報道被害 (岩波新書 新赤版 1060)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310600

感想・レビュー・書評

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  • 2011.2.27

  • 公安テロ情報流出被害弁護団団長<br />(副団長:上柳敏郎、メンバー:岩井信、山本志都、河?健一郎、福田健治、井桁大介、小松圭介)

  • 報道被害の実態について、弁護士として問題に取り組んできた筆者が丁寧に解説している。
    報道被害が起きてしまう構造、起きたときの救済、起こさないための提言、と本書の内容は単なる解説に留まらない。
    とくに、報道被害を防止するための提言は実現性はともかくとして素晴らしい。
    公権力によるメディア規制を否定し、表現の自由と報道被害を一体に論じており、激動の時代のメディアを考える上で必読と言える。

  • 報道被害とは何か、実際報道被害を救済すべく色んな活動をする中で、筆者が、経験し、見聞きしたことを綴った著作である。
    松本サリン事件報道の分析、犯罪被害者への取材と報道、報道被害とたたかう、そして、報道不信の高まりの中で、人権擁護法案とメディア規制、個人情報保護法とメディア規制へとつながってしまったと述べている。
    最終章は、市民のための報道へと進化させるための提言を行なっている。
    そこで、引用されていた二人の東大教授の考え方を紹介する。
    奥平康弘・東京大学名誉教授
    (言論・報道機関は)言論・報道機関であるという一事によって、個人の自由と同じ性質、内容の表現の自由を無媒介に語るべきではない
    長谷部恭男・東京大学教授
    放送を含めたマスメディアの自由は、何よりも豊かな情報を公平に享受すべき「知る権利」に奉仕するために存在する。この自由は、政府の不当は干渉から市民の「知る権利」を守るための自由である」

    最後に、「すべての市民が記者である」という標語を掲げ、プロの記者と、市民記者が同列に伍して、市民参加のインターネット新聞へと成長している『オーマイニュース』の進化が今後とも期待されるところである。

  • この本はぜひ買ってみるべきだ。読んで、考えさせられる。答えはまだでない。

    読んで心を揺さぶられる。

    印象的な言葉は『メディアは権力の監視役であり、しかし、メディアは権力である』といった内容。


    被害者の心中を察することもできない想像力の欠如、利益追求の結果、過度の競争にさらされる記者たち。
    警察発表に依存する記者。

    表現の自由と個人情報保護法。

    一市民としてどういう考えを持つかを、真剣に考える必要があると感じた。決して他人事ではない。
    あなたは報道にどのような考えを持っているか、取材される側の気持ちを考えていますか?

  • 古くはフライデーから最近の桶川事件等に関する報道被害とそれと戦う人たちについてありのまま描写されています。被害者もしくは被疑者に対する報道機関の報道姿勢には確かに疑問を抱かずにはいられない。どこまで言論の自由なのか、難しい問題ではある。

  • 犯罪事件の報道によって苦しむ人がいる。

    例えば、マスコミの過熱報道によってあたかも犯人のように報じられてしまうこと。

    すると、今まで自分が認識している自分とは違う人間像が一人歩きし、それが本当自分のように周りに認識されるというアイデンティティーの解離が生じる。

    そのような報道により会社を解雇されたり、婚約者を失ったり、家庭が崩壊などが実際に起こっている。

    本書でも取り上げられているが、松本サリン事件の河野義行さんの誤認の殺人容疑をかけたことが記憶に久しい。

    マスコミが人を裁くという事態が生じているのが現状であるといってもいい。正義感に燃えるマスコミが無実の人を苦しめることがあることも忘れてはならない。

    法治国家では推定無罪という原則が貫かれているはずだが、日本では被疑者=犯人という図式が当然のように思われている。
    もちろん大半はそれで正しいかもしれない。しかし、もし間違っていたら…

    マスコミ関係者には避けて通れないテーマだと思います。

  • てっとりばやく報道被害について知るにはうってつけ。文章も平易で読みやすい。

    公権力によるメディア規制には異を唱えながら、報道被害をなくすための提言もされている。

  • 松本サリン事件を忘れまい。

  • 冤罪で報道された人や被害者家族の人権侵害に対して今の報道体制に警告を発した弁護士による本。

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著者プロフィール

弁護士。
豊洲市場用地取得に関する公金返還訴訟(住民訴訟)弁護団長

「2017年 『築地移転の謎 なぜ汚染地なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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