- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005007578
作品紹介・あらすじ
文化立国フランスを彩る数々の宝刀の中でも、ひときわ輝きを放ち、世界の人々を甘く魅了してきた「お菓子」。それは教会や修道院で生まれ、やがて王や貴婦人たち、そしてブルジョワや文豪、パティシエたちによって、戦略的に磨かれてきた。フランスの歴史をその結晶であるお菓子によってたどり、フランスの「精髄」に迫る。大人気!!東大講義。「パスタでたどるイタリア史」につづく第2弾!
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
東大大学院教授池上俊一著 岩波ジュニア新書
生きるためには不可欠ではないのに生活に
甘美なうるおいを与え幸せを与える不思議な食べ物。おフランスで発展し国家戦略としてどのように利用したかがよくわかります。ゴーフル、ドラジェ、ビュッシュドノエル、マカロン、クグロフ、シャルロット、マドレーヌ、サヴァン、ブランマンジェ、ルリジュース、タルト・タタン、ミルフィーユなどほとんど食べたことないですがどれも優美な響きでおじさんも憧れます(笑)
-
昔から世界中の人々を魅了してきたお菓子。教会や修道院で生まれ、やがて王や貴婦人たちへ…魅力的なお菓子を通してフランスの文化・歴史・社会が網羅的に学べる美味しい1冊。
-
刊行日 2013/11/20
世界一の国になるには,素敵なお菓子が欠かせない!と考え,その甘い武器を磨いてきた国,フランス.ジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネットが食べたのはどんなお菓子? 歴史を変えた伝説のパティシエとは? あの文豪もスイーツ男子だった? お菓子の由来も盛りだくさん! 歴史もしっかり学べる,華麗であま~いフランス史.[カラー口絵4頁]
序 章 お菓子とフランスの深い関係
フランス菓子が世界一?/お菓子という「余分なもの」/誰にでも手に入る「宝石」/お菓子という武器/ケルト人と古代のお菓子/中世初期のフランク人/フランスを統合する「精髄」/受け容れ,同化させる国/文化立国を支える力
第1章 キリスト教信仰と中世の素朴なお菓子
お菓子の衰退と復活/キリスト教とお菓子/修道院の役割/髪と人をつなぐお菓子/エウロギアとウーブリの広まり/呼び売りの活躍/カペー朝のはじまり/封建制と三身分/王のもつ権威/十字軍とお菓子の材料/貴族たちの愛した砂糖漬け/パン・デピス/焼き菓子のいろいろ/農業の発達と都市の成長/王権の強化とパリの発展/ジャンヌ・ダルクの生い立ち/田舎娘のお菓子/三つのお祭りとお菓子/クリスマスのお菓子
第2章 略取の名手フランス
フランスが外に開いた時代/サトウキビと十字軍/大航海時代の砂糖栽培/百年戦争後のフランス/戦争がもたらしたイタリア文化/ヴァロワ朝の婚姻関係/カトリーヌ・ド・メディシスとイタリアのお菓子/アイスクリームの到来/秘密のチョコレート/チョコレート菓子の広まり/宗教戦争の時代/カトリックと美食
第3章 絶対王政の華麗なるデザート
絶対王政と司法/パリの発展とヴェルサイユ/フランス人はグルメじゃない?/国家戦略としてのフランス料理/ルイ一四世の絶対王権/外交と財政/砂糖帝国の成立/砂糖をめぐる争い/コーヒーと砂糖の出会い/砂糖の消費の増大/砂糖のその後/クリームいろいろ/弱き女性とお菓子/サブレ夫人/チョコレートと女性/繊細な時代の美しい食べ物/寵姫モンテスパン夫人の努力/ポンパドゥール夫人と王妃マリーの食べ物抗争/ポンパドゥール夫人の魅力/マリー・アントワネットが愛した菓子クグロフ/光の世紀
第4章 革命が生んだ綺羅(きら)星(ぼし)のごとき菓子職人
王権のかげり/ブルジョワと民衆の不満/バスティーユ事件から立憲君主制へ/共和政の開始とロベスピエールの独裁/フランス革命の意義/レストランの発展/有名パティシエとお菓子店の登場/ナポレオンの業績/栄光を描いた菓子職人ルボー/アントナン・カレームのピエス・モンテ/お菓子と建築の関係/タレーランとの出会い/歴史を動かすデザート/カレームのその後/ボヴァリー夫人のウェディングケーキ/シャルロットとブラン・マンジェ/フランス菓子いろいろ
第5章 ブルジョワの快楽
復古王政/七月王政/ナポレオン三世の政治/産業革命と階級社会/ブルジョワたちの食生活/プチフールの楽しみ/サロンの繁栄/パリの輝きと中央市場/フラヌール(散策者)の出現/知識人たちのパリ散歩/美食家グリモのグルメガイド/ブリヤ=サヴァランとデュマ/カフェ・ド・フォワとル・プロコープ/カフェという楽園/パサージュと菓子店/乗合馬車の登場と鉄道の敷設/パリに集まる名産品/プルーストとマドレーヌ売り
第6章 フランスの現代とお菓子
第三共和政とフェリーの改革/二つの大戦/戦時中の菓子とウェディングケーキ/戦後のフランス/技術革新とお菓子/ムースの舌ざわり/フランス人パティシエの時代――エスコフィエとルノートル/フランスとお菓子の未来
あとがき
フランス史年表 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/629471 -
読了 2022/02/06
総じて読み応えのある面白い本
史実とともに発達したフランス菓子の種類や名称がよくわかったし、フランス史の復習になった
語彙表現も豊かでその意味でも何度も読みたい(買いたい) -
お菓子の立ち位置が凄い!
ただ甘い物ではありません。
スパイスの入ったお菓子が苦手でした。なんで?入れたんだよーと思ってました。
成る程ね。
-
ジュニア新書だが、高校生でも楽しめる内容で大変面白かった。フランス史は今まで興味を持っていなかったが、この機に自分の興味ある分野の他にもフランス史の本を読み込んでみようと思った。
-
フランスの中世から現代までのお菓子の歴史とともに紐解く歴史書。
お菓子が君主の威厳を表すためや、外交上に使用されていたというのは初めて知った。 -
「岩波ジュニア新書」の池上俊一さんの一連のヨーロッパ各国史の著作、スペイン史に続いてフランス史を読了。「情熱」という抽象的なコンセプトを軸にしようとしたスペイン史に対して「お菓子」という実体のあるものをテーマにしたこちらの方が構成としては成功している感じがします。
ともあれ、フランス史の概略を掴むのによい本でした。
なぜヨーロッパ史を概観しているかというと、ヨーロッパ史を知らないとアメリカ史の背景がよく分からないということがよく分かってきた(笑)から、なんですよね…
歴史は面白い。