国語をめぐる冒険 (岩波ジュニア新書 938)

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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005009381

作品紹介・あらすじ

「国語は冒険だ」と言われたら、驚きませんか? 国語には,未知の世界や存在が溢れています.危険を恐れず踏み出せば,新しい自分,他者,言葉との出会い,そして成長への機会が待ち受けています.学ぶ意味や楽しさだけでなく,国語を使ってどう生きるかを,「冒険」をモチーフに語ります.

感想・レビュー・書評

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  • (まだぱらぱらっとしかみてないが、帰省してた大学1年生の長女が興味を持って持ってった)
    (読了したらしく、戻ってきた。11月5日)

    タイトル&ジャケ買い。でも、思った以上におもしろかった。
    伊勢物語の和歌、歌占、小説、コミュニケーション、「国語」「日本語」「母語(第一言語)」とは…と、章ごとに異なる5人の筆者がそれぞれのテーマで言葉を学ぶ意味や言葉の持つ可能性を語り、言葉の世界の豊かさ奥深さ、そして言葉のもつ力について考えさせてくれる好著。一冊全部じゃなくてこのなかの1章だけでもおもしろくよめたら、言葉を見る目が変わる。
    「国語なんて勉強する必要があるの?」「国語の授業なんて退屈」と思ってしまう人にこそおすすめ。

  • 偶然にも、同じく、ジュニア新書の『読むという冒険 イギリス児童文学』と同時期に読む。
    こちらは五人の著者による共著。ゆえに、やや語りがとっちらかっているが、国語と中高生をつなぐ新書を読んだのは久しぶりなので、新鮮に感じた。
    1章…導入にふさわしく、軽くて楽しく読みやすい。
    2章…突然の占いの話。和歌占いの世界って、タロットカードなんかと同じですね。
    3章…メロスおよび、みんな大好き山月記。著者の隠したいものとは。まさに国語の授業です。
    4章…中高生への文を作るテクニック講座。なんの説明もなく、さくらももこのエッセイの一部を読んでからの解説。わかりやすい。読みやすい文、印象に残る文、共感しやすい文の作り方がこれなんだろうな。
    5章…国語の歴史、言葉を強要する植民地主義を忘れてはならない。国内であっても方言や手話のたどってきた道も忘れてはならない。ニュースで方言が話されることも、ない。
    (ただ、関西ニュースはNHKであっても方言が表に出まくる番組もあります。それも週一の放送ですけどね。おそらく方言のなかで、もっとも❮強い❯はずの関西弁さえこの現状。かつてはこれが標準語だったのに。いつの時代もヒーローは標準語を話してきたし、それが標準語になり…という、経緯は『役割語』の話にもあったなと思ったらやはり巻末にもその本が出てた。)
    ドーデーの『最後の授業』、こうしてみるとすごくイヤな話だな笑。
    牢獄の鍵は言葉なのは確かだけど、それがどの言語なのかを決めるのは自分ですよね。
    温さんのママ語のエピソードが楽しい。

    私は、国語の授業が好きではなかった。
    スピードが合わなくて窮屈だし、当たり前の話ばかりでつまらなかった。
    それでも、自分が最も勉強しなくても点がとれたのは国語だった。
    今も、国語を学ぶのはなぜ?と言われたら、あまり説明はできないと思う。
    私には、古い言葉や他者の言葉が好きだから、面白いから、としか言えない。私が言葉にまつわることには興味があるタイプの人間だから、としか。
    この一冊はそれを代わりに説明してくれる。
    国語嫌いな若い読者にとってはやはり手にとりにくいとは思うが笑、国語好きな人にとって、さらに楽しい世界への入り口になると良い。

    • h.t.さん
      小さい頃からとても沢山の本を読んできていますが、私も学生時代、国語の授業が好きではなかったです。何せどの国語教師も小説が好き、文学作品が好き...
      小さい頃からとても沢山の本を読んできていますが、私も学生時代、国語の授業が好きではなかったです。何せどの国語教師も小説が好き、文学作品が好きで好みでやっていたような所が嫌でしたね。国語教育って物語を味わうのは一部なのに。私の読んできた本の多くは小説ではなかったのですけどね(笑)
      2022/09/20
    • mario3さん
      h.t.さん
      国語の世界は、一貫して、物語(小説)が優先されていましたよね。
      もっといろんなタイプの文章、韻文もやるほうが、学生にも興味をも...
      h.t.さん
      国語の世界は、一貫して、物語(小説)が優先されていましたよね。
      もっといろんなタイプの文章、韻文もやるほうが、学生にも興味をもってもらえたかもしれません。小説を、みんなで、読むという行為は独特ですね(^o^;)
      2022/09/21
    • h.t.さん
      そうなのですよね、なので大学時代、レポートがちゃんと書けない人が多かったのもそれでだと思います。会社に入ってからも部下の報告書のチェックが大...
      そうなのですよね、なので大学時代、レポートがちゃんと書けない人が多かったのもそれでだと思います。会社に入ってからも部下の報告書のチェックが大変でした。私は教わったことはなく普通に出来ましたが。鉄道会社が鉄道オタクを採用しないように注意をしているみたいに、物語に特化して好きな人の国語教師になるのを採用しないように注意してもらいたいものです(笑)エッセイや論文でも面白いものがあるのにそういうのにあまり時間を割かない授業に参ってしまったのを思い出します
      2022/09/21
  • 刊行日 2021/08/20
    「「国語は冒険だ」と言われたら、驚きませんか? 国語には,未知の世界や存在が溢れています.危険を恐れず踏み出せば、新しい自分、他者、言葉との出会い、そして成長への機会が待ち受けています。学ぶ意味や楽しさだけでなく、国語を使ってどう生きるかを、「冒険」をモチーフに語ります。」

