ヴェネツィア――美の都の一千年 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316084

感想・レビュー・書評

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  • ベニスの歴史、美術史を網羅、旅行の手引きにも最高。観光地図や美術品のカラー写真をフンダンに掲載され、ベニスの魅力をコンパクトに理解出来る。詳細な美術解説は、かなりのレベルの絵画理解力や関心度が必要。

  • ロシアに興味を持ったのはアイスホッケーとフィギュアスケートが
    きっかけだった。そうして、私をイタリア、なかでもヴェネツィアに
    導いたのは漫画家・森川久美と作家・塩野七生だった。

    ロシアとヴェネツィアのキーワードに過剰反応する私の書庫には、
    本や漫画にこのタイトルの入っている作品のなんと多いことか。
    当然のように積んだままの作品も多いのだけれど。買ったら早め
    に読めよ、自分。

    本書も新刊書店の棚を眺めていたら目に飛び込んで来たのだ。
    買うでしょ、当然。ヴェネツィアだし、芸術だしね。

    ロシアには何度か行っているけれど、ヴェネツィアには未だ足を
    踏み入れていない。それでも、本やテレビの紀行番組で目にする
    街の建物や絵画、彫刻は「アドリア海の女王」と言われ、繁栄を
    誇ったヴェネツィア共和国の素晴らしい遺産なのだと感じた。

    その都市の歴史と共に芸術作品を追うのが本書なのだが、新書
    という形式上、教科書的であり、駆け足になってしまうのは仕方ない
    のかな。

    ただ、トゥカーレ宮殿やサン・マルコ大聖堂などにある絵画や彫刻
    を解説しているので、芸術巡りでヴェネツィアに行くのであれば、
    下手なガイドブックよりも役に立ちそう。

    カラー、モノクロのでの写真も豊富なのだが全体像ばかりなのが
    少々残念。新書だとどうしても写真の大きさも限られて来るし、
    細部が見たいと思っても無理な注文になってしまうのだもの。

    彫刻も、絵画も、私にはほとんど知識がないのだが、それでも
    西洋美術には惹かれるものが多いんだよね。なんで絵なのに
    こんなにも光を描くことができるのだろうかとか、布の優美な
    ドレープ感まで表現できる彫刻とか、見る度に「凄いな~」と
    思うわ。

    やっぱり行かなきゃな、ヴェネツィアに。特にサン・マルコ大聖堂の
    祭壇の後ろに飾られた「パラ・ドーロ」が見たい。黄金の背景に、
    惜しみなく宝石を使った、まさにヴェネツィアの繁栄の象徴では
    ないか。

    尚、1586年に日本からの大正遣欧少年使節がヴェネツィアを訪問
    した際に、ヴェネツィア側は元首はじめ、大歓迎してくれ、等身大の
    肖像画まで描いてくれたそうだ。この肖像画が現存していないのが
    惜しい。日本とはこんなところで繋がりがあったんだね。

    ああ、益々ヴェネツィアへの想いが募るわ。本書巻頭には全島を俯瞰
    した地図に、主要な建造物の場所が記されているのでヴェネツィア中
    を隈なく歩き回りたくなる。

    やっぱり長期滞在で行かなきゃいけないだろうな。まずは資金調達
    が問題だ。私にヴェネツィアに興味を持たせた森川久美と塩野七生
    を恨むわ。

著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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