自然をつかむ7話 (岩波ジュニア新書 438)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005004386

感想・レビュー・書評

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  • ジュニア向けだけど結構本格的。
    なので理科系が苦手な人には少しばかり
    敷居が高いかもしれません。

    ある有名な物理学者が出てくるのですが
    私はずっと彼が物理学者ということを
    知らずに生きてきました。

    それと、映画の小話を見てちょっと思うところがありましたがうちの親の年代よりは上でしたね。
    でも結構見たことのあるものが出てきていました。

    なぜエルニーニョ現象が取り上げられるのかも
    なるほどと思えたのでいい本でした。

  • 科学者のエッセイのようなもの。寺田寅彦に刺激を受けて、子供たちにも興味を持って、分かるような話を選んでいるのだろう。読んで面白かった。対象の子供の年齢はいくつに設定してあるのか分からないが、難しすぎないか?
    2001年宇宙の旅は、本当に謎解きであった。映画を見て何回、本を読んで、謎は解けてくるが、本書に書かれたような意図があったとは分からなかった。特に宇宙船で飛行し、光速を超えて、自分を向き合い、死を迎えることの意味。テーマは重いなと感じた。映画監督は発想はすごい。
    どの話題も、難しい内容を身近なものに置き換えて分かりやすく解説していることはすごいことだ。
    自分の仕事面で考えたこと、錬金術、賢者の石、現在のPC技術で、バーチャルなら可能なのではないか?

  • これは素敵な本です。
    ジュニア対象かもしれないけど、大人でも全然いける。確かに最先端の話題じゃないかもしれないけど(発売からの年月もあるし)、話の流れの作り方、引用の上手さに感動しました。
    こんな面白い話し方・伝え方、出来たら素晴らしいなぁ。

  • 2位
    「形態形成」という耳慣れない概念がある。形がなかったものが、形をつくることだという。
    こんなこといったって、ピンとくるはずないですよね。じゃあ豆腐はどうか?
    豆腐は豆乳からつくられる。豆乳はにがりを入れなければ豆腐にならず、ずっと豆乳のままである。にがりを入れてグルグルかきまぜると、豆腐が出来上がる。このにがりを入れることが「形態形成」らしいんですね。

    それから『古事記』がある。イザナギとイザナミが、まだドロドロしている地面をかきまぜると地面が固まって、島ができたという。これまた「形態形成」です。

    もちろん豆腐は現実で、『古事記』は神話です。でも物理学では、現実か架空か、という区別をしない。「実現可能な世界」と「実現不可能な世界」に分かれる。前者は自然の法則に従った世界であり、後者は自然の法則とは相容れない世界です。前者は今は架空でも、いつかは実現できるかもしれない。後者は永久に無理、らしい。

    木村龍治『自然をつかむ7話』は、こうした発見にあふれています。空に雲ができるのも、水滴や氷晶の集まりが、「空気中のちり」という核にくっついて粒になるから。この場合ちりはにがりに相当します。
    雪の結晶も形態形成のおかげ。木村さんはウィリアム・ベントレーが撮影した雪の結晶を紹介します。雪結晶には、ひとつとして同じ形がないという。
    さらにさらに、「おそらく形態形成の最高傑作は生物でしょう」という。地球表面にあるわずか29種の元素を組合わせて、複雑な構造を形成してしまうのだから。

    しかし話はこれだけでは終らない。なんと地球のつくり方も、豆腐や雪結晶と同様の形態形成にほかならないという。引力による引き合いや、回転や衝突をくりかえし、均一なスープのような状態から、固い地球ができあがったのである。
    そしてこう言い添える。「この点で、神話の発想は正しかったことになります」と。
    これには驚いた。本当に驚いた。そういうつなげ方があったのか、そういう発想ができるのか!

    「自然は、大きさの大小や作業時間の長短など、まったく区別しないかのように、同じようなやり方で形態形成を行うようにみえます」
    こんなにワクワクする文章が、あと6話もあるんですよ。読んでみたくなりません?

