- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308119
作品紹介・あらすじ
牡丹、あじさい、朝顔、盆栽、桃…。一年十二か月、月ごとに「花」をとりあげ、名所を語り、観賞する。古今の文学・芸術を味わい、伝承や民俗をさぐるとき、花が暮らしの中で、文化のかたちを現し、私たちは、花と出逢ったと言えるのではないだろうか。本書は好評『花を旅する』の第二幕であり、日本人の心を深くたずねていく。
感想・レビュー・書評
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前作よりも身近な花の側面も追いつつ、花とは何かを探る。
花は因果、つまり「ご縁」
ただ心底、わが身についた真実でなくては花ではない。花は人それぞれのものである。ただ花とは時節をみて自ずから咲くもの。
四月 牡丹
・別世界の完璧性
・宍道湖・大根島での栽培
五月 つつじ
・古くからの身近な花
・民俗的な催し
六月 あじさい
・生活に近すぎて歌に詠み難い花
・江戸時代以降、観る花として受け入れ
七月 朝顔
・華やかさとはかなさの二面性
・蔓の線、葉の面と花の色彩、視覚的な自由な美しさを創造するデザインの時代に合う
・感覚的な文化・芸術は、絶えず自己改革で流行の波ができ、本質的に魅力のあるものが復活
・前時代の否定として一時代前を真似る
八月 撫子
・唐撫子と大和撫子、石竹と常夏
・楚々と素直で可憐な一方、激しい官能的な愛の象徴
・古代ギリシャでは聖なる花ダイアンサス
・交配によるカーネーションの誕生
九月 桔梗
・平将門、明智光秀に通じる。なにげなく素朴で、どこか、そういえば陰のある、何か淋しく、悲運の魅力さえ感じさせる青紫色。
十月 すすき
・たいへん身近な実用的な草であると同時に、神秘的な行事の天道花の意味もあり、武蔵野の国という、大きな薄が原の広がりもある
・尾花、茅
・鬼子母神御会式大祭のススキミミズク
十一月 いけばな
・自然の花を自然のままに、しかし、はらりと解く。解くことで、花の心が、人の心となってひらく
・草木花のうちに「天理」を看取し、花のうちに「自が心顕す」ことによって、自らの心身そのものが「花」となり、「天理」と一体化する
十二月 盆栽
・11月末京都大観展、1月東京作風展、2月東京国風展
・盆栽は、木を通して、自然とか宇宙とか、ある大きなものとコミュニケーションする手がかり
・移ろう美
・何百年にわたり、誰かがどこかで手入れして、共に寄り添って、一つの生涯を生きていく
一月 竹
・中国の老荘思想に由来する隠遁イズムと「松竹梅」といった「ハレ」を言祝ぐイメージ
・すくすく伸びる生命力と生まれたばかりのような清々しさ、装飾性のなさ、直線的、時にまた見事な曲線を描く。中空の虚空の白さ。
二月 柳
・国によって受け止められ方の異なる植物。
・日本では、美しく頼もしいが、家の中に持ち込んで来るとちょっと怖い。
・柳行李、箸、爪楊枝といった日常雑器にふんだんに使ってきた二面性
三月 桃
・美しい女性と、子孫繁栄のシンボル
・節目の神事詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔から花に様々な意味を付加してきた歴史があり、一つの花から歴史を振り返るのは面白いと感じた。
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配置場所:摂枚新書
請求記号:470.4||K
資料ID:95020331