- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004316695
作品紹介・あらすじ
「ゲノム編集」とは一体何で、何が問題なのか。狙った遺伝子を痕跡残さず改変できる技術が生命のありようをいま変えようとしている。作物や家畜の品種改良、またヒトの医療におけるその可能性と課題を探り、革新技術にいかに向き合うべきかを真摯に問う。規制と推進とで揺れる中、より良き未来のための対話が求められている。
感想・レビュー・書評
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図書館2017.10.8 期限10/22 読了10/21 返却10/22
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副題にもある通り、作物からヒトに至るまでの「ゲノム編集」について問題提起している。農作物→家畜→ヒト、と議論は段々重くなっていく。筆者はゲノム編集技術の向上を評価しつつ、食糧の生産効率向上や医療への応用については非常に慎重な立場を取っている。
その背景として、生態系への影響の未知数、「例え人が食べることになる」動物であっても人の都合だけで動物の命に手を加えることへの抵抗感、そして遺伝子治療によって取り返しがつかない事態を起こした海外の例などが挙げられている。
長い世代に渡る影響がどのように発生するかわからない状況下で「今、目の前の」都合だけで命に手を加えるのはやはり恐ろしく感じる。「デザイナーベビー」の話題では、生まれてくる本人への同意が無い中で親の希望だけで決めて良いのか、という言葉に説得力がある。
古今東西、生命改造を伴う悪の物語は事欠かない。数多くこれらが描かれて来たのは、「人は技術を持つと必ず悪用する者が現れる」という警告なのかもしれない。 -
生物ニガテだった記憶からか…
文章が難しいというか、基礎的なところがわかってないから
読み進めるのに障害があったよ。
読み飛ばしていったけど、それでも気になったところを後にメモメモ。
あとでもう一度読みたいけど、読まないかも。勉強してからかな
遺伝子の研究者の人が書いているから、遺伝子操作の有用性が書かれている。しかし手放しで活用せよというのでなく、安全性の説明をどうするかや、制度の必要性、リスクの問題など、専門家だからこその詳しさで書かれている…と思う。いかんせん読み飛ばしてるから。ムツカシー。拒否反応。
たとえば、食品への遺伝子組み換え表示は他国では1%以上なのに対し日本では5%以上と、ザル。表示するためのコストも相応にかかるようだけれど、他国からすれば「日本では5%にしてるくらい安全」という説明材料にされちゃってるようで。日本がやってるから大丈夫ってことは全くないぜ!きっとのんきなだけだぜ。
p47
日本は遺伝子組み換え作物の輸入大国の一つ。菜種、大豆、トウモロコシ。カナダでの遺伝子組み換え菜種栽培率は93%。「遺伝子組み換えでない」という表示を選んで買っていても、食品輸入量から考えると、日本人は程度の差こそあれ相当食べているはず。
→やっぱりか! 遺伝子組み換えでない、っていってもまるっと嘘である可能性があるってこと!?
p50
遺伝子組みかえの使用量が上位3位までで、かつ全重量の5%を占めるものにしか表示義務がない。
→ザルか。
p52
港湾地区で、荷揚げされて輸送中の除草剤耐性の組み換え菜種がこぼれ落ち、自生していた例が多い。
→入ってきているね。
p173
日本では不妊治療の末きょじに至らない場合、特別養子縁組をすることが少ない傾向がある。アメリカ170に対して日本はたったの6.
p192
対話のために
ゲノム編集作物を総論で食用上危険であるとか、生態系に必ず悪影響を与えると考えるのは控えたい。特に社会運動として主張するのであれば、個々の作物育種毎に食品安全性や環境絵の影響の評価のデータを研究者に求めていくのが適切ではないか。つまり、オフターゲット変異はどこまで調べたのか、また作物に付与された性質と生態系への予想される影響について開発者に市民目線で説明を求めてはどうか。 -
ゲノム編集の全体像をわかりやすく説明した本。
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農業から医療まで幅広い分野に応用できる画期的なゲノム編集技術。急速なバイオ技術の進展に驚くばかりだが、その一方で残るオフターゲット等の技術課題や倫理面を含む問題点に対して丁寧な解説がなされ大変勉強になった。
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ゲノム編集に追いつきたくて読んでみた。現状と問題点がまとまっていてよい。医療にしぼっても大変な問題があってなおかつ早く解決あるいはそのための議論をしなければならないが遅々としてすすんでいないらしい、というのがわかった。
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ゲノム編集を知らなかったので、ここまで進んでるんかと衝撃を受けた。内容は最新のゲノム編集のはなし、1世代前にあたる、遺伝子組み換えの話、突然変異のはなしから始まる。
次にその応用の話になる。植物、動物、そして人への応用で何ができるか、という話になる。そして、倫理の問題や法規制の話になる。
構成も良く、内容も最新であり、ボリュームも程よく、とても良い本であった。 -
医療や食物などに関わるゲノム編集は、
恩恵を受ける相手が一般消費者なので、
技術が浸透するためには、一般消費者の理解が重要。
曖昧でわからなく、危険がありそう...という理由で
避けるのではなく、何がリスクで、どんな論点があるのかを理解することが求められる。それを促すための一冊によい。 -
遺伝子組み換え作物と、ゲノム編集は技術的には大きく異なるようだが、一般市民には理解が難しいと思われる。したがって、ゲノム編集で作られた作物も受け入れには困難を伴うのではないか。慎重な安全性確認を行い、丁寧に進めて行く必要がある。
人への適用は、場当たり的な対応で先延ばしにすることなく、倫理面、安全面からキチンとした議論をした上で規制を行っていくべきである。 -
請求記号 467.2/I 75