  • わくわくする。
    まさにヒョウタンから駒。寺田寅彦。
    1つの疑問から話が膨らみ、なにが本題だったか分からなくなるほど。
    新書だからこういうのが許されるのかもしれない。
    でも、授業や講義で、後までよく覚えているのは関係の無い小話だったりするのも事実。
    素朴な疑問が連なり、ここから原子まで、そして宇宙にまで思考が届く。科学とはなんと自由なんだろうか。

  • 「一粒の砂の中に世界をみる

     一本の野の花に天国をみる

     そうだ、つかむんだ、無限を、その君の手のひらの中に

     たったひとときの中に永遠を・・・・・・」

    byウィリアム・ブレイク

     一粒の砂のルーツを探ると、地球の歴史に遡り、無限大の世界に思いを馳せることができる。自然は地球の歴史の集大成であり、それを解き明かすのは自然科学である。自然科学はなにげない物に深い意味を与える力を持っている。

     本書は身近なもので、自然科学にまつわるエンターテイメント性が高い話を7つ紹介している。その題材は、手品、豆腐、花火、宇宙、生態、海、お湯などバラエティに富んでいる。

     たとえば、「海の水はなぜ塩辛いのか?」である。それは、海水が濃い食塩水だからである。海水を塩辛くしている原因は川にある。しかし、川の水は淡水である。塩辛くない水が海に入れば、塩分が薄まるはずなのに、どうしてそのようなことが起こるのか?それは、長期的にみると、川からはいる水の量と、海面から蒸発する水の量が同じ分量であり、河川水にごくわずかな食塩が含まれているからである。そして、蒸発するのは水の分子であり、塩の分子は蒸発しない。なので、食塩は少しずつ海にたまっていくことになる。河川水には多くの物質がとけ込んでいるが、ほとんどの物質は様々な理由で取り除かれる。そのため、唯一残った塩の分子のために、海水は塩辛くなる。「ちりも積もれば山になる」という例えの通り、3.5%の濃度まで濃縮される。また、ごくわずかの食塩は、しぶきなどで海から除かれるから、現在の濃度以上に食塩が増えることはないだろうと考えられている。

     自然科学は、常識を疑い、自然を考察する。そのため、普段気付かないような、おもわぬ景色が見えてくるようになる。また、自然科学は、新しい技術開発を通して社会に役立つばかりでなく、私たちの心を豊かにしてくれる機能を持つ。本書を読めば、自然科学について関心が深くなるだろう。

  • 寺田寅彦の随筆を意識して書かれた本だとのことだが、残念ながら及ばなかったようだ。

    日常に題材を求め、それを科学の話に広げようという狙い。しかし日常への視点がありきたりで、そこから広げられる科学の話には体系もなく、どちらの観点からも中途半端なものになってしまってると思う。

    それでも第5話、第6話は比較的面白い内容だったけれど、他の話の展開がつまらなく、また強引に思える部分も多い。

    個人的には、こういう本で寺田寅彦の名前はだして欲しくなかったな。寺田寅彦の著作は本当に面白いものが多いので。

    第1話 奇術の楽しみ
    第2話 豆腐が語る創世記
    第3話 花火からビッグバン
    第4話 「2001年宇宙の旅」の謎を解く
    第5話 生態系の運命
    第6話 アドリア海に落ちた涙
    第7話 茶碗の湯に地球をみる

  • [ 内容 ]
    日常生活にある楽しみが、自然の奥深い姿を語りかけてくることがあります。
    手品、豆腐、花火、映画、小説などを素材に、原子の世界から宇宙まで、過去から未来まで、あなたを思いもよらない広い世界に案内します。
    自然科学者が感動した「自然の驚異」を語る7話。
    科学が心を豊かにすることを実感するでしょう。

    [ 目次 ]
    第1話 奇術の楽しみ
    第2話 豆腐が語る創世記
    第3話 花火からビッグバン
    第4話 「2001年宇宙の旅」の謎を解く
    第5話 生態系の運命
    第6話 アドリア海に落ちた涙
    第7話 茶碗の湯に地球をみる

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  高校の入学が決定した日に配られた、春休みレポートの課題図書。
     見出しはまぁ、面白そうだったのに、中身が複雑だった。物理を少しかじった今なら、○○の1億倍とか言われてもなんとかいけるけど、中学卒業直後の生徒に読ませる本ではないと思う。

  • いわゆる大人にこそ読ませたいってやつ。いい本でした。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授。気象学、海洋物理学、地球流体力学。
主な著書に『地球流体力学入門』(東京堂出版)、『改訂版 ながれの科学』(東海大学出版会)、『日本の気候』(共著、岩波書店)など多数。

「2014年 『変化する地球環境 異常気象を理解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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