人種主義の歴史 (岩波新書 新赤版 1930)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319306

作品紹介・あらすじ

「人種」という根拠なき考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 壮絶な取材の舞台裏を明かす「何が記者を殺すのか」など三牧聖子が選ぶ注目の新書2点|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14633050

    ヨーロッパ文化学科 平野 千果子 著『人種主義の歴史』が刊行されました | 武蔵大学
    https://www.musashi.ac.jp/news/legn3e0000000qit.html

    人種主義の歴史 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b605150.html

  • 大きなテーマ以上に、有名な哲学者や学者の多くも時代の制約からは逃れられないというのがひしひし伝わり震えた。どれだけ先進的なことを言っていても、人種観はめちゃくちゃ差別的だったりする(それはある意味不可避でもあったと言える)
    自分も、今の社会的には許容される(=誰かが誰にも気付かれずに傷ついている)発言を繰り返している可能性だってある。震えながら生きるしかない。

  • ナチの思想には先立つものがあり、ナチ独自のものはないというのが歴史研究では共通理解である。ナチズムのもとに極端に現実化したことはあるとしても、その時代を特殊なものと言位置付けてしまうと、いずれの社会も同じ意味地を歩む危険をはらんでいることに鈍感になる恐れもある。ナチズムを総体佳するのではない。それを特別視する呪縛から解き放たれる必要があると思われる。

  • 【書誌情報】
    『人種主義の歴史』
    著者:平野 千果子 (1958-)
    通し番号 新赤版;1930
    ジャンル 世界史
    刊行日 2022/05/20
    ISBN 9784004319306
    Cコード 0220
    体裁:新書版・270頁
    定価 1,034円

     「人種」という根拠無き考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b605150.html

    【目次】
    目次 [i-ii]

    序章 人種主義を問う 001

    第一章 「他者」との遭遇――アメリカ世界からアフリカへ 017
    第1節 大航海時代 018
    第2節 ノアの呪い――黒人蔑視の淵源 031

    第二章 啓蒙の時代――平等と不平等の揺らぎ 043
    第1節 人間を分類する 044
    第2節 思想家たちと奴隷/奴隷制 062

    第三章 科学と大衆化の一九世紀――可視化される「優劣」 085
    第1節 人間の探究と言語学 086
    第2節 人種の理論書 093
    第3節 優劣を判定する科学 108

    第四章 ナショナリズムの時代――顕在化する差異と差別 127
    第1節 諸科学の叢生 128
    第2節 国民国家の形成と人種 145
    第3節 新らたな視角――黄禍論、イスラーム、反ユダヤ主義 161

    第五章 戦争の二〇世紀に 183
    第1節 植民地支配とその惨禍 184
    第2節 ナチズム下の人種政策 199
    第3節 逆転の位相 210

    終章 再生産される人種主義 225

    あとがき(二〇二二年三月 善福寺川のほとりにて) [242-245]
    主要参考文献/図版出典一覧 [1-21]

  • マイノリティや歴史的背景を鑑みて適用されるアファーマティブ・アクションなどの制度に対して、逆差別だという主張がなされることや、被支配者側でありながら、支配者や宗主国側の思想や論理を内面化してしまう者がいるということがこの問題の複雑さを明示しているように思った。
    近代社会がまだまだ歴史の浅いことにも気付かされる。今では考えられない思想だとしても、それはほんの2、3世紀前なのだ。私たちが今、正しいと考えていることもほんの少し先の時代では全く正しくないとされていることだって不思議ではない。

    いろんな国でポピュリズムが台頭していることも、この問題とは切り離して考えられないのではないだろうか。
    常に物事を批判的に見つめ、さまざまなな問題が絡み合う人種という概念がこの先どのような解釈や理解をされていくのか、自らも願うのみではなく行動しながら、注意深く観察していきたい。

  • 昨日購入した岩波新書の『人種主義の歴史』(平野千菓子)という本を読み始めている。
    冒頭あたりに「生物学的には人間の種は一つであり、複数の人種はないはずである」
    という文言に出会います。
    私が常日頃思っている考えにぴったりの合致するので大変頼もしく頁をめくっております。
    私の教科書ともなっている更科功『絶滅の人類史』によりますと、
    700万年前に様々な種類の人類がいた。ネアンデルタール人もいた。
    しかし、ネアンデルタール人は4、5万年前に絶滅し、
    最後に生き残ったのは学名ホモ・サピエンスとよばれる私たち人類だけなのである。
    ホモ・サピエンスはアフリカを起点に各地に移動した。北欧、アメリカ大陸南端、
    中東、アジア、オセアニアと地上をくまなく覆い尽くした。
    それは細胞、遺伝子分析などによって生物学で完全に証明されている。
    しかしながら肌色、頭髪、目の色、言語、風習など様々な違い種分け、区別、差別化され、
    更に居住地区、政治、国籍、教育、宗教などによって洗脳され、優劣がほぼ制度化されている。
    昔、黒人は普通の人間より劣っているという考えが欧米などで広く信じられていた。
    しかし、あるニューヨーク市長が「アメリカは移民の国である」と断言されたように、
    黒人で、弁護士、科学者などを大勢輩出し、更には大統領までなった人もいる。
    日本人だけが偉いのではない、大部人だけが素晴らしいのでは無い。
    世界に住む各地域の人びとの能力はそんなに差は無いのだと思う。
    ただ、食事、住居、衣服など生活環境の違いによって、
    食べる事にに汲々とし、教育が十分に行き届かない所が多いのは現実である。
    人種主義、差別主義…、
    こうした他の人を見下すことない社会はいつになったら実現するのだろうか?

    ※索引があればな~

  • 筆者は、本書が唯一のあるべき人種主義の歴史ではないと述べていて、やはりどの国の視点からどのような解釈をするかによって歴史や差別というものの捉えられ方は変わるのだなと思った。私自身まさか奴隷制度の被害者側である国の中にも奴隷制度があるなんて思いもしなかったし、中学生の歴史の授業では簡単に学んでいたものがとても複雑なものなのだと理解できた。

  • ナショナリズムや植民地主義、反ユダヤ主義と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、現代にも深い影を落している人種主義(レイシズム)。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座からとらえる入門書。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40288739

  • 【請求記号:316 ヒ】

  • 2022年11-12月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00604172

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著者プロフィール

武蔵大学人文学部教授。専攻は、フランス植民地史。著書に『フランス植民地主義の歴史』(人文書院、2012年)、『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店、2014年)など。

「2014年 『アフリカを活用する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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