新編 平和のリアリズム (岩波現代文庫) (岩波現代文庫 学術 236)
- 岩波書店 (2010年4月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002367
作品紹介・あらすじ
権力闘争としての国際政治の現実を受けいれたうえで、平和の条件を粘り強く探ってゆくこと。そうした著者の知的挑戦は、現代世界に生起する諸問題を前に、時論という形で展開されてきた。冷戦終焉から9・11事件、イラク戦争を経て、日米の民主党政権誕生までの二〇年にわたる論考を収載する。石橋湛山賞を受賞した二〇〇四年の旧版に多数の新論考を加え、全国的に再編集。
感想・レビュー・書評
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20年ほど前の論文から現在まで、その間にも刻々と世界情勢は変わっているが、振り返ってみてもその時々の情勢の解説、提言としてとても整理されていて分かりやすく、また知らなかったことが新たに分かったりした。
特に、2006年に書かれた「『理想主義』を越えよう」は良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作家の村上春樹やアニメ界の巨匠宮崎駿が語る理想主義と、国際政治学者藤原帰一が語る現実主義の違いが面白い。
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国際関係における戦争を避けられない現実として受け入れるだけに世界平和を求める人々にとってはリアリズムはとても山積できない考え方とされてきた。
湾岸戦争のような規模の戦争を世界各地で構えられるだけの財政的余裕と軍事力は多国籍軍であれなんであれどこにもない。
国際政治に秩序、制度あるいは体制などを生み出す大きな原因としての役割を果たしていたのが戦争。
国際政治という学問分野は、ごく最近まで大国相互の戦争と平和の条件ばかり考えてきた。
抑止と平和、また中心と周辺の関係は冷戦期に限らず、国際政治の基本的なジレンマを反映している。
戦争が国民意識と強く結びつくのは戦争に勝った諸国である。
伝統的国際政治では内政をブラックボックスにすうrことで、異なる体制との間でも妥協の余地を残しておくのが外交の秘伝だった。
グローバル化の下での決定という問題は国際関係論で言えば、従来の相互依存論を継受したものといってよい。
国際関係では軍事力相互の威嚇によって秩序を支えることはごく普通のこと。
力関係が安定を支える世界では、それとは異なるモラルや価値規範を国際政治に持ち込んでも国際関係に不安定をもたらすことにしかならない。
世界には大国と小国、強い国と弱い国がある。学問以前の当たり前の観察にすぎないが、この観察を国際政治の分析に生かすことは案外難しい。
国際政治という学問分野の歴史はリアリズムとそれに対抗する議論との応酬として考えることができる。国際政治におけるリアリズムはいまなお、有効性の否定できない概念である。 -
結構読みやすく、内容も普通のリアリズム思想とかではない感じであった。
自分としても、様々な考えに触れられた思う。