大審問官スターリン (岩波現代文庫 文芸 311)

著者 :
  • 岩波書店
4.00
  • (3)
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 59
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006023119

作品紹介・あらすじ

革命の父レーニンの後に現われ、人々が「全民族の父」とみなし、神とあがめたスターリン。だが、その正体は自由な芸術を検閲によって弾圧し政敵を次々と粛清する、さながら中世の異端審問官のような独裁者であった。同時代人の証言もまじえ、大テロルの裏面を暴き、独裁者の内面に文学的想像力でせまる迫真のドキュメント。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • スターリンと芸術家たちの関係をテーマにした1冊。
    スターリン体制下で、芸術家たちがどのような状況に置かれていたかは興味深かった。作家・劇作家が多いのは、著者が翻訳家でもあるせいだろうか。それにしてもブルガーコフは、こうして並べられてみると、つくづく不思議なポジションにいたのだな……。

  • 第1章 奇跡 大審問官の誕生―一九二四‐一九二九
    第2章 暗雲 二発の銃声―一九二九‐一九三四
    第3章 神秘 大テロルの時代―一九三五‐一九四〇
    第4章 聖戦 ナチス・ドイツとの闘い―一九三九‐一九四五
    第5章 権威 「われは国家なり」―一九四六‐一九五三

    著者:亀山郁夫(1949-、栃木県、ロシア文学)

  •  大粛清が見通せると思って買ったのだが、私はアバンギャルド程度しかソ連芸術を知らないためほとんど頭に入らなかった。
     当時、芸術とはオーケストラと舞台劇と少しの映画しかない、ということなのだろうか。そう考えると、現代は芸術というものが大衆化しすぎているのかもしれない。
     そうした限られた対象にあって、スターリンですら、すべてを見通せたわけではない。検閲とは無駄の多い作業で、銃殺や拷問といったインパクトのある処罰がない限り機能しないことが理解できた。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

名古屋外国語大学 学長。ロシア文学・文化論。著書に『甦るフレーブニコフ』、『磔のロシア—スターリンと芸術家たち』(大佛次郎賞)、『ドストエフスキー 父殺しの文学』『熱狂とユーフォリア』『謎とき『悪霊』』『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』ほか。翻訳では、ドストエフスキーの五大長編(『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』)ほか、プラトーノフ『土台穴』など。なお、2015年には自身初となる小説『新カラマーゾフの兄弟』を刊行した。

「2023年 『愛、もしくは別れの夜に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

亀山郁夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×