デカルト『方法序説』を読む (岩波現代文庫)

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  • 岩波書店
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006003135

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパ近代に思想的な新たな地平を切り開いたデカルト。『方法序説』のテキストに即しながら、このあまりにも有名な著作が今日までどのように読まれてきたのか、また現代思想とどのようにかかわるのかを講じる。『方法序説』の思索のプロセスとその背景を追究し、デカルト思想の全体像を平明に読み解いてゆく入門書の決定版。図版多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • デカルト『方法序説』の訳者、谷川多佳子氏による『方法序説』講座。

    セミナーでの講演に基づいているため、語り口が柔らかく、流れてゆく。
    私が読んだ『方法序説』は、本当に端っこを齧っただけだったなーと思い知らされ、まだまだ理解は覚束ない(笑)
    なので、内容としては参考にならないレビューであると自負している。

    『方法序説』を講ずるにあたって、デカルトという人物をまず取り上げてくれ、また『方法序説』がどのような賛否を呼び起こしたかも詳しく解説している。

    中でも、日本人からは小林秀雄と森有礼が挙げられ、その繋がりが私的にとても良かった。

    デカルトの『方法序説』が、世界に一石を投じたことは確かである。
    神に依る世界の中で、思考し、真理を見つめるのは唯の人間であった。
    神が存在することを、デカルトは本心からそう考えていたのか、時代としてそうでなければならなかったのか。
    谷川多佳子氏の解説の中で触れるデカルトは、以前に『方法序説』を読んだ時よりも、更に人間らしくなった。

    ぜひ、併せて読んで欲しい。

  • 方法序説読んだが理解しきれなかったのでこの入門書を読んだ。
    少し理解は深まったが、まだまだ。
    また読んでみようと思う。

    デカルトが生きた時代背景や周りとの関係も知れたので入りやすくなった。哲学のみならず生物学や科学にまで思考を巡らしているのがすごい。

    問い続けること、考え続けることを私も続けていきたい。

  • 思えば・・・デカルト批判というのが多いなぁ。
    400年近く、批判ばかりされているのに決して忘れられたり、うっちゃられたりすることがない・・というのが、この人の偉大さなのかも、
    代数幾何とかべき乗を編み出したすごさは、とにかく敬服。凄い人だけど、相変わらず、どんなにやさしく説明されても難しい。

  • 方法序説といえば第4章の「コギト…」ですね。
    17世紀に後の近代哲学の方向性を決定付けたと言われるその思想を知りたくて。

    それまでデカルトが近代哲学の祖と言われるのは、単に方法的懐疑の結果として自我を認識の出発点に設定したからだと思っていた。確かにそうなのだろうが、本書ではデカルトその人の人生を語ることによって、その特異性が強調される。スコラ哲学など中世的な学問を経ることでは飽き足らず、デカルトは実地を通じて己が納得する真の理解を得るために旅に出る。デカルトを魅力的にしている要素の多くがこのストーリー性なのだと思う。
    既存の知の枠を超える哲学が誕生する様を面白く知ることができた。

  • 『方法序説』のフルタイトルは『理性を正しく導き、学問において真理を探求するための方法の話』よって、あくまでも「学問」に特化した話ではあるのだが、興味深いのは第3部のモラルの話。学問ではラディカルではあるものの、生活や政治においてはプラグマティックというか保守的な面があることが少々イガイでもあった。
    本書は近代哲学・近代科学の祖であるデカルトの主要著作である『方法序説』を理解する上で恰好の解説本となっている。また、市民セミナーを基とした講演録であるため大変読みやすくもなっており、オススメの1冊である。


  • 方法序説に対するメタ情報が、方法序説の訳者でもある著者による経験を交えて語られており、解説自体は美味しい部分ではありました。

    しかし終盤以降の質問に対する回答として述べられている近代以降の哲学とデカルト哲学との関係のくだりは、判る人は判るし、そうではない人はいくら読んでも判らないような書き方であったと感じました。

  • 日本におけるデカルト研究。デカルトが方法序説を書いた背景を理解できる

  • 他の多くの読者と同じく、『方法序説』をより深く理解するために手に取った本。とっても分かり易く書かれていたにもかかわらず、デカルトの思想に迫るにはまだ私の読解力不足が否めない。

    筆者はデカルト研究の大家の一人と思われるが(実際、岩波文庫版では方法序説を邦訳している)、過度にデカルト礼賛に陥っている訳ではないことに好感を覚えた。研究の対象として、その思想を真正面から見つめようとする姿勢はよく伝わってきた。

    少し時間をおいて、『方法序説』と合わせて再読したいと思う。

  • デカルトの学問に対して真摯な生き方がとにかくかっこいい。
    方法序説を読んだ後に読んだ方がいいと思うけど、その思想的立ち位置もわかりやすく説明されているので、セットで読むといいと思う。

  • なんとなく知りたい程度のときにちょうどいい。
    ロジカルシンキングの教材として取り寄せたんだったか。

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著者プロフィール

一九四八年、東京都生まれ。パリ第一大学博士課程修了(哲学博士)。専攻は近世哲学。筑波大学名誉教授。著書に『デカルト研究――理性の境界と周縁』(岩波書店)、『デカルト『方法序説』を読む』(岩波現代文庫)、『主体と空間の表象――砂漠・エクリチュール・魂』(法政大学出版局)、訳書にデカルト『方法序説』『情念論』(ともに岩波文庫)、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ヒステリーの発明――シャルコーとサルペトリエール写真図像集』(上下、共訳、みすず書房)、ライプニッツ『モナドロジー 他二篇』(共訳、岩波文庫)などがある。

「2022年 『メランコリーの文化史 古代ギリシアから現代精神医学へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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