成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313489

感想・レビュー・書評

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  • 目からウロコの本です。ある対談集で著者の名前を知り単著を読んでみたのですが、現在の経済に関する状況が次々と論破されていき、驚きの連続でした。

  • 不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと
    もやもやしている時に出会った本。
    大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。
    需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、
    ・プロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーション
    ・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産)
    が重要。
    人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。
    しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り開く人間となりたい。

  • 著者は菅直人氏が総理だったときに、経済政策のブレインとして起用された人物。

    本書を一言でまとめるなら「増税による景気回復」論。
    従来の経済学とは矛盾する、一見トンデモ論だが、経済社会を発展途上社会と成熟社会とに分けるとすんなりと理解できる。

    目からウロコの考え方で非常に面白い。

  • 直観的に感じていることをズバリしてきてくれた一冊。しかも、著者は身近な組織にいる方と知って驚き。
    今までのありきたりな経済財政政策じゃ、いまの日本にはなにも響かないってことを、わかりやすく指摘されている。
    ここまで成長を遂げた日本の生活レベルにおいて、これ以上何を求めるのか?需要のないところに無理やり今までと同じ筋道で需要を掘り起こそうとしても土台無理な話。TVにこれ以上何の機能を求めるのか?スマホのカメラ機能(画素数しかり)をこれ以上上げることに意味はあるのか?ゲーム機だって、そう。DSやらWiiだって、ハードとして進化したけど、結局それに追いつく(追い抜くだけの)ソフトが出てこないから売れなくなった。それでもフローとして売り続けなきゃならないメーカーは、ガラパゴス化か補助金の援護射撃で需要の先食いしかできなくなった。

  • 成熟社会と発展途上社会では、不況に対する経済政策が同じではない!という論。生産力に余剰のある「成熟」社会での不況対策は、生産力余剰(失業者など)を使わせることが第一と主張する。
    また、生産力余剰を使うにあたっては生活を豊かにする財やサービスに対する需要(=価値のあるものへの需要)を増やせば、税金を使ったとしても全体として豊かさは増していく、と主張する。

  • 2012.1.25-2012.1.26

著者プロフィール

小野善康

大阪大学社会経済研究所特任教授。1951年(昭和26年)、東京都に生まれる。東京工業大学工学部社会工学科卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。武蔵大学助教授、東京工業大学教授、大阪大学社会経済研究所教授・所長、内閣府経済社会総合研究所所長などを経て、現職。大阪大学名誉教授。専攻、マクロ動学、国際経済学、産業組織。著書に『寡占市場構造の理論』『国際企業戦略と経済政策』(日経経済図書・文化賞受賞)、『貨幣経済の動学理論』『不況の経済学』『金融 第2版』『景気と経済政策』『国際マクロ経済学』『景気と国際金融』『誤解だらけの構造改革』『節約したって不況は終らない。』『不況のメカニズム』『成熟社会経済学』『消費低迷と日本経済』など。

「2022年 『資本主義の方程式』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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