検察審査会 日本の刑事司法を変えるか (岩波新書 新赤版 1923)
- 岩波書店 (2022年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319238
作品紹介・あらすじ
日本の検察審査会は世界でも類を見ない独特な機関だ。11人の市民で構成されるこの組織は、絶大な権力を握るプロの検察官が下した不起訴処分を検証し、事件の再捜査および起訴すべきかを決定する。裁判員制度と違い、強制起訴の権限を付与されその重要性がようやく認知され始めたばかりの検察審査会の初の体系的な分析を示す。
感想・レビュー・書評
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玉木宏主演ドラマ「ジャンヌの裁き」を見て、検察審査会に興味がわいたので読んでみた。この本では、検察審査会がなぜ重要なのか、どのように運用されているのか、その影響は何かを説明している。その副産物として、日本の刑事事件の起訴のありかたもよく理解できる。
日本でおいて、検察官は事件を起訴するかしないか、どの事件を起訴するかについて、広範囲な裁量を有している。確実に有罪に持ち込めるものについてのみ起訴するので、有罪確率は100%に近いが、一方で起訴されない案件も多くある。したがって、主に法で人を裁いているのは、裁判所の裁判官ではなくで、検察官だと言える。自民党安倍派の裏金事件で、虚偽記載の金額の大きさによって起訴するしないを決めており、検察が線引きを行っていることがわかる。不起訴になれば道義的な責任だけになってしまい、今回の裏金事件の裁きに納得感が乏しい要因だろう。
またドラマとは違い、「不起訴不当」と「起訴相当」の議決が出る確率は審査した事件数全体の7%弱に過ぎないことも事実としてわかった。しかし、審査会の存在が検察へのけん制が効いているようで、大切な制度であると認識した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【請求記号:327 ジ】
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女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000056997
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東2法経図・6F開架:B1/4-3/1923/K
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第1章 検察官と検察審査会
刑事司法における市民参加/検察官についての問題(①権力②裁量③非違行為④イデオロギー⑤アカウンタビリティー⑥惰性⑦役割の曖昧さ)/三つの枠組み(①被害者②不処罰③民主主義)
第2章 検察審査会の誕生と運用
検察審査会の誕生/1948年の検察審査会法/検察審査会の改革(①犯罪被害者の権利運動②司法制度改革③福岡高裁判事妻ストーカー事件)/検察審査会の運用/検察審査会は大陪審と見なされるか/検察審査会は日本の特別検察官なのか/結論
第3章 検察審査会の影響
俯瞰的な見方/検審バック/検審バックの影響/金丸事件で急増した不満の声/結論
第4章 強制起訴
1 明石花火大会歩道橋事件/2 JR福知山線脱線事件/3 沖縄未公開株詐欺被告事件/4 陸山会事件/5 尖閣諸島中国漁船衝突事件/6 徳島県石井町長暴行事件/7 ゴルフインストラクター準強姦被告事件/8 柔道教室学生重傷事件/9 東名高速道路あおり運転をめぐる名誉毀損事件/10 東電福島第一原発事件/ホワイトカラー犯罪と強制起訴/結論
第5章 教訓
強制性交(旧強姦)事件を起訴しないという問題/教訓(①検察官をチェックすることは可能②検察審査会の起源③正当化がもたらす効果④検審バックの効果⑤影シャドウ効果と影響⑥強制起訴と有罪判決の少なさ⑦企業犯罪の抑制に向けた課題⑧分かっていないことが多い⑨市民の満足度⑩検察審査会の危険性⑪民主的な刑事訴追を目指して⑫他国への示唆)/改革のための提言 -
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