平安男子の元気な!生活 (岩波ジュニア新書 930)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005009305

作品紹介・あらすじ

華やかで、まったりと優雅なイメージがある平安貴族の男子たち。でもじつは、ハードワークな元祖ビジネスパーソンだった!? 恋とファッションだけじゃなく、ゲームやサッカーもセレブのたしなみ? 就活ノウハウに出世のヒケツ、バッチバチのライバル対決……。意外とアクティブな彼らの生活、平安男子たちのがんばりをどうぞご覧あれ!

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマの影響で気になって読んでみた。ドラマに登場したことが満載だったから、このタイミングで読んで正解。易しい表現で読みやすいし、ドラマの演者さんたちの姿が浮かんで活き活きとイメージできた。女子編もあるそうで、そちらも気になる。

  • 華やかなりし平安時代。

    ですが、裏を返せば、それだけ大変な競争社会であり、その上に雅があったと思うと、私はこの世界では生きて生きないかもしれない

  • 『平安女子の楽しい!生活』の同シリーズ。今度は平安時代の男性の生活にピントを当てた案内書。前回同様、語り言葉、今のおしゃべりで、平安ボーイズの毎日を再現している。最初に紹介しているのは、藤原行成。『枕草子』等でもおなじみの、当代きっての青年貴族である。彼もここでは、親しみやすく、行成くん、であって。この人選がすでに良いよなあと思うのである。物語から引っ張ってくるのではなくて、行成くんなところがいい。文学作品や歴史の教科書で小難しく出会うより親しみも湧くし。

    朝起きて、眠い目をこすりながら起きてくるところから。なんて、自分と重ね合わせたら、誰もが経験がある。出かける先は、学校と内裏で違うのだけど、似た感覚で入っていける。

    風俗や文化、行政機構と出世、位階のシステム。人との関わり。権力機構と結婚制度…骨肉の争いの原因。ここだけは、平安時代を知るために押さえたいなと思う部分が、まんべんなく書かれている。

    源氏物語の『美男が和歌詠んで恋してたんでしょ?』で
    済ませられがちな文学・時代観を取り払って、成長して、働き、恋をし、家庭を持って、老成して往生、という、現代のライフステージと同じところに貴族の男たちを連れてきているのが、本当にわかりやすいのだ。

    書かれている内容は、女子版の時と同様、平安文学や歴史が好きな人なら知っていることも多いだろう。しかし、時を告げる太鼓が鳴り渡る都大路を想像した人は少なかろうし、当時の碁や双六のルールが解説出来る人も少ないだろう。それを知ったからどうだと言われたらそれまでだが、空蝉と軒端の荻が遊ぶ場面や、近江の君が双六フリークで、相手が悪い目が出るように

    「小賽!小賽!」

    と叫んで、頭中将にうんざりされるところなど、この本を読んでから触れると

    「顔は可愛いのに、この田舎育ちの俺の娘は…多分教育しても后候補にはならないだろう…残念すぎる!」

    と、内心頭を抱える様子など、コミカルで悲哀のにじむ気持ちだろうと、理解も面白さも増すわけで。

    つくづく、この本が小学生や中学生の頃にあったら、楽しかったろうと思うのだ。小学校から古典大好きって変人だった私、周りには大人向きの本しかなかったから。

    ちゃんと最後に、平安時代の人々と、現代の読者―若い世代の人たちの架け橋になるメッセージがあるのも、このシリーズの素敵なところ。

    「平安文学?そんなの読んで、あなた、何したいの?儲かるの?」

    って訊いてきた、近所の女性に読んで欲しい。そういうことじゃないのよ。たぶん、

    「これは若い子向けでしょ?あなたとは違うじゃない?暇でいいわね、優雅ねえ。」

    と切り返されそうなんだけれども…。そういう問題では、ないのだ。

    何か通じ合うもの、感じるところがあるから、令和の今にだって、ドラマになり、読まれ、味わわれているものだから。この本が、平安文学や歴史学の、良い水先案内として、たくさん読まれたら良いな、と心から思う。大人にも、ジュニア世代にもオススメなのは、言うまでもない。

  • 平安女子に続いてこちらの男子も読んでみた。
    最初は語りかける口調に戸惑うが、すぐ慣れて親しい家庭教師に教えてもらっているように頭に入る。
    著者も言っているように、平安時代といえば和歌を読んで雅で、男子もすぐ泣くみたいなイメージが強かったが、この本を読むとかなりハードな生活をしていたことが窺えた。
    蹴鞠で遊んで恋にかまけてばかりではなかったんだなあ。
    中学生の頃に、国語や平安時代の歴史の時間に読んだら、もっと興味を持って授業に取り組めただろうな。

