが、読んでいくうちに大変面白くなり失礼ですがかなり笑えました。
あのしとやかそうな、東直子さんが「こんなの歌じゃない!」なんておっしゃったり、荻原さんとかも結構、辛辣な批判をされていました。
1996年当時、短歌にせよ俳句にせよ、創作する側の論理だけが大手を振ってまかり通り、鑑賞する側の論理はほとんど顧みられなくなっていたと、著者の小林恭二さんは書かれています。
初日の歌合せ中でもっとも熱戦だったとされる「ねたまし」という題に沿ったお二人の歌。
紫
○「妻」という安易ねたまし春の日のたとえば墓参に連れ添うことの 俵万智
紅
○傾けむ国々ある人ぞ妬ましく姫帝(ひめみかど)によ柑子(かうじ)差し上ぐ 紀野恵
※この勝負は紅チームの勝利。
二日目に最高のゲームといわれた「芽」に寄せられた歌。
一郎次郎チーム
○幾千の種子の眠りを覚まされて発芽してゆく我の肉体
(俵万智)
七福猫チーム
○約束は三時でしたね微熱もつ発芽月(ジエルミナール)のきみの叛乱 (田中槐)
ぐるぐるチーム
○家々に釘の芽しずみ神御衣(かむみそ)のごとくひろがる桜花かな (大滝和子)
※この勝負はぐるぐるチームの勝利でした。 -
現代を代表する歌人20人が集まり、いざ、歌合わせ!
とにかくメンバーが豪華。
読んだ当時はわからなかったのだが、今この感想を書こうと、メンバーをパラパラ見てびっくりした。
現代短歌を少し齧った人ならば、その面子に驚くはず。このメンバーが一同に介して歌合せをする、ということ自体がかなりの贅沢なのではないだろうか。
この本では歌人が10人ずつの2チームに分かれ、歌合せをするという趣向の本(企画の実録本)で、短歌の読み解き方がかなり丁寧に書いてある。
歌の読み方が様々に解釈されているので、歌の味わい方や鑑賞の仕方の手引きとして読むには最適だ。
しかしプロの歌人さんばかりなので、『短歌はじめました。』『短歌があるじゃないか。』に比べると難解な歌が多い。
なので、本格的に短歌を読んでみたいな、プロの歌を読みたいけど、どんなのを読めばいいのだろう、と思い始めたくらいの人にオススメの本だと思う。
巻末にはそれぞれの歌人の自選五首が並んでおり、これをじっくり読めば好きな歌人がだいたい絞れるだろう。
人気歌人の自選五首というだけあって、名歌揃いなんだな、これが。。
ちなみに私が一番好きだと思った歌人は、加藤治朗さんでした。
いくつか好きな歌を抜粋。
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり 永田和宏
にぎやかに釜飯の鶏ゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった 加藤治朗
フランスパンほほばりながら愛猫と憲法第九条論じあふ 荻原裕幸
ぼくはもっと近くにいたいもっともっと近くにいたい おっとりと雪 東直子
白き花の地にふりそそぐかたはれやほの明るくて努力は嫌ひ 紀野恵
生き物をかなしと言いてこのわれに寄りかかるなよ 君は男だ 梅内美華子 -
すごくおもしろく、そして「入門書」という評判にもかかわらず「ショートソング」から短歌にはいった私にはむつかしく、短歌といっても、まったくちがうものを読んでいる気がしました。
穂村弘の解釈が目をみはるほど楽しかったり教科書のイメージしかなかった俵万智が強烈だったりして心踊る読書中。 -
図書館より貸出。面白かった。
たしか、栗木京子さんの本で紹介されてて、気になってた本。図書館であったので借りる
(栗木京子さんの本は、→次の、どちらかだったと思う。→『短歌を楽しむ』か、『短歌をつくろう』共に岩波ジュニア新書、) -
臨場感があり、短歌の奥深さや面白さが伝わってきます。
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現代に「歌合」を蘇らせる試み。
いろんな楽しみ方ができる一冊。
著者の読みと歌合の議論が楽しい。
短歌を読みといて、咀嚼できた時の快感。 -
人にかすまえに再読。短歌の楽しみ方がわかるので入門にはぴったりだと思う。二日目の歌合わせが特に楽しそう。参加したい。
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早春の伊豆で行われる古式ゆかしき歌合。
新鋭・ベテラン取り混ぜて集められた20人の歌人。
それぞれの短歌も素晴らしいんですが、応援合戦というか批評がいいですね。
敵陣の歌をけなし自陣の歌を褒めたたえる。しかも即興で。
これはなかなか難しいと思います。
巻末に自選5首も収録されているのでたっぷりと短歌が楽しめます。
判者と好みが違うのか好きな歌が負ける事が多かったのが残念★ -
短歌パラダイス、という書名に惹かれて読んでみた。
歌合の様子が描かれている。
たくさんの歌を読むことが出来るのが良い。
「オランウータン食べられますか」にはかなりの衝撃を受けた。
歌に作者の解説もあるので、難解な歌も理解することが可能。
歌合参加者の解釈や対決の様子も面白い。 -
大人の遊び。短歌を作って出来映えを争うなんて! そういうセンスが僕にもあったらいいのに……。
コメントありがとうございます。
そうです、穂村さんと、俵さんが、共にデビュー10年の頃です。
レビューに書こう...
コメントありがとうございます。
そうです、穂村さんと、俵さんが、共にデビュー10年の頃です。
レビューに書こうと思っていて、書き忘れたのですが、この本、写真が満載で、スタジャン姿の穂村さんや、ショートカットの、見目麗しいパンツスーツの、俵さん、当時流行っていた、ソバージュヘアの方や、お着物を着てこられた方もいらして、そういうのを見られたのも、楽しかったです。
歌合わせは、そうですね。だんだん笑いがこみ上げてくる程、けなし合いをされていました。
新聞歌壇の選評などは、皆さん誉められますけど、こんな、内心もあったのかと怖くなりますね。
うたらばは、前々回の、「教」は、最終日に知ったので、二首しか、送れなかったのですが、「旅」は十一首送りました。
発表はいつなんでしょうね。
うたらばの『教』採用歌がサイトで発表されてましたよ。
私の歌は採用ならず、でした。
『旅』は、7月1日締め切りなので、...
うたらばの『教』採用歌がサイトで発表されてましたよ。
私の歌は採用ならず、でした。
『旅』は、7月1日締め切りなので、まだ先ですね。
十一首も投稿されたなんて、素晴らしいですね。
お知らせありがとうございます。
今、うたらばのサイト見てきましたが、ダメでした。
私の歌は、なんか古臭い感じがしま...
お知らせありがとうございます。
今、うたらばのサイト見てきましたが、ダメでした。
私の歌は、なんか古臭い感じがしました。
どんな、歌が採用されているかわかりました。
ありがとうございます。