「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書 893)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005008933

感想・レビュー・書評

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  • 日本人は「世間」という一神教を信じている。

    仲間はずれのいじめにあったら、それは自分が大事にしたい世間なのか、本当に全員がそうなのか、本当に強力な世間なのか?

    なかなか変わらない世間のルールをうまく利用して、小さな戦いをする。少しずついつか変わる。

    自分の思いを大切にする。かけがいのない自分、という感覚を持つ。

    いろんな価値観は心を自由にする。

  • 身近な関係性を『世間』、関りが間接的な影響範囲を『社会』として、うまく論じている。

     青少年向けの内容だが、アラ還親父にとっては思い当たる節のある世知だ。僕は青少年ではないが、自分が抱えてきた生きづらさが指摘されているように感じる。青少年向けには指南書だが、アラ還親父にとっては答え合わせの書だ。

     明文化しようが、しまいが、生きづらさは残る。世間と価値観が異なる者にとって必要なものは辛抱だ。それを声高に主張すると、また別の生きづらさが残ってしまう。

     本書では『生き苦しさ』と表現されるが、慣用的には『息苦しさ』や『生きづらさ』と表現される。現代を生きる青少年にとっては『生き苦しい』なのか。ニュアンスの違いは理解しにくい。

  • どうしてこんなに人の頼みを断るのが苦しいのか。どうしてこんなに周りの目が気になるのか。どうしてこんなにラインやメールが気になるのか…。鴻上尚史が、「生き苦しさ」のヒミツと「生きやすく」なる方法を伝える。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40266346

  • 「空気」を読んでも従わない
    鴻上尚史

    ∞----------------------∞

    ジュニア新書だけど、大人も読んだ方が良いと思える本。

    日本人は「世間」という自分が接する人たちを気にしすぎて苦しく思っている。でもそれは、伝統のように古来から日本に伝わる風習のようなもので、「しょうがない」と諦めながら日本人は生活している。

    また「社会」という自分には関わらない世界も存在する。日本人は社会に対してどう接すれば良いか分からず、社会の人には冷たく捉えられがち。

    マナーだとか常識と言われるものがただの一般論だったり、人のためという名の押しつけだったりすることが多いなというのがここ数年で学んだこと。
    日本人はとにかく同調圧力に屈しがち。

    私自身は空気も読まないし同調圧力も気にしていないつもりだけど、この本を読んでるってことはやっぱり気にしてるってことかなぁ。

    2023/07/28 読了(図書館)

  • 今まで世間や社会と言うものを考えたことがなかったけれど、よくよく考えると世間は怖いものだと思いました。同調圧力にも考えさせられるものがあります。私は今何のグループに属しているのか…これからのことも考え新しいグループを増やしたいと思います。

  • 世間と社会の概念が、とても分かりやすく説明され、納得できました。

    自分の生き方を振り返って、複数の世間を行き来しながら、心の安定を図っていたことに気づきました。

    「日本人は、しょうがない という言葉を連発する民族」という記述は目から鱗でした。自分自身、最終的にでる言葉が「しょうがない」です。

    社会話という考え方、なるほどなあと思いました。

  • この本は中学生〜高校生でも読めるような言葉や例えで書かれているが、内容は今の日本人に向けての、それはそれは熱いメッセージが感じられるもの。

    テーマの中にあるのは現代を「世間」と「社会」という目線で切り取った時に見えてくる同調圧力の正体で、それがいわゆる「空気」なのだという。

    空気を読む、読めないとしてその場に見えないけど存在するナニカ。私たちはそれを上手に使ったりストレスに感じることがある。場の流れに合わせるということは自己防衛にもなっていて、それは、ともすれば「出る杭を打たれ」たり、「仲間外れ」を作ってしまうことでもある。

    多様化を認めつつあるけど誰の言葉も適切なボリュームでは無い最近の傾向。ほんと難しいよね。

    自分はといえば、空気を読めるつもりではいるが好奇心で破りたくなるタイプかもしれない。例に出るような外国人の個人を重んじる社会を羨ましく思うこともあるけど、それでもやっぱり日本人で良かったと思う。弱くて個性が無いと言われつつも器用で表現豊かな血を誇りたい。
    人も物も知識も良い距離感が大事だと感じた。

  • 〇新書で「学校生活」を読む④

    鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』
                           (岩波ジュニア新書、2019年)