    はじめに

    第一章 国語は冒険の旅だ……………渡部泰明
     願いは、何?/国語って何を勉強するの?/虹の根もとを探す人/なぜ偶然なのか/境界という場所/冒険者、登場/僕なんていらない!?/八橋という異世界/言葉を武器にせよ/言葉の魔力/すみだ河の都鳥/昔の日本列島はどんなイメージ?/境界の空間/都鳥、現る/命の、危うさ/感動が壁や殻を取り払う

    第二章 言葉で心を知る……………平野多恵
     わたしの心は、どうやったら見える?/占うって何?――隠されたものをあらわす/言霊の力――歌の呪文とお告げ/こんなふうに占った――室町時代の和歌占い/占う前に大切なこと――〈問い〉を立てる/和歌占いにチャレンジ!/歌を読み解く――見えない心と見える景色/心と言葉の深い関係――「むかつく」と「かわいい」の向こうへ/正解は一つじゃない――そして冒険は続く

    【コラム】 「文法を勉強してどうなるの?」前編

    第三章 他者が見えると、自分も見える……………出口智之
     なぜ国語で小説を学ぶのか?/物語の裏側を読む/「山月記」の謎――発端/種本「人虎伝」と中島敦「虎狩」/李徴は噓をついている!/人はなぜ噓をつくのか?/文学者、李徴/小説から人間を理解する/柔軟な発想力を養う/他者が見えると、自分も見える

    【コラム】 「文法を勉強してどうなるの?」後編

    第四章 言葉で伝え合う……………田中洋美
     言葉につまずく/「わかりやすさ」を疑う/「わかりにくさ」と向き合う/書けない理由を整理する/「自由」の不自由さ/「つまずき」のち「ひらめき」/言葉で伝える「きっかけ」/本当の「きっかけ」を見つけよう/できごと×心の動き/題材を選ぼう/モノを見つめて気づくこと/「心の動き」から伝えたいことをつかもう

    【コラム】 「旧字より新字が難しい!?」

    第五章 言葉の地図を手にいれる――そして新たなる旅立ちへ……………仲島ひとみ
     国語って何だろう?/個人の言葉と国家の言葉/日本の「国語」ができるまで/どこまで国語? いつから国語?/消滅の危機にある言語/ろう教育と言語権/境界を越えて

    深掘りしたい人へのオススメの本
    参考文献

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50251862

  • 見出しで期待していたことといまいち噛み合わない内容がずっと続いて、あまり読みたい内容ではなかった。

  • 面白かった。二章の歌占の話や、三章の物語の裏を読む読み方が、正当な読みの際ぎりぎりを攻めるテクスト論の限界って感じ。歌占はむしろ自分に引きつける点でアウトかもしれないけれど、テクストを自分のものとしてあそぶのは面白い。

  • 山月記、走れメロス、
    そんなふうにも読めるのか!
    普段の授業では、オモテの読み方しかしないから、
    ウラの読み方、新鮮だったなあ。
    しかも、有難かったのは、
    授業でやるオモテの読み方も尊重してくれているところ。

    文学を受験で扱うのは難しい。
    でも、文学を授業で扱うのは、やっぱり意義があると私も思います。

  • 「国語は冒険だ」と言われて始まっても、その冒険感は全く伝わってこず。「国語」の範囲が広すぎるのも問題なんだとは思いますが、異なる専門のものを無理に一つにまとめようとするからそうなるのだと思いました。

  • 国語に関する本は多くの数があるが、この本は出版が2021年8月とあり、その中でも新しい本である。英語を学ぶべき、という風潮は日本の社会に、とりわけ若手の社会ではとても力のあるものとなっている。そんな「当たり前」を打破するにはもってこいの本。

  • 第一章と第五章が面白かった。
    特に第五章で日本で話されている日本語以外の言語として日本手話が取り上げられているのは、私にとって新鮮だった。

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著者プロフィール

1957年、東京都生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科教授。
和歌文学専攻。
『中世和歌の生成』(若草書房、1999年)、『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店、2017年)

「2020年 『和歌史の中世から近世へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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