ジョブ型雇用社会とは何か: 正社員体制の矛盾と転機 (岩波新書 新赤版 1894)
- 岩波書店 (2021年9月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318941
感想・レビュー・書評
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勤め先の会社でジョブディスクリプションが整備されました。これが「ジョブ型」か、とやんわりとした認識しかありませんでしたが、社内で異動先を公募する際の参考資料としてしか活用されておらず、何だか早くも死蔵となりそうです。そんな経緯から、ジョブ型って何なんだ?という素朴な疑問を持つに至り、書店でズバリのタイトルが目に入りこの本を手に取ったのですが、おかげでかなりスッキリしました。やっぱり大きな認識相違があったんだとわかりました。
本の後半ほとんどは、日本で流布されているジョブ型が得たいの知れない某かになってしまっていると思われる歴史的経緯について、労働法制を中心に解説されています。その中で、米国と欧州と日本の違いもザックリと掴むことができます。これだけの内容をよく1冊にまとめたものだと感じるのは、私に前提知識が皆無だったからだと思うわけですが、似た状況の方にはお薦めです。
考えたこととしては、日本はやっぱりここでもガラパゴスだということと、しかしそれは優劣ではなく特色だということです。むしろ誇らしくもあると感じるくらいです。長らく元気・自信のない日本ですが、賃上げが叫ばれる昨今、雇用という観点からも自らの立ち位置を見定める価値があり、その上でどうやって未来を切り開いて行くべきか我が事として考えて行くべきだと思いました。良い本でした。
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今のワタシにツボ過ぎました!!
関連投稿しました。
【就職氷河期世代の女性はどっちがHappyか?!】
https://note.com/ruly_yasuka/n/n2d110bb95cc3
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著者つながりで読んだ最新本。
ジョブ型雇用とは何か、の解説は前半のごく一部だけで、歴史を紐解きながら、なぜ日本はこのスタイルになったのか、他国はどうなのかを解説してくれる。
条文はこれこれだけど、こんな思惑が見え隠れする、などの解説があり、真実はわからないものの、興味を惹くトピックもあり、読み進めたくなる。
文書の難易度としては、前提知識なしに読むにはやや難しく、何かにつけ人事や労務の知識(せめて関心)があったほうがいい。 -
ジョブ型についてというよりも、これまでの人事制度についての歴史的考察が大部分。勉強になった。
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50257183
ジョブ型雇用の原理について分かりやすく丁寧に解説している。
(食農ビジネス学科 柳村俊介先生推薦) -
ジョブ型雇用について自分なりの考えを持つため、読みました。誤解していた部分が多々あったので、是正できてよかったです。特に、「資格なきスキルを認められるかが、ジョブ型のアキレス腱」というのは納得でした。
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マスコミはどんどんと新しい言葉を使った記事を量産してくる。しかしその言葉がそもそも何を意味しているかの定義が書き手によってばらついているのであれば議論はかみあわない。歴史的経緯の結果、ここでもガラパゴス化している日本の雇用社会がジョブ型をとりいれるにはあまたの課題がある。昨今の環境変化のスピードに旧来の日本社会のしくみの見直しが追いついていない。現状維持や過去へのあと戻りの考え方ではこの不合理は解消しない。
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「ジョブ型」雇用が注目されているようで、読んでみた。
で、世の中にあふれている言説がなんだか変な感じがしていたのだが、これを読んですっきりした。
今の日本の「メンバーシップ型」の問題が、他国の「ジョブ型」との比較において、明確に整理されて、単純に「ジョブ型」的な制度を一部日本にいれてもうまく機能しないことを示している。とはいって、処方箋的なものが明示されているわけではない。
著者は、日本は「メンバーシップ型」ということなのだが、それは雇用の実体であって、法律などは外国の法律を参考にして作られているので、「ジョブ型」的なものとして構築されているとのこと。
が、裁判の判例とか、施行規則の注に記載されているとか、実にマイナーなところで、日本の雇用実体と法律との齟齬が整合させてあるとのこと。
なるほど、労働、雇用関係のなんだかわからなさはそういうことだったのか〜。
一時は、日本型経営ということで、すばらしい経営モデルとしてもちあげられた日本型のメンバーシップ型の雇用モデルだが、今となっては、次への発展の足枷になっている面が多い。
というか、「メンバーシップ」という美しい概念のもとに人間が人間らしく、働き、生きることをできなくするシステムになっているのだ。
すべての制度や慣行がこの「メンバーシップ型」を中心に構築されているわけで、雇用関係、賃金、労働時間、ジェンダー問題などなど、その一部を変えても機能しないということがよくわかる。
一方、この「メンバーシップ型」はある意味大企業、ある程度恵まれた被雇用者が適用の対象となっており、実は中小企業の被雇用者、パートなどなどは、実は「ジョブ型」になっていて、こうした制度の二重性によって特徴づけられているとも言える。
本を読んでいると、日本の労働関係を変えることが、いかに困難かが伝わってきて、軽い絶望感を感じるところ。
もちろん、日本的な雇用関係にもよいところ、あるいはこれからの世界に価値を生み出すものに再構築できるものもあるのだろう。だが、その道は限りなく遠い感じがしてしまう。
こうしたシステムは日本固有の文化も関係するのかもしれないけど、戦後に生まれてきたものとのこと。
つまり、戦後日本における社会的構築なわけだ。
そして、日本以外における「ジョブ型」の雇用形態もそれぞれの歴史のなかで生まれているとはいえ、最初からそういうものであるわけでもなく、他国をみれば、違う雇用制度というものが現実的に可能であるということもわかる。
こうした社会構築は、人間の本質とか、日本固有の文化のミームではない。
そこに希望が存在する。
とはいえ、この社会的構築はすでに強固な既得権益にまみれており、なかなかに変えることは困難なものなのであるが。。。。
ちょっと気が滅入ってしまう本であった。
ちなみに、この本のタイトル「ジョブ型雇用社会とは何か」というのはミスリーディング。そういう本ではなくて、「ジョブ型」に関する日本の間違った言説を指摘したうえで、日本の現在の「メンバーシップ型」の問題点をそもそものところから整理した本。 -
これを読んでもよくわからん。日本企業はどうなりたいのか。どう変わるのか。ジョブ型雇用は今言い始めたことじゃなくて、以前からチャレンジしては失敗してきた歴史があることは理解できた。結局みんなで幻想をみて期待しているだけで、具体策になってないんだな、ってことは理解できた。
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全然ワカンネーがほとんどだった。「日本の労働史」の本。
じゃあどうすればいいのよ、と思うが、たぶん私が読みきれてないんだろうな。敗北!