    今回この本で特に印象に残ったのは、第3章の藤原行成の子供が亡くなった時のことだ。
    当時は死に触れるとケガレが生じ、そのケガレはうつると考えられていたのでいろいろな行事にしばらく関われなくなってしまうというのが、現在のコロナに似ていると思った。
    死因が細菌やウイルスに依るものなら正にそうで、千年も前の当時の人々も、経験から接触が媒介するとわかっていたことに驚く。
    結局医学が進んでも、基本的に出来ることはそう変わらないのかもしれない。
    この本が出版されたのも2021年なので、著者も多少意識していたのかも。

  • 平安女子に続いて男子版です。こちらもとても面白い。女子は蜻蛉日記の筆者の引用が多くありましたが、男子は藤原行成の権記からの引用でした。
    特に行成の一日が興味深かったです。こんなにわかりやすく平安時代の生活が書かれている本はそうないと思います。平安時代小説を読みたい時などは、その前に女子男子2冊合わせて読むと、より平安世界が理解できて良いのではないでしょうか。

  • 大河ドラマが超絶面白いので読んでみた!いや、本当にこのドラマ面白いのだがなにぶん平安時代への知識不足のため理解ができないことが多い。で、私でも理解できるようになりたいー簡単に知識習得できる書物が読みたいーとなっていたところへの助け船。なんてわかりやすいの!わかりやすいけどポイントはしっかり把握できるように書かれていて、素晴らしい参考書であります。知識が深まります。これでまた、数倍楽しくドラマを楽しめます。ありがとうございます。

  • 前作『平安女子の楽しい生活』がとても面白かったので、こちらも読んでみました。

    前作では煌びやかだけど、待つしかできない女の身の辛さを知ることができました。
    今作では、行事や暮らしなど、生活や政治的な話が中心になっています。
    生活だとか政治だとか、言葉だけだと退屈そうなんですが、川村さんはまるで友達のことを話すような調子で平安男子の生活を語ってくれます。
    イマドキの言葉遣いが、昔のことでも、共感や親しみが沸くように導いてくれる。

    それなりに古典文学を読んでいても、
    いまいちわかりにくいのが、当時の彼らの風習や文化で、
    方違えだとか、結婚だとか、なんとかの儀だとか、身分だとか。
    調べても断片的にしかわからないアレコレが、一つにつながっていくので、より古典文学を楽しみたい人にもオススメ。

    国語の先生だから大抵のことは知っていると思われていますが、自分が知っている知識は女子の目線ばかりであったことに気がつき、勉強不足だったのを実感しました。

  • 平安貴族の生活
    タイトルに惹かれ、調べてみると対になる作品の存在を発見でき、ますます興味が湧いたためこの作品を中心とすることを決めた。

  • 川村先生の岩波ジュニア平安シリーズ第二弾。先に後発の女性作家編を読んでたので、これにて三部コンプリートということになる。

    大河のおかげで、かなり平安の世がビジュアルとしてイメージしやすくなったこともあり、まぁサクサク読めること読めること。
    最初の方に出てくるのは、行成くん。ドラマでは渡辺大知くんかな⁇ たまに見知らぬ人が出てくるので、調べてみると、「あ、兼家のご兄弟!?」と当人の顔こそ思い浮かばなくとも、段田安則さんの…という感じで読めてしまう。中には、割と最近のエピソードの元となってるらしい部分もあり、とにかく読むなら今を置いてないという感じ。

    これも他のと同様、思いっきり現代語なので、そういう語彙に慣れてない方には不向きかもしれないけど、普段ネットを見ている人なら大丈夫ではないかな⁇

    そして、単なる平安男子の暮らしの紹介本だけでなく、川村先生なりの若者に向けてのメッセージが込められてるのも魅力の一つではないかなと思う。

  • ジュニア向けなので語り口はフランクながら、平安時代の装束や風習などがわかりやすくて、大河ドラマの副読本として大人にもオススメ。

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著者プロフィール

昭和三十一年、東京生まれ。武蔵野大学教授。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。活水女子大学助教授、新潟産業大学教授を経て、現職。

【著書】
単著に『蜻蛉日記の表現と和歌』(笠間書院、平成十年)、『新版 蜻蛉日記Ⅰ(上巻・中巻)』・『同Ⅱ(下巻)』(角川ソフィア文庫、平成十五年)、『王朝生活の基礎知識--古典のなかの女性たち』(角川選書、平成十七年)・『王朝の恋の手紙たち』(同、平成二十一年)・『王朝文学入門』(同、平成二十三年)、『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』・『同和泉式部日記』(角川ソフィア文庫、平成十九年)。編著に『王朝文化を学ぶ人のために』(秋澤亙氏と共編、世界思想社、平成二十二年)など。

「2012年 『王朝文学の光芒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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