    ・分 野:「学校生活」×「自分を読む」
    ・目 次:(後述)
    ・総 評
     本書は、現代社会の“生き苦しさ”を「世間」という視点から分析した本です。著者は演出家として劇団を主宰する一方で、作家としてこれまでも同様のテーマの本を発表している人物です。
     例えば、人からの依頼を断る際には“申し訳なさ”を感じなければならないなど、この社会には“暗黙のルール”と言うべきものが多く存在しています。その背景について、著者は「現在または将来、関係のある人達」からなる「世間」のルールが影響していると言います。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。

    【POINT①】日本人における「世間」と「社会」の考え方
     著者は、自分と関係ある人たちのことを「世間」とする一方で、自分と現在または将来においても「なんの関係もない人達」のことを「社会」とまとめています。その上で、日本人は「世間」の人たちとは簡単に交流しますが、自分と関係のない「社会」の人たちとはなるべく関わらないようにしていると言います。こうした分け方は日本特有のもので、外国には「世間」という考え方はないそうです。そのため、外国においては「知らない者同士が会話すること」は当たり前であり、人の頼みを「にっこり笑って断れる」のも「社会」にずっと生きていたからだと指摘しています。

    【POINT②】日本人における「世間」のルーツ
     日本における「世間」のルールは、①年上がえらい、②「同じ時間を生きる」ことが大事、③贈り物が大切、④仲間外れを作る、⑤ミステリアス(非合理的)の5つにまとめられます。その歴史をたどると、江戸時代までの人たちの生活圏は非常に狭く、自分の住む村が全て=「世間」という状況でした。そこでは、上記のルールに従っている限りは、この「世間」が自分の面倒を見てくれましたが、それを破った場合は「村八分」という厳しいペナルティーが科されました。明治時代以降、この考え方は少しずつ解体されてきたものの、今日の私たちの中にも「世間」という考え方・感じ方は残っていると著者は指摘しています。

    【POINT③】「世間」と戦うために必要なこと
     最初に、著者は「世間」は「強力」で「なかなか変わらない」と言い切ります。ただ、その現実を悲しむのではなく、むしろ「変わらない「世間」のルールをうまく使って戦う」ことを提案しています。また、自分自身がひとつの「世間」だけでなく、複数の弱い「世間」にも所属することが大事だと言います。具体的には、常に一緒にいるグループだけでなく、たまに会う人たちとの関係も作っておくことで、主となる「世間」を“相対化”することができます。こうした「自分の生きている状況が唯一、絶対ではない」という考え方は、生き苦しさから私たちを救ってくれると著者は指摘しています。

     なお、タイトルに出てくる「空気」は、この「世間」が「カジュアル化・日常化」したもの――即ち、5つのルールのどれかが欠けているもの――であり、これに対抗するための方法として「決まりつつある「空気」をはっきりと話題にする」という「裸の王様作戦」が紹介されています。
     本書の内容は非常に多岐にわたり、ここで紹介したポイント以外にも多くの学びが得られる一冊になっています。岩波ジュニア新書の“名著”として様々なところで紹介される本でもあるので、是非、手に取ってほしいと思います。
    (1353字)

    <目次>
     はじめに
     1.なぜ先輩に従わなければならないの?
     2.どうして、人の頼みを断れないのだろう?
     3.「世間」と「社会」
     4.「世間」の始まり
     5.「世間」を壊そうとする人達
     6.根強く残る「世間」
     7.「世間」は中途半端に壊れている
     8.外国には「世間」がない
     9.人の頼みを断るのがつらいヒミツ
     10.もし人から頼まれたら
     11.敵を知るということ
     12.「空気」ということ
     13.「世間」のルール1 年上がえらい
     14.「世間」のルール2 「同じ時間を生きる」ことが大事
     15.「世間」のルール3 贈り物が大切
     16.「世間」のルール4 仲間外れを作る
     17.「世間」のルール5 ミステリアス
     18.「世間」はなかなか変わらない
     19.5つのルールと戦い方
     20.強力な「世間」の戦い方
     21.同調圧力
     22.自分を大切に思うこと
     23.仲間外れを恐れない
     24.たったひとつの「世間」ではなく
     25.私の支えるもの
     26.スマホの時代に
     おわりに

  • 以前読んだ、共著新書でも主に語られていた、”世間と社会”の話が本書でもメイン。重要な着眼点だし、ジュニアも触れるべきテーマであることは論を俟たない。ただいかんせん、上述書との重複が多く、発見や着想の部分で、個人的に物足りなく感じたのは確か。読む順番の問題というか、自身の趣味嗜好に合わせ、どちらか一方を味わえば良いと思う。

  • 社会と世間について先輩からのアドバイスって感じの本

    海外との比較

    自己主張していいよみんな!!!

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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