李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313403

感想・レビュー・書評

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  • これほどまで清朝、明治期の日本に関わった人であるのに、知名度はいまひとつ。権力に限りなく近いにもかかわらず、事務屋であり続けたのだろうか。

  • 「落日の孤臣」であり、中央政界エリートを目指しながら地方実務官僚としての位人臣を極め、近代に翻弄されて挫折した清という国の象徴のような人物の評伝。彼の人生そのものが清末を表しているかのよう。

  • 清代、清末の中国を知らねば、現代の中国を理解することは不可能である。そして、その時代の巨人、李鴻章その人を知ることは、東アジアの近代を理解するに不可欠である。本書は新書というコンパクトな書物ながら、この李鴻章という知られざる巨人の生涯を辿りながら、中国が近代化の道を歩み始めた19世紀後半の東アジア世界を描き出す。

    李鴻章はエリート官僚である。清朝の最盛期であれば、出世はしたであろうが、平凡な人生を歩んだかもしれない。しかし、時代はそれを許さなかった。外国勢力と渡り合いながら、洋務運動を推し進め、淮軍を率いて太平天国の乱を平定した。近代国家を官民一体となって進める日本をいち早く警戒しつつも、日清戦争で敗れた。著者は、「1880年代に李鴻章の舵取りを支えてきた、対内的・対外的な政治・軍事・外交すべての条件が、この一戦で失われたのである」(179ページ)と述べる。
    日清戦争における李鴻章の敗北(そして、その後の露清提携)は、その後の東アジア史を大きく規定していった。

  • 清末=西太后の時代、という印象が強かったりもするけど、一方で李鴻章の時代だったりもする。その面がいまひとつ脚光を浴びることがなかったんだよね。

  • 著者が言うとおり、これまでどちらかというとマイナスイメージで語れることの多かった李鴻章を、決して英雄視するでもなく、等身大で描けていると思います。よくよく考えてみれば、あの多難な時代の中国を背負っていたわけですから、それなりの人物であることは当たり前なのでしょうけど、どうしてもその前後の人物たちが大きすぎて影が薄くなりがちなのがかわいそうです。まして日本人から見ると、条約交渉の敵方でしたから。

  • (欲しい!)/新書

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著者プロフィール

1965年、京都市に生まれる。現在、京都府立大学文学部教授。著書、『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、大平正芳記念賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞)、『中国経済史』(編著、名古屋大学出版会、2013年)、『出使日記の時代』(共著、名古屋大学出版会、2014年)、『宗主権の世界史』(編著、名古屋大学出版会、2014年)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会、2017年、アジア・太平洋賞特別賞、樫山純三賞)ほか

「2021年 『交隣と東アジア 近世から近代へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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