アフリカ・レポート: 壊れる国、生きる人々 (岩波新書 新赤版 1146)
- 岩波書店 (2008年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004311461
感想・レビュー・書評
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筆者の記者としての取材経験をもとに書かれたアフリカに関する「中間レポート」
筆者の見てきたアフリカの実状に関するリアルな記述に、安全で豊かな国に生きる身としてはただただ衝撃をうけるばかりである。
本書には開発学的な視点はなく、アフリカの国家システムの問題点を指摘するに留まってはいるが、そうした筆者の指摘は開発学という視点から問題を考える上で非常に参考になるのではないか。
最近読んだ中では最も衝撃を受けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『アフリカ・レポート』(松本仁一、2008年、岩波新書)
本書は、元朝日新聞の記者がアフリカの現状を捉えたものである。まず、記者らしい簡潔で淡々とした文章が良い。アフリカの人々のさまざまなエピソードに取材源の豊富さがうかがわれる。
なぜ、アフリカは腐敗するのか。筆者は国家元首が自らの政治的利権のために政治を行い、国民のことは考えていないからだという。ジンバブエのケースが第一章に書かれている。
アフリカの政治・経済の現状を知るには良書といえるのではないかと思う。
(2010年5月3日 大学院生) -
『カラシニコフ』で有名な松本仁一さんの本。
アフリカの開発は何故上手くいかないのか。
その問いに答えるように、何国かを例にあげて腐敗政権や民衆の暮らしの実情など細かに述べている。
アフリカを含め発展途上国が極貧化するのはグローバル化自由経済のせいである部分が大きいと思っていたけど、やはり支配者側の問題もかなりあるのだと思った。 -
アフリカ諸国が直面する問題を指摘し、生活の実態を報道し、希望を示す。よい構成だとは思うが、やや悪い面にのみ焦点を当てすぎているかと思う。
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筆者が言っているような、底辺からの変革、人々が主体となった草の根活動の隆盛を、アフリカで確かに感じた。想像よりも遥かに多くのNGOが現地で働いていた。それらは政府がすべきことを代わりに行ない、新しい形のインフラ、社会のセーフティーネットであるようだと感じた。それらのなかには私利私欲のために活動するものもあったが、人々の発展への新しいダイナミズムは確かに感じた。
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朝日新聞の記者(現在は退職しているらしい)が現地の丁寧な取材を元に描いた現在のアフリカ。最近少しアフリカに興味が出てきたので読んでみました。
同じく米のジャーナリストが書いたロバート・ゲストの『アフリカ 苦悩する大地』と問題意識は相通ずるものがあり、この本の著者もアフリカの低迷の原因を政府組織(もしくは為政者個人)の腐敗に求め、その底流にはアフリカの部族社会の影響を認めています。ジンバブエ、南アフリカ、スーダンなどが詳しいが、かなりひどい有様である。こういう内容を読むと『貧困の終焉』の著者が掲げる先進国の金銭的支援によるアフリカの貧困からの救済プランはあまりにも遠い理想のように思われます。
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朝日新聞に掲載されていたときにも読んでいたのですが、最終章にある「ケニアナッツ社」の話は再読ですがやはりよい話です。日本人の成功ストーリーとしても素敵ですし、希望が持てる話としても期待が持てます。
日本人の大企業に属するジャーナリストでもこういったものが書けるんだと感心した一冊。同じ著者の代表作『カラシニコフ』も文庫化されているようですので、ちゃんと読んでみようかと思います。 -
知っているようで、まったく知らないアフリカのこと。
想像を絶する状況だった……
ただ貧しいだけではなく、命が脅かされている。
少し古い本だが、状況はどれほど変わっているのだろうか。
希望を持てる章があるのが救い。
自分には何ができるのか。 -
アフリカの2000年代当時までの現状がよくわかる一冊でした。書かれた頃から15年経ったアフリカはどう変わってるのか、最近状況を知りたくなります。
本書に出てくるような腐敗する政治、苦しむ国民を他所にチャンスとばなりに目をつけて利権を奪いにくる外国人、母国を諦めて移住する国民。
日本も同じ運命をたどる日は近い?
あるいはもうすでに起きているかも? -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/49162 -
「アフリカでは政府は自らの敵を作り出すことで自らの立場を強めることが多い」
政治家も同様に、批判対象を作ることで自らの地位を確保することが多々